PRESENTED BY H&M

「サステナビリティは“特別”なものであってはいけない?」AwichさんとH&Mが考えるファッションのこれから

H&Mが「BlackEyePatch(ブラックアイパッチ)」とコラボレーション。その背景をひも解く
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kaori nishida

コロナ禍、またサステナビリティという大きなダイナミズムの中、さまざまな価値観は急速に変容し、ファッション業界は、その方向性を転換しなければならない岐路に立たされている。

そんな中、「H&M」は初の国内ストリートブランドとのコラボーレーションを発表した。ブランド名は「BlackEyePatch(ブラックアイパッチ)」。社会へのメッセージを積極的に発信している東京発のブランドだ。

このコラボレーションのモデルをつとめるヒップホップ・アーティストのAwich(エイウィッチ)さんとH&Mの北東アジア担当マーケティング&PRマネージャー、ポーリーナ・カレリウスさんが、ファッションのこれから、進むべき未来について語り合った。

多様な人種、異なる感性を尊重するブランド

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ヒップホップ・アーティストとして活躍するAwichさん。今回、H&MとBlackEyePatchのコラボレーションのモデルをつとめている
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Awichさん(以下、Awich): 「BlackEyePatch」は私のツアーグッズを作ってくれたり、個人的に親しいブランドだったので、最初にコラボの話を聞いた時、すごく興奮しました。そのデザインの方向性、メッセージの伝え方を尊敬していますが、一番共感したのは、声をあげることを恐れない、そのスタンスです。

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H&Mの北東アジア担当マーケティング&PRマネージャーのポーリーナ・カレリウスさん。スウェーデン出身
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ポーリーナ・カレリウスさん(以下、ポーリーナ):どのブランドとコラボレーションするかを話し合っているとき、私たちと同じような信念や価値観を持っているブランドとして、最初に名前が挙がったのが「BlackEyePatch」でした。「BlackEyePatch」は、社会に対する責任感を持ち、また、インクルージョン&ダイバーシティ(包摂性と多様性)にも真摯な姿勢で向き合っているブランドです。

私たちもグローバルブランドとして、様々な文化や背景を持つお客様と従業員がいることもあり、そのような多文化を表現する象徴でありたいと考えています。

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BlackEyePatch x H&M のコラボレーションキャンペーンイメージ。左からAwichさん、野村周平さん、WILYWNKAさん

8割以上が、サステナブルな服作りをしているブランドを評価

ポーリーナ:ハフポストのTwitterアンケートでの「あなたは、地球環境や社会に配慮した服作りをしているブランドを評価しますか?」という質問に、「かなり評価する」「やや評価する」と答えた人が合わせて80%を越えています。この結果はすごいことだと思います。80%という数字はかなり高い結果ですよね。

でも、理想を言えば100%になって欲しかった。なぜならサステナブルなものを選択することは、地球にとって絶対的にいいことですし、当たり前に考えるべきことだと思うんです。

まだまだやれることがあるし、行動する必要がある。そういう意味で、この80%というアンケートの結果は、より一層取り組むべき課題がある数字だとも思います。

Awich:一方で、10年前はこんなに意識が高まってなかったと思います。2020年(新型コロナウイルス発生)以降だったからこのような結果になったのではないでしょうか。これまで信じられていた社会のシステムはもう崩れてしまい、元には戻らない……。

だからこそ「地球とともに人生を営む」ということに目を向けるようになったのではないでしょうか。今の行動が未来にどう繋がっていくのかを真剣に考え出したんじゃないかと。この80%という高い数字は、その表れでもあると思います。

 サステナビリティは特別なものであってはいけない

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ポーリーナ:確かにそうですね。2020年は私たちにとって大変な一年でした。未来について考える今だからこそ、持続可能なファッションのあり方を見つけるため、迅速に行動を起こして、「サステナビリティ」の最前線に立つことが重要だと思っています。

でも、すべての人が同じ価値観を共有しているかといえば、大きなギャップがあるのが現実です。

Awich:サステナビリティに関して、なぜ必要かを理解できても、それに対し行動する余裕がないのもまた問題だと思います。

人はそれぞれの日々のタスクをこなさなくちゃいけない。サステナビリティを行動に移すことはすごく難しいですよね。全体のことを考えるというのはある意味とても「贅沢」なこと。多くの人は環境のことを考える余裕がないんです。だからこそ、H&Mさんのようなブランドが、手の届きやすい価格でサステナビリティに取り組める仕組みを作るのは、すごく意義深いなと思います。

ポーリーナ:そうですね。「サステナビリティ」は決して特別なものであってはいけないし、誰にとっても取り入れやすくないといけないんです。

「サステナビリティ」は「自分らしくいられる服」や「おしゃれな服」と相反するものではなく両立できるものです。お客様が「サステナビリティ」を理解し、簡単に情報を入手することができ、当たり前に生活に取り入れられること。それを可能にすることが、企業側の使命だと思っています。

