オウンドメディアの目的・対象・価値を整理するフレームワーク「オウンドメディア・キャンバス」

オウンドメディアを運営している中で、重きをおいている価値や、使っているリソース、リターンについてなどを落とし込んだフレームワークを作ってみました。
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こんにちは、Six Apart ブログ編集長ことぶきです。

オウンドメディアをはじめるとき、誰にどんな価値を提供するために、どんなリソースが必要なのでしょうか。私たちがメディアを運営している中で、重きをおいている価値や、使っているリソース、リターンについてなどを落とし込んだフレームワーク、「オウンドメディア・キャンバス」を作ってみました。オウンドメディアをこれから始めたい、または運営中のメディアの強みや抜け漏れを見直す参考になれば幸いです。

このフレームワークは、2012年に発売された翔泳社の書籍『ビジネスモデル・ジェネレーション

』にある、ビジネスの要素を9つに分類し、地図のように描く「ビジネスモデル・キャンバス」を参考にしています。

以前、Six Apartブログでも「iPhoneと駐車場「Times24」の意外な共通点 - Six Apart ブログ」という記事で、二社の例を出しつつ詳しく解説したことがありますね。

この「オウンドメディア・キャンバス」はバージョン0.8として、いわばベータ版として公開します。メディア運営者の皆様の意見を聞きつつブラッシュアップしていきたいと思っています!

「オウンドメディア・キャンバス」の全体像

こちらが、オウンドメディア・キャンバスの全体像です。

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社内外協力者、主な活動、必要なリソース、読者に与える価値、読者とのコミュニケーション、記事の流通チャネル、対象読者、コスト、自社が得られる価値の9つの要素に分かれていますね。

Six Apart ブログを例に、各要素を埋めてみたら、こんな風になりました。

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それぞれを解説していきます。

社内外協力者

メディア運営のために、社内外のどのような方々に関わってもらう必要があるかをリストアップしていく場所です。編集長と編集チーム、サイト制作者や、執筆者、インタビュー協力者が必要ですし、そもそもメディア運営について上長からの合意を得られている必要がありますね。

主な活動

このプロジェクトでは主にどんな活動を行うのかをリストアップします。メディアを運営することだけを考えても、記事の更新、KPIのトラッキングと改善、社内へのレポーティングなどが考えられますね。オウンドメディアチームが他に行うべき活動は何でしょうか。Six Apart ブログの場合は、勉強会を行ったり、講演や寄稿なども行っています。

必要なリソース

価値を提供する活動を行うためには、どんなリソースが必要でしょうか。もちろんドメインとメディアサイトも大事ですが、社内外の情報を利用するための権利についても確認しておいたほうが良いでしょう。また情報を発信する側には、熱い思いや深く語れる知識が必須です。

読者に与える価値

インバウンドの流入を意識したコンテンツマーケティングの一手法として、オウンドメディアを運営するならば、ここが一番大事なところです。メディアに訪れて記事を読んでくれた読者にどういう価値を与えたいのでしょう。どんなニーズを持った方に、どんな情報を提供し、どんな行動を促したいのでしょうか。

読者とのコミュニケーション

読者と対話を行う場所と方法を考えましょう。このSix Apart ブログでは、SNSでのコメントを読んで直接ひとりひとりと対話したり、勉強会やセミナーを通したオフラインの場でお話をしています。アンケートなどもありますね。彼らの声を聞く方法は他にもありますか?

記事の流通チャネル

公開した記事は広めるための活動をしないと、広まりません。記事公開後に公式アカウントのシェアで広めるのは当然ですが、執筆者個人としてもシェアしたり、また読者にも広めてもらえるようシェアされやすいコンテンツ作りを意識したいですね。ほかにも、SmartNewsをはじめとしたニュースキュレーションアプリに取り上げてもらえるよう手配したり、オウンドメディアに特化したキュレーションサイトへの転載などが考えられるでしょう。

対象読者

ここは、読者に与える価値とセットで考える部分です。あなたのメディアは誰のために作っているのでしょうか。Six Apartブログの場合は、企業ブランドで情報発信している人やオウンドメディア運営者、または広くWebマーケターに役に立つ記事を書いています。たまにはもっと広いビジネスマンのためのライフハックの記事もありますね。メディア全体の対象読者は大きめに定義した上で、記事毎にはピンポイントに「A社の広報で、記事のライティング術に悩んでいたあの人に刺さりたい」まで考えていたりします。

コスト

メディア運営にかかるオンラインメディアであればサイトそのものやホストするサーバのコスト、解析ツールやマーケティングツールなどサイトにアドオンするサービスの利用料などもありうるでしょう。ノウハウを学ぶための勉強時間、というのも入れています。外部の編集協力者やライターに発注する費用などもあるかもしれません。

自社が得られる価値

そしてもちろん、業務として行う以上、これらの活動は何らかのビジネス目的に合致しないといけません。オウンドメディアからダイレクトに製品の購買につなげるのみならず、認知拡大やブランディング目的もあるでしょう。読者に行って欲しい行動の数やそれを推測するための中間指標が、メディアのKPIになるのでしょう。

御社のアドバンテージはどこにありますか?

このフレームワークにそってアイテムを書き出してみると、さらさら書ける場所、悩む場所が出てくるのではないでしょうか。要素に含まれるアイテムをいくつも思い浮かぶポイントは、御社にとってアドバンテージがあるポイント。なかなかアイテムを挙げられない箇所、またはそのアイテムを実現するリソースなどが思いつかない場所は、まだ手薄なポイントかもしれません。

どこに起点に置いてビジネスモデルを作っていくかはとても重要であると、書籍でも強調されています。あなたのメディアにとって、以下の内、どれが起点になるでしょう。

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「リソース」主導であれば、すでにコンテンツやメディア力、強力なパートナーなどが揃っており、それを活用し、誰向けに料理して提供するかという視点で考えることになるでしょう。

読者(顧客)に与える「価値」主導であれば、これまでにない新しい価値というアイデアを起点にそれを実現する方法などを考えていくことになりますね。

届けたい「対象者(読者)」主導であれば、カスタマージャーニーを作ったりして、読者のニーズやインサイトを深掘りし、それを解決するための方法を探ります。

「コスト/メリット」主導であれば、目的を実現できかつコスト削減できる新しい方法や、先進的な収益化モデルを実現すべく、他のピースを埋めていくことになるのでしょう。

まとめ

このオウンドメディア・キャンバスは、ビジネスモデル・キャンバス公式サイト「Strategyzer | Business Model Canvas」から配布されている公式テンプレートのライセンスに合わせ、 表示 - 継承 3.0 非移植 (CC BY-SA 3.0)として提供いたします。パワーポイント形式で以下のサイトからダウンロード可能です。

メディア運営を始めてみるまえに、または見直すために頭を整理してみる一助になれば幸いです。どこが得意領域なのか、そしてどこが手薄なのかを考える良いきっかけになるかと思います。