オバマケア廃止案が否決、ジョン・マケイン議員らが反対に回る 共和党が抱える問題の根幹とは?

いざオバマケアを廃止するチャンスが訪れた時、共和党上院議員の多くは、オバマケア撤廃に失敗したことを認めざるを得ない状態になった。
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WASHINGTON, DC - JULY 27: Sen. John McCain (R-AZ) (L) and Sen. Lindsey Graham (R-SC) hold a news conference to say they would not support a 'Skinny Repeal' of health care at the U.S. Capitol July 27, 2017 in Washington, DC. The Republican senators said they would not support any legislation to repeal and replace Obamacare unless it was guaranteed to go to conference with the House of Representatives. (Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)
Chip Somodevilla via Getty Images

アメリカ共和党はオバマケア(アフォーダブル・ケア・アクト)を撤廃すると7年間にわたり公約してきたが、7月28日早朝の上院議会で、その公約はほぼ完全に消えた。

オバマケアの根幹部分を骨抜きにする目的で作成された「ヘルスケア・フリーダム・アクト」は、49対51票で否決された。

共和党のスーザン・コリンズ議員(メーン州)、リーサ・マーカウスキー議員(アラスカ州)、そしてジョン・マケイン議員(アリゾナ州)の3人が、民主党議員46人と無所属議員2人とともに、オバマケア代替法案に反対票を投じたのだ。

▼マケイン議員が反対に回った瞬間をとらえた映像

共和党が多数派を占める連邦議会では、2011年以降、何十回にもわたりオバマケアの完全撤廃、または一部内容の廃止を問う採決が重ねられてきた。

2016年の大統領選期間中、共和党が有権者に示した公約の中核部分は、ドナルド・トランプ氏を大統領に就任させ、議会の過半数を共和党に任せてくれさえすれば、オバマケアにたやすく終止符を打てるというものだった。

しかし、いざオバマケアを廃止するチャンスが訪れた時、上院共和党トップのミッチ・マコネル議員(ケンタッキー州)とトランプ大統領の圧力は大きかったが、共和党上院議員の多くはオバマケア撤廃に失敗したことを認めざるを得ない状態になった。

保険未加入の国民の数を大幅に増やすことになるオバマケア代替法案に賛成票を入れるのは、採決にほど遠いとわかり切っている時点では、それほど難しくはないかもしれない。しかし、現実味が出てくると決断は容易ではなかったのだ。

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マイク・ペンス副大統領も含め、共和党側はマケイン議員とマーカウスキー議員の説得を1時間にわたって試みた。しかし2人とも、決意は固かった。

マケイン議員は悪性脳腫瘍と診断されているが、オバマケア代替法案について議論の口火を切るため、議会に出席していた。

採決を進める動議に賛成したあと、マケイン議員は熱のこもった演説をしており、代替法案に反対すると述べている。しかし議論を先に進めるため大幅に譲歩した法案内容だったため、今後上院が下院と法案について協議できるよう、マケイン議員が法制化を進めることに賛成票を投じるとの見方が多かった。

ポール・ライアン下院議長(共和党、ウィスコンシン州)は両院協議会を設立するという確約をしていたが、マケイン議員には物足りなかったようだ。または、少なくとも、マケイン議員は共和党が1から新しいやり方を試すべき時期が来ていると考えていたのかもしれない。

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■代替法案「ヘルスケア・フリーダム・アクト」とはどんな法案だったのか?

ヘルスケア・フリーダム・アクトは、オバマケアの廃止の範囲を縮小したもので、「スキニー」法案とも呼ばれた。

この「スキニー」法案は、アメリカ国民のほとんどに医療保険加入を義務付け、また、大企業が2025年までフルタイムで働く従業員に対し医療保険を提供する義務を撤廃する仕組みになっていた。

医療保険取引所と低・中所得家庭への補助金、既存症を抱える人々への保険加入を保証する条項や基本的医療給付などはオバマケアと同様のままだが、超党派の連邦議会予算局が発表した報告書によると、この法案が成立するとアメリカ国民の医療保険料は20%上昇。そして1600万人の保険未加入者が増加すると見込まれていた。

■オバマケア撤廃はなぜ実現できないのか 問題の根幹は...

上院ではオバマケアの代替法案は否決されたが、いずれもオバマケア改廃は共和党の目玉政策として残っている。

世論調査では、共和党の中核支持者はいまだに撤廃を望んでいる。さらに、トランプ大統領は連邦議会を通過する医療保険法案であれば、どのような内容でも署名するとの立場を明確にしている。ゴタゴタ続きの大統領任期のこれだけ早い段階で、政治的に敗北するのは避けたいだろう。

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下院は5月4日、オバマケアの代替法案を可決した。法案を支持した議員たちが、自分たちがリスクを賭けて通した法案が無意味になったと不満を感じるのは否めないだろう。

上院に関していえば、「スキニー」法案と称されたオバマケアの廃止案が否決したことでもはや妥協の余地はなく、別の課題に取り組むべきだと考える議員も増えたかもしれない。

理屈の上では、下院を通過した法案をベースにしてオバマケア改廃をもう一度試みるのは可能だ。しかし、上院議員は法案が下院を通過したとき即座にこれを拒否した。さらに上院では25日に、おおよそ似通った法案(「ベター・ケア・リコンシレーション・アクト」)の採決でも、過半数を得られなかった

そもそも、共和党が直面している問題は、オバマケア代替法案に含まれる細かな政策課題ではないし、法制化手続きを複雑にするルールでもない。

問題の一番根幹にあるのは、共和党側にどのような医療保険制度が望ましいかという明確な見解が存在していないことだ。

オバマケアのあら探しをするスキルは向上したかもしれない。しかし、共和党内ではこういった問題をどう修正するのか、「低価格で選択肢の多い医療保険」という同党が掲げた公約をどう実行するかについて、一度たりとも案がまとまったことはない。

オバマ前大統領がアフォーダブル・ケア・アクトに署名し、発効してからおよそ2700日が過ぎた。しかし上院でオバマケアを廃止する最良のチャンスの日が来ても、それでも共和党側には対案がない。共和党が対案を出せる見込みは今や非常に低くなったと思われる。

ハフィントンポストUS版より翻訳・編集しました。

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