レゲエボーイズとレゲエの神様とその娘。「日本対ジャマイカ代表戦」前に知っておきたい、あれこれ

サッカージャマイカ代表の愛称はレゲエボーイズ。ちなみに女子はレゲエガールズだ。残念ながら国歌はレゲエではない。
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サッカージャマイカ代表の愛称はレゲエボーイズ。ちなみに女子はレゲエガールズだ。残念ながら国歌はレゲエではない。レゲエといえばボブ・マーリーだが、彼がサッカー好きだったのは有名である。ジャマイカとは日本がはじめて挑んだ98年W杯フランス大会の3戦目で交えた。ホロ苦い結果だった。そんな今回の対戦国だが、10日金曜日に新潟で行われる試合前に、少しだけ予習してみよう。

◆汎アフリカ色とラスタカラー

ジャマイカはカリブ海に浮かぶ美しい島国だ。スペインとイギリスの支配を経て、1962年にイギリス連邦の一員として独立した。国名は先住民アラワク人のXaymaca(ザイマカ)ということばに由来する。『木と水の地』あるいは『泉の地』を意味するそうだ。

国旗は独立時に制定されたもので、黒は国民の85%を占める黒人と過去・未来の苦難の克服を意味し、緑は豊かな国土と希望、黄のX十字はキリスト12使徒のひとり「聖アンデレ」の象徴で、キリスト教への信仰を表している。

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ジャマイカ国旗は、「汎アフリカ色」といわれる、緑・黄・赤のうちの二色が使われている。汎アフリカ色はアフリカ大陸で最も早く独立を達成した「エチオピアの国旗(↑左)」からきている。汎アフリカ色をあしらった国旗は、アフリカ諸国の他にも、ジャマイカのようにアフリカから奴隷として連れてこられた黒人を祖先に持つ国々に多い。

60年代後半に生まれたアフリカ回帰主義思想は、やがて「ラスタファリ運動」としてジャマイカの生活全般に根づくことになる。「ラスタカラー」といわれる色は、汎アフリカ色と同色+黒の4色で、やはりエチオピアへのリスペクトを表している。ジャマイカ代表を応援する客席には、そんな"ジャマイカカラー"が溢れている。

◆ジャマイカ国歌

ジャマイカの音楽といったら、「レゲエ」だ。夏のけだるい午後にぴったりなアレである。残念なことにジャマイカ国歌はレゲエではない。どちらかと言えば、ゴスペルに近いメロディーラインと詞が付いている。作詞、作曲ともに、独立時に公募で決定した。牧師さんの詞ということで、神への賛歌であり大地への感謝や愛に満ちている。

★Jamaica National Anthem - Richie Stevens

https://www.youtube.com/watch?v=cIIhvOBQB_M

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ジャマイカ国歌『我らが愛する地』

永遠なる父よ 我らが地に祝福を

全能なる御手にて 我らを導きたまえ

邪悪な力から 我らを解き放ちたまえ

とこしえに 我らの光であられよ

我が主 大いなる守護者よ

天より真なる知恵を 授けたまえ

正義と真理は 永久に我らのもの

ジャマイカ 我らが愛する地

ジャマイカ ジャマイカ ジャマイカ

我らが愛する地

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◆サッカーとボブ・マーリーとその娘

ジャマイカはスポーツ大国だ。特に「陸上」のスプリント系では、ウサイン・ボルトを筆頭に毎度表彰台を独占する。そんなボルトも大好きなのが「サッカー」である。マンチェスター・ユナイテッドの練習場を訪れたり、実際にボールを蹴る動画は世界中で話題になった。サッカーはその"実力"を超えて、ジャマイカの「国民的スポーツ」なのだ。

そして、ここに歴史的な人物がもうひとり。レゲエの神様ボブ・マーリーである。彼は元ジャマイカ代表ストライカーを自身のマネージャーとして雇っていた。オフ時の毎日のトレーニングはもちろんのこと、ツアー中でもサッカーボールを持参しているほどサッカー好きだったらしい。「タックルが上手かった」とマネージャーの手記には記されている。

★Bob Marley Playing Football in New Zealand

http://youtu.be/m-zzVfyTuZg

ボブ・マーリーは1981年に36歳という若さで亡くなるが、その死因については、「サッカーが原因の怪我から癌が発症」という都市伝説まである。息子たちの所属するサッカーチームの応援や、場合によっては指導もしていたというが、その魂は現在、娘にも引き継がれている。

セデラ・マーリーは、ジャマイカの女子サッカーのために尽力している。活動予算の乏しい女子代表(通称レゲエガールズ)のために財団を作ったり、弟たちといっしょに応援歌を作ったりと忙しい。レゲエガールズは、カリブ海地方からの初の女子サッカー・ワールドカップ参加国を目指しているのだ。

★Cedella Marley, Stephen Marley & Damian Marley - Strike Hard (Reggae Girlz)

そんな背景のあるジャマイカ。ポテンシャルは十分以上で、とびきり明るくノリがいいジャマイカ人。もしスタジアムに応援に訪れているジャマイカ人がいらしたら、声を掛けてみてはいかが?

がんばれアギーレジャパン☆

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スタジアム中にこだまする国歌斉唱。ネイマールが思わず涙するブラジル国歌、伊達男たちが情熱的に歌い上げるイタリア国歌、歌詞がないのに客席はハミングのスペイン国歌......。国歌にまつわる歴史やエピソードを満載。ワールドカップ、欧州選手権、オリンピックをはじめとする国際試合の必読書。

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◆いとうやまね

ライターユニット(いとうみほ+山根誠司)。著書には、『フットボールde国歌大合唱!』『サッカー誰かに話したいちょっといい話』(東邦出版)、『プロフットボーラーの家族の肖像』(カンゼン)、『蹴りたい言葉~サッカーファンに捧げる101人の名言』(電波実験社)、他がある。サッカー専門誌、フィギュアスケート専門誌のコラムニストとして、またサッカー専門TV 番組、海外サッカー実況中継のリサーチャーとしても活動。スポーツ以外の執筆も多数。