PRESENTED BY Johnson & Johnson

「泣いて笑って、寄り添って」私たちが貧困や難病と闘い続ける理由

「教え子たちが喜ぶことが私にとって何よりもうれしい」(鬼一二三さん)「わかりあい、和みあう『和』と、手をつなぎ理解を広げていく『輪』が大切」(増田靖子さん)
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Johnson&Johnson

より健やかな未来のために献身的に活動する人を称える目的で、公益社団法人日本看護協会とジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループによって創設されたヘルシー・ソサエティ賞。そのボランティア部門(国際)を受賞した鬼一二三さんとボランティア部門(国内)を受賞した増田靖子さんに話を聞いた。

教育と仕事が平和な未来を築くと信じて

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鬼一二三さん

「教え子たちが喜ぶことが私にとって何よりもうれしいこと。彼ら、彼女らが幸せになることが、私にとっての幸せでもあります」と語る鬼一二三さん。鬼さんがカンボジア王国シェムリアップ州に「一二三日本語教室」を開設したのは1995年のことだった。シェムリアップ州は、アンコールワットへの経由地で観光客が多い。日本語と英語を教える鬼さんの教室には、教育を受けられず、厳しい生活を送る子や職のない若者が集まった。彼らにとって語学を身につけることは、通訳やガイドとしての職を得ることに直結し、生活の向上を意味する。「仕事があるから早朝に授業を受けたい。仕事が終わった後、夜から教えてほしいという生徒も多く、私は自分ができる限りは生徒が教えてほしいという時間に、授業をするようにしてきました」と鬼さんは言う。さらに、親と暮らせない生徒を校内に住まわせるなど、教育とともに就業支援を含む自活にも力を入れ、その教え子たちはこれまでに2,800人を超える。

「私の学校にやってくる多くの生徒は、初めはあいうえおの『あ』も知りません。そんな子たちが、日本語を話し、書けるようになることが本当にうれしくて、この活動を続けています。市場に出かけたり、ホテルに行ったりして日本語を使って仕事をしている教え子と出会うことも多くなりました。彼らがいきいきと働いている姿を見ることで、私はまたパワーをもらえるのです」と鬼さんは笑う。教え子の中には、日本で不足する介護職や日本語教師を目指す若者やカンボジアから日本の大学に留学している学生もいる。

「いまは、一番下が小学3年生、一番上は子どもが3人いるような大人が私の教室で学んでいます。1日にやってくる生徒の数は延べで100人程度です。活動を20年以上続けているので、親子二代にわたって、私のところで学んでいるなんていう人もいます」。学校のほかにも、鬼さんは書店も図書館もなかった地域に5,000冊以上の蔵書を誇る私設の「123図書館」を設立。鬼さんの教え子たちが日本とカンボジアの懸け橋となり、平和で豊かな未来を築く力となるのだろう。

同じ痛みを持つ仲間と強く前に進むために

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増田靖子さん

「同じ病気の人が、私のところに泣きながら電話をしてくることもあります。そんな時は、一緒に泣いて、最後には一緒に笑うんです。泣いて笑って、寄り添って、病気への理解を深めていきたいと考えています」と全国脊柱靭帯骨化症患者家族連絡協議会の会長を務める増田靖子さんは言う。

増田さんが体の異変に気付いたのは44歳の時。自力で動くことができなくなり、たどり着いた札幌の総合病院で「後縦靭帯骨化症」と診断された。脊柱管の靭帯が骨になって脊髄を圧迫し、手足や体幹にまひや痛み、しびれを起こす難病で、増田さんの症状は重く、すぐに手術が必要だった。治療のために4度の手術を経験。痛みで寝ることも食べることもできない日々が続き、リハビリも過酷だった。しかし、セカンドオピニオンを依頼した当時の独立行政法人国立病院機構大阪南医療センターの米延院長らとの出会いや周囲の励ましによって増田さんは「与えられた道をしっかり生きよう」と前向きな気持ちになれたという。北海道脊柱靭帯骨化症友の会に参加し、同じ痛みを分かり合える仲間と出会った増田さんは、2010年に同会の会長に就任。12年には全国脊柱靭帯骨化症患者家族連絡協議会(全脊柱連)の会長に選任され、一般財団法人 北海道難病連(道難連)の活動も行うようになった。

「患者の家族や患者同士のコミュニティーに参加することに、初めは抵抗がありました。でも、活動に参加することで、病気の研究をしている人がいることを知り、懸命に治療し、相談に乗ってくれる先生たちがいることがわかりました。そして何より、同じ病気で、痛みや苦しみをわかりあえる仲間がいることは、とても心強いことだと実感できるようになったのです」。いまは「自分が前に出ることでこの病気のことを一人でも多くの人に理解していただき、治療や創薬の研究・開発が進むことを願っています。この活動には、わかりあい、和みあう『和』と、手をつなぎ理解を広げていく『輪』が大切」と増田さんは言う。この力強い活動が、病気そのものや様々な痛みの緩和につながることを、願わずにはいられない。

第13回ヘルシー・ソサエティ賞

より健全な社会づくりを目指し、献身的な活動をしている人をたたえることを目的に、日本看護協会とジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループによって2004年に創設され、今年で13回目を迎える。3月16日にはザ・プリンス パークタワー東京で表彰式が華やかに行われた。

今回の受賞者は鬼さんと増田さんのほかに「教育者部門」で、公益財団法人 結核予防会 理事長の工藤翔二さん、「医療従事者・医療介護部門」では、医療法人 唐淵会桑原医院の院長である桑原正彦さん、「医療技術者(イノベーター)部門」には医療法人 雄仁会 メディカルケア虎ノ門 理事長、院長の五十嵐良雄さんが選ばれた。

ヘルシー・ソサエティ賞とは

・ より健やかな社会を築くための個人の素晴らしい努力を顕彰する

・ 国内外における、社会全体または特定のグループへの支援に対する功績を称える

・ 慈善行為や寛大な精神、助けを必要とする人たちへの配慮を奨励する

・ 他者への思いやり、人々のために奉仕するという日本のよき伝統を奨励する

・ これまで功績が広く認識されてこなかった個人、および既に高い評価を受けている個人を対象とする