通貨融合する「エコ通貨」

今後、十年間、地政学的な側面において起こりうる変化や国際貿易体制において現れうる不安定性を考慮する場合、現行の金融システムを改善する必要がある。これは新たな金融システムが必要だと言う意味でもある。今後、登場するであろう金融システムの核心は環境と金融との調和だ。
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今後、十年間、地政学的な側面において起こりうる変化や国際貿易体制において現れうる不安定性を考慮する場合、現行の金融システムを改善する必要がある。これは新たな金融システムが必要だと言う意味でもある。今後、登場するであろう金融システムの核心は環境と金融との調和だ。外見上、環境と金融は相容れない問題のように見えるが、実際、今まで多様な国際問題においては、金融は環境と配置されるものと思われていたのも事実である。

しかし、我々が直面した環境上の挑戦を一つ一つ論じる場合、成長に対する伝統的な概念をもう一度考えてみる必要がある。もはや終わりのない消費や無制限な開発をこれ以上許すわけにはいかない時代になった。すべての経済問題において環境について考えなければ解決の糸口を見つけることができない時代に到来した。即ち、環境自体が経済システムの内部に溶け込まなければならず、経済成長を測定し、評価する立場に格上げされなければならない状況になったのである。

最近、気候変更対応をリードしている日本は、アメリカ、中国、インドをはじめとした他の国家との緊密な関係を通じて、このようなシステムを作ることにおいて活発な役割が可能である。具体的に言うと、 日本は地球生態系の持続性や金融、貿易、投資のルールを直接つなぐマーケニズムを形成するのにおいて大きな役割を果たすことができ、このような役割を通じて国際的な信頼を得て、影響力を拡大することができる。

環境問題を経済と融合させるもっとも直接的な方法は、環境と通貨を結びつけることである。ここで登場する概念が、「エコ通貨」だ。あたかも国際通貨基金の特別引出権(SDR)のように普遍的な通貨でありながらも、経済問題だけでなく、環境問題まで反映する点では異なる。「エコ通貨」システムの下では各々の国家が自国の通過量を、いわゆる、「環境信用(クレジット)」に比例して決定することができる。この信用は温室ガスの減縮や水・土壌等の保護のような環境政策をどれだけ実践できたかによって付与され、この信用によって各国は通貨を供給する。

過去に通貨が金のように価値があり、希少な金属を元にして発行されたことと同じように、未来の通貨である「エコ通貨」は生態系と言う希少な資源を元にして発行されると言う点においては論理的な妥当性を持っている。実際、生態系は人間の暮らしに必要的だと言う側面では金をしのぐ価値を持っている。

このような「エコ通貨」をどれだけ多く保有しているかが、まさにその国家の環境政策を表す指標になる。各国がこのような指標を重要視し、エコ通貨の使用に賛同すれば環境側面で新たな進歩を成し遂げることができる。

エコ通貨が普遍的な通貨として可能ならば、全世界のエコ通貨は世界環境信用の総量と同じになるはずである。そして、この信用は、まさに、どの国家が温室ガスを減らし、未開発地や水資源の保護、等のエコ政策をどれだけたくさん整備し、実践したかによって創出されることだろう。

環境信用の総量がどのくらいになり、国家別でどういうふうに分配されるのかを決定するのはとてもわずらわしい問題である。しかし、決して不可能なことではないだろう。

環境信用に規範する国際通貨体制は既存の炭素取引きがより活発に行われるようなるはずで、政策の決定者たちが気候変化のような環境問題に対しより真剣に関心を持つようになる点においても必ず必要である。

もはや通貨政策と環境政策を別けて考えることはこれ以上、不可能である。両者は効果的に一緒に結びつけなければならず、実際、一緒に結びつけることも可能である。 日本がこのように通貨・環境問題を融合する課題を積極的に主導するならば、国際秩序において威勢を急激に高めるだけでなく、新たな世界のリーダーとして浮上することもできるだろう。