失われつつあるアメリカンドリーム

ニューヨークでは、 "人種のるつぼ"という言葉が形骸化しはじめているのを肌身で感じました。

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2016年、アメリカの実質GDP成長率は1.6%となり、7年連続でプラスを記録しました。失業率もリーマンショック以前の水準である5%を切っており、数字だけ見ると、景気は順調に回復しているように見受けられます。

ただ、格差の均一化が進んでいるかと言えば、疑問を抱かざるを得ません。特に全米最大の経済都市であるニューヨークでは、 "人種のるつぼ"という言葉が形骸化しはじめているのを肌身で感じました。

■ニューヨークは年収1000万円でも生活できない

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ニューヨークに行ってまず感じたのが、物価の高さです。例えば食事だと、チェーン店でのランチでも10ドルを超えることは珍しくなく、ディナーは大体80〜100ドル。家族でディナーをすれば、1回の出費だけで相当の金額がかかります。家賃は、マンハッタン郊外のブルックリンでも3000ドル以上。金銭的に余裕のない学生は3〜4人でシェアするのが一般的だそうです。

これだけランニングコストがかかる都市で、ワーカーはどれくらいの稼ぎを得ているのか。調べてみたところ、中間管理職(課長クラス)の月給は11,973ドル。日本だと同クラスの月給は48万円なので、約2.5倍近い数字になります。つまり、日本で年収1000万円を得ている人がニューヨークでも同じ水準の生活を送りたければ、年収2000〜3000万円を稼がなければなりません。※数値はJETRO 2014年調べ

■その日暮らしの生活を強いられている人たち

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ニューヨーク州の人口は約2000万人。これだけの人たちが上記のような贅沢な暮らしを送っているわけではありません。ニューヨークの様々なショップや飲食店に足を運んだところ、サービス業で働いているのは、ヒスパニックやアフリカ系アメリカ人がほとんど。ランニングコストが異様に高い都市で、その日暮らしの生活を強いられている人たちがたくさんいることは、容易に想像がつきます。

昔からニューヨークは"人種のるつぼ"と呼ばれているように、あらゆるバックボーンを持った人たちが共存できる都市として知られていました。それは、他の都市と差別化を図っている大きな要素であり、ニューヨークで夢を叶えることを目的に国内外から移住を果たした人たちは過去にたくさんいたでしょう。いわゆるアメリカンドリームという言葉を象徴する街がニューヨークであったように思います。

■キレイに層が分かれた、見せかけの"るつぼ"

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しかし、これだけの格差が生まれてしまった今、どんな人でも平等に受け入れる器はもうなくなってしまったように感じられます。傍目には"人種のるつぼ"として映るかもしれませんが、その実態は様々な人種やバックボーンの人々が混ざり合う本当のるつぼではなく、キレイに層が分かれた見せかけのるつぼです。

夢を持った人たちは、敏感に匂いを嗅ぎわけて、どこか新しい土地を探し求めるでしょう。それはシリコンバレーなのか、はたまた別の国なのか。そして格差の広がりによってアメリカンドリームが失われつつあるニューヨークはどうなっていくのか。夢を持つ1人の日本人として、今後の動向を見守っていきたいと思います。