オムロン、JR乗降客映像を別の研究に無断流用

電子機器大手オムロン(京都市下京区)が、JR東日本の4駅で撮影した乗降客の映像を、JR東に無断で別の研究に流用していたことが朝日新聞社の調べでわかった。不審行動を割り出すセンサー技術の研究に使い、総務省の外郭団体から約2億5千万円を受け取っていた。

JR乗降客映像を無断流用 オムロンが「不審行動」解析

電子機器大手オムロン(京都市下京区)が、JR東日本の4駅で撮影した乗降客の映像を、JR東に無断で別の研究に流用していたことが朝日新聞社の調べでわかった。不審行動を割り出すセンサー技術の研究に使い、総務省の外郭団体から約2億5千万円を受け取っていた。

映像が流用されていたのは、熱海(静岡県熱海市)、板橋(東京都板橋区)、国分寺(同国分寺市)、桜木町(横浜市中区)の4駅で、撮影時間は少なくとも計120時間に及ぶ。

オムロンは2008~09年、4駅の改札付近の乗降客の流れを調べる流動調査のために各駅に10台ほどのカメラを設置。JR東側からDVDで映像の提供を受け、契約に基づき分析結果をJR東側に報告した。オムロンはJR東側とデータを一定期間後に破棄することや、委託した目的以外では使わないことを約束していた。一方で、総務省所管の独立行政法人「情報通信研究機構」(東京都小金井市、NICT)の事業公募に、不審行動を割り出す映像センサー技術の開発を目指すとして応募し、10年度までの5年連続で採用されていた。オムロンはこの研究で、改札の不正通過や混雑、放置物、滞留、けんか、うろつき・徘徊(はいかい)、しゃがみ込み、ごみ箱あさりの8種類の行動を「不審行動」と位置づけ、4駅のDVDの映像を無断で用いて、不審行動をとった人を追跡するシステムを開発した。この研究には総務省が約2億5千万円を支出していた。

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(朝日新聞社提供)