老舗料亭の女将がキレた!「補助金」「公的産業支援」の抱える課題と解決策

公的産業支援機関(商工会議所や商工会、また各県に設置されされている県ごとの産業振興センター、あるいは自治体が設置した相談所など)の在り方がいま、改めて問われていると思います。
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公的産業支援機関(商工会議所や商工会、また各県に設置されされている県ごとの産業振興センター、あるいは自治体が設置した相談所など)の在り方がいま、改めて問われていると思います。

要約すると、新規事業の展開に相談に言ったらば

1.上から目線での指導でやる気を失った

2.具体的な売上アップ・販路拡大のサポートがなかった

3.補助金の申請ばかりを勧められた

という話。

1月に、助六の新規事業「日本文化体験ツアー①節分」を広めたいために岐阜県産業振興センターへ行った参りました。私としては

①どういう場所へ広告を出したらよいのか?

②バックパッカーの外国人はどこにいらっしゃるのか?

③成功例は?

④大垣市と助六と一緒になって観光客を増やしていきたい。どうすれば?

などと言う答えを、助言をいただくために行って参りました。

担当者の方の一言「県のやっているこんな補助金がありますから来季応募してみてはいかがですか?」 「大垣市だけの観光を考えていては駄目ですよ、自分のことだけではなく、地域全域のことを考えてください。」と答えをいただきました。

余りのショックに私は一言「私は、今日、お金がほしくてここに来たのではありません。新規事業をどの様に進めていけばよいのか助言をいただきたかったのです。今はまだ大垣市と助六のことしか考えられません。補助金はいりません。」と言ってまいりました。

産業振興センターは私のような小さな事業所が来る場所ではないのだと思いました。

上から目線の物の言い方でとても気分を慨して帰ってきた

公的産業支援機関の個別サポートで求められるものは、一体何か。

そして、実際の現場ではどうなのか。そんなことを突きつけられる事例ではないでしょうか。

中小企業白書に掲載さされているデータを紐解くと、オドロキの実態がわかります。

8000人以上の中小企業経営者に対して行われたアンケート結果、なんと

社長の2/3は、経営について相談する相手がいない!

という実態。そして、いると答えた人たちも、税理士・会計士が約7割。

続くのは経営陣(社内ですよ)や、家族/親族・・・という状況。

こうした中で企業経営者の抱える課題は、では一体何か?

こちらも、中小企業白書に紹介されていたデータ。

(※オレンジでの囲いは、筆者による)

中小企業の経営課題は多岐にわたる、と言われているけれど、結局並べてみると「営業力の強化」「販売価格の引き上げ」「新商品開発」「自社ブランドの強化」「海外展開」と・・・要は

売上をアップしたい!

ということではないでしょうか。その他、資金繰りや財務体質の改善も、売上が上がっていく見通しがあれば改善される問題。つまり、「売上アップ」の支援こそが求められているわけです。

さて、前述の女将のブログの続き

お客様に話を致しましたら、お客様は補助金をいただくために専門の先生にお金を出して書類を作っていただき応募されたそうです。採択されたので成功報酬として助成金の10パーセントを支払ったそうです。金額をお聞きするとかなりの額でびっくりしました。

これって(補助金)本当に意味があるのでしょうか?お金持ちしか補助してもらえないのでは?なんて思ってしまいました。

事業主としては確かにお金も助成していただきたい。でも本音は毎月の売り上げを上げたいのです。

前述のとおり売上アップを実現するために経営相談相手を求めるニーズがある一方で、「上から目線での指導」と「補助金の斡旋」に終始した、今回の件。

あげく、女将の料亭のお客さんは、専門家に成功報酬で10%を払うかわりに補助金を代筆してもらったというケースも。(これ、実際にかなり横行しています。そりゃ違法行為ではありませんが、本来の補助金の趣旨から鑑みて有意義とは考えにくいですよね)

もらえるなら、まぁお金はそりゃほしい。

でも、本当に大事なのは売上を上げる支援。

中村女将の今回の出来事から、すべての公的支援がダメだというわけでは決して無いです。

けれど、このブログに触れたSNSでのコメントには

う~ん、これはありがちな事。今後の参考となるご意見です。(市役所・産業支援担当)

状況わかる!似た経験あるな。。。(飲食店経営者)

事業支援と補助金に相対する企業の本音。ファイナンスを考えるとキャッシュに目が眩む。

でもそれは擦り傷をなめる程度に過ぎない。(会社役員)

といった、コメントが並んでますね。こうした反響が、素直な声。

こうした中で、改めて見直したいのが中小支援日本一・富士市産業支援センターf-Bizの小出宗昭さん。

地方創生や、あらためて中小企業・創業支援が注目される今だから、公的産業支援のあり方は問い直されるべきではないでしょうか。

問題点や課題の指摘ではなく、じっくりとお話を伺う中で魅力を引き出し、売りを明確にして、具体的な売上アップの提案やサポートができるか。上から目線ではなく、チャレンジャーへのリスペクトを前提に一緒に考えサポートをできるか。

いま、大きな問題提起がなされています。