私が目の当たりにした、ミャンマーの出産や教育事情 その光と影

ミャンマーでは「子どもは国民の宝もの」として扱われ、行く先々で可愛がってもらえます。ですが、一方で...

今年6月に日本で出産し、今はミャンマーでお仕事に育児にと奮闘する、加藤 彩菜です。

赤ちゃんを抱いて外を歩いていると、すれ違う人に次々と話しかけられます。

「何ヶ月? 女の子・男の子?」

赤ちゃん大好きなミャンマー人たち。ミャンマーでは「子どもは国民の宝もの」として扱われ、行く先々で可愛がってもらえます。

世界中のどこにいたって子どもは大切にされるべき存在ですよね。

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▶どこへ行っても可愛がってもらえます

最近は、自分が5ヶ月の娘を連れていることもあり、村人たちともよく赤ちゃんや子どもの話になります。

今回は、私たちが仕事で訪れた村の子どもたちについて書きます。

まだまだ遅れている、ミャンマー農村部の出産事情

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▶村人の赤ちゃんとお友達になりました!

村などがある田舎では、出産は自宅でするケースがほとんどです。病院に行くには時間とコストがかかることなどから、多くは出産を経験した村のお母さんたちで赤ん坊を取り上げるそう。

しかし自宅出産の場合、緊急事態には対応できないため母子ともに危険にさらされてしまいます。

UNICEFの統計によれば、妊産婦死亡率は10万人当り約400人程度とアジアでワースト5に入っています。また5歳未満の死亡率については、1000人当り112人と、アジアで2番目に悪く、世界でもワースト40に入っています。また5歳未満の死因には、死産や早産も多く含まれます。

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▶村の赤ちゃん

実際に私がよく訪れる村でも、死産や流産の話は特別珍しいことではありません。自分に娘が生まれてからは、以前にもまして母のありがたみや、子どもの大切さを強く感じるようになったので、そういった話を聞く度、とても心が痛みます。

私たちが村人と運営しているお店には薬などは売っていますが、出産キットや赤ちゃん用品はまだ不足しています。現在、必要なものを村人たちと検討しているところです。

大人の事情で学校に行けない子どもたち

ミャンマーの村の子どもたちは、ミャンマー人らしくシャイな子もいれば、ぺらぺらと話しかけてくる人懐っこい子もいます。こういった子たちは、ほとんどがなんとか制服と教科書を手に入れ、学校へ通って勉強しています。

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▶農村部の小学校にて

ところが、私たちが農村部を調査している中で、就学率0%の村がありました。全部で10軒ほどの小さな村に、子どもは8名。村から歩いて15分ほどの場所に学校はあります。

しかし、この8人全員が学校に通っていません。

原因はこの村に蔓延する、麻薬。

この村のほとんどの大人が常習しているらしく、さらに子どもたちさえも煙草やお酒、麻薬をしている......と、案内のミャンマー人は教えてくれました。

大人が麻薬を使うことで子どもの面倒を見なくなり、また教科書やノートを買うお金もなくなり、ついには子どもたちも学校に行かなくなってしまったそうです。そして、親たちと同じように麻薬や煙草などに手を出しました。

まわりの村の人々も子どもを学校に行かせるように説得しましたが、聞く耳をもたないそうです。私たちが話を聞いた時も目はうつろで、「お金がない」と言っていました。

「まだ小学生くらいの子どもには、大人が側にいてあげるべきなのに......」。

でも、彼らの為に私に何ができるのだろう。この子たちにはどんな未来が待っているのだろう。

そう考えると、とても楽観的にはなれませんでした。

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▶農村部に暮らす、子どもたち

私たちが村人と運営しているお店では、筆記具やノートなどを売るようにしています。

本を買う余裕のない家庭のために、子どもに自由に読んでもらえる本もいくつか置きました。お金があれば買うこともできます。

自分に子どもができたことで、今までより更に、お母さんや子どもに目を向けるようになりました。

今はできていないことばかりですが、ミャンマーの村の子どもたちにできることを、引き続き考えていきたいと思います。

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ライター

加藤 彩菜/Ayana Kato

1991年生まれ。中央大学哲学科卒業。学生時代に発展途上国の貧困問題を目の当たりにし、「誰もが自分の未来に希望をもてる世界」にしていきたいと、社会問題を解決するソーシャルビジネスしかやらない会社「ボーダレスジャパン」に就職。入社8ヶ月で単身ミャンマーに渡り、新規事業立ち上げに挑む。

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