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ポーリーナ:今、私たちは、100%循環型のビジネスモデルを目指しています。環境などへの負荷を軽減できるオーガニックコットンの使用を拡大したり、さまざまなサステナブル素材を積極的に起用しています。また、AIを使い消費者が必要とする量のみ生産することを目指して、無駄を省いた製造工程も築くなどの取り組みも行っています。

ファッションは消費されるものという考えはもう完全に捨てるべきです。社会全体にもリサイクル・リユースの意識を浸透させて、着なくなった服を循環させるため、環境を整える必要があります。消費者を巻き込み、一人ひとりの行動を変えることができれば、未来は変わると思います。

人種差別は遠い国の話ではない

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Awich一人ひとりの行動……分かります。そういう意味では、「Black Lives Matter」へのアクションについても、同じことが言えると思います。私たちはみんな同じ人間であり、肌の色、文化の違いなどで誰かが不利益を被るような間違った社会構造に関して、みんなが同様の責任を負わなくてはいけないと思うんです。

私の出身地、沖縄はかつて日本本土とは違う文化、違う国家として存在していて、差別、衝突、戦争など悲しい経験も多くしてきました。ですから人種差別のような複雑な問題は、私にとってまったく遠い国の話ではないんです。

人種間の差別、衝突の問題は世界中どこにおいても存在し得るもの。大切なのはお互い向き合い、理解し、対話すること。そして愛し、助けようと寄り添うこと。

社会構造、サステナビリティ、地球温暖化……と問題は山積みですが、私は幸いラッパーとして、哲学者的な生活ができる。人とは何か、愛とは何か、宇宙や未来などに思いを馳せて歌詞を書くことを仕事としている。全体像について考察してみるという贅沢ができる。たからこそ私の仕事は音楽や言動を通して、そういう考察に触れてみることができましたと言う人を増やすことだと思います。

ポーリーナ:今のお話、すごく感激しました。まさにAwichさんは人と人とを繋ぐための「かけ橋」のような存在。問題の根底にあるのは、知識や関心があまりなかったりすることなんです。

私たちH&Mもアフリカ系アメリカ人コミュニティをエンパワーメントするために戦っている団体への寄付、「Black Lives Matter」の理解を深めるコミュニティイベントの開催など、あらゆる角度から差別を排除する努力をしています。

「インクルージョン&ダイバーシティ」において、一つのロールモデルでありたいと思っています。

ファッショナブルでありながら、社会問題への責任も担う 

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ポーリーナ:「BlackEyePatch」とのコラボレーションは、ファッショナブルでありながら、社会問題、環境問題への責任も担うことができるというメッセージを発信しています。

自分らしいファッションを楽しみながらも、人種差別、環境問題、経済格差など社会が直面する問題に一人ひとりが意識的に関わることができる。そしてそれが大きな一歩に繋がるということを知ってもらいたいです。

「サステナビリティ」において、今の危機的状況から脱却するには、消費者、そしてコミュニティを巻き込んだ社会全体での取り組みが必要不可欠です。企業として、地球環境だけではなく、すべての人が幸せになれるように行動していくのが、私たちの責任であり、ミッションだと思っています。

Awich:私もまだ未熟なので、分からないこともたくさんあります。でも大切なのは、人との対話、議論に参加すること。そして自分の周りに関心を持ち、理解しようとすること。私は音楽やアートを通してそのお手伝いができればと思います。

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BlackEyePatch x H&M を着たAwichさん
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【コレクション詳細】

BlackEyePatch x H&M

H&Mは初の日本限定プリントコレクションで、日本の最新ストリートカルチャーを牽引するBlackEyePatchとのコラボレーションを発表。 キャンペーンモデルには、今回のインタビューに登場したAwichさんや、野村周平さん、WILYWNKAさんを起用。3月4日(木)より公式オンラインストア(hm.com)および下記お取り扱い店舗にて発売。

【お取り扱い店舗】(※あいうえお順)

アリオ亀有店、イオンモール沖縄ライカム店、イオンモールむさし村山店、宇都宮インターパーク店、梅田店、キャナルシティ博多店、京都店、神戸ハーバーランドウミエ店、渋谷店、心斎橋店、新宿店、テラスモール湘南店、天神店、名古屋松坂屋店、原宿店、二子玉川ライズ店、ららぽーと愛知東郷店、ららぽーとTOKYO-BAY店、ららぽーと横浜店、ランドマークプラザ横浜店

H&Mマガジンにて、「BlackEyePatch」インタビューを公開

 

(取材&文/松田祐子 撮影/西田香織)