「4時間後に紙幣が使えなくなります」インド首相が突然発表 なぜ?

インドのモディ首相は、現在流通している高額紙幣を、4時間後に無効にすると突如発表した。
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An Indian man holds 500 and 1000 INR notes in Amritsar on November 8, 2016. Indian Prime Minister Narendra Modi announced late November 8 that 500 and 1,000 ($15) rupee notes will be withdrawn from financial circulation from midnight, in a bid to tackle corruption. 'To break the grip of corruption and black money, we have decided that the 500 and 1,000 rupee currency notes presently in use will no longer be legal tender from midnight ie 8 November, 2016,' Modi said in a special televised address to the nation. / AFP / NARINDER NANU (Photo credit should read NARINDER NANU/AFP/Getty Images)
NARINDER NANU via Getty Images

インドのモディ首相は11月8日午後8時(現地時間)にテレビで演説し、現在流通している高額紙幣を、4時間後の9日午前0時で廃止すると突如発表した。偽造紙幣や資金洗浄など、ブラックマネー撲滅のためだとしているが、現地では大勢の人が、旧札を新札に交換しようと銀行に押しかけている。ハフィントンポスト・インド版などが報じた。

廃止対象となるのは、現在流通している紙幣のうち、最高額の1000ルピー札(約1600円)と、2番目に高額の500ルピー札(約800円)の2種類。インド中央銀行は新たに2000ルピー札を10日以降に、新デザインの500ルピー札を数週間以内に発表する予定だが、それまでは銀行などに一旦貯金して預けたうえで、新札として引き出してほしいと呼びかけている。11日までは病院や鉄道、航空会社、ガソリンスタンドなどに限り、旧紙幣での支払いが認められる

モディ首相はこの日、「ブラックマネーと腐敗が、貧困撲滅の最大の障害となっている」とテレビで演説。偽造紙幣や汚職、資金洗浄などの根絶が目的だとしたうえで、「パニックになる必要はありません。あなたのお金は残ります」などと、国民に語った。

混乱を避けるために、インド全国の銀行や郵便局が9日は閉鎖となる。このため、ATMに長い列が続く光景が、インドじゅうでみられた。

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SUSHMIT ROYCHOWDHURY

脱税対策のねらいも

今回のモディ首相の宣言は、脱税対策との見方もある

インドでは現金決済が主流で、銀行決済があまりつかわれない。使用される紙幣のほとんどは1000ルピー札と500ルピー札で、自宅に保管するいわゆる「タンス預金」が多いという。

このため、国民の資産の捕捉が難しく、低所得者だけでなく、富裕層のなかでも納税をしない人も多く見られる。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、2013年に所得税を払ったのはインド人口の1.6%しかいなかったという。旧札の交換のために銀行への入金を促すことで、国民の資産を把握し納税につなげるというねらいもある。

▼「偽札偽造予防策いろいろ」画像集が開きます▼

偽札偽造予防策いろいろ 画像集
5000円札隠れ文字(01 of10)
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「二」の字 (credit:日本銀行)
5000円札隠れ文字(02 of10)
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「米」の字
5000円札隠れ文字(03 of10)
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「ン」の字
識別マーク(04 of10)
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識別マークとは、インキを厚く盛り上げて印刷された、ざらつきのあるマークです。識別マークは、券種毎に形状が異なるため、触ることにより券種を識別できます。 (credit:日本銀行)
ホログラムの透明層(05 of10)
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ホログラムの透明層とは、一万円券と五千円券のホログラムにおける光沢性のある透明シールで、触感が印刷面と異なります。2014年(平成26年)5月12日から発行する五千円券は、その大きさ・形状を一万円券と異なるものとしているため、一万円券との識別がより行い易くなります。 (credit:日本銀行)
ホログラム(5000円札)(06 of10)
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角度を変えると、画像の色や模様が変化して見えます。 (credit:日本銀行)
すき入れバーパターン(5000円札)(07 of10)
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光に透かすと、すき入れられた2本の縦棒が見えます(一万円券では3本、千円券では1本の縦棒が見えます)。従来のすかしよりも、パソコンやカラーコピー機等で再現しにくいものです。 (credit:日本銀行)
潜像模様(5000円札)(08 of10)
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お札を傾けると、表面中央下に「5000」の文字が、裏面右中央に「NIPPON」の文字が浮び上がります。 (credit:日本銀行)
マイクロ文字(09 of10)
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平成5年12月1日以降に発行されたお札(記番号が褐色)と同様に「NIPPON GINKO」と書かれた小さな文字が印刷されています。従来の文字よりも小さい文字を取り入れているほか、新たに地紋(細かい曲線などで描かれたお札の地模様)にも大小取り混ぜた文字がデザインされています。 (credit:日本銀行)
「すかし」と「超細密画線」(10 of10)
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(credit:日本銀行)

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