「一人のファンとして活躍を楽しみにしています」。日本代表・畠山健介が五郎丸歩、そしてフランスリーグのラグビーを語る!

向こうではもちろん試合は激しいし、レベルも高いけれど、日本との違いを感じたのはピッチ外の部分です。

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五郎丸歩と同じように、昨年のラグビーワールドカップでの快進撃を契機に世界に飛び出したのが畠山健介だ。サンウルブズには参加しなかったが、トップリーグの15-16シーズン終了後、イングランド・プレミアシップのニューカッスル・ファルコンズからオファーを受け期限付き移籍。

ラグビーフランスリーグTOP14と同様に、世界のスター選手が集まるイングランド・プレミアシップでプレーした初めての日本人選手となった。五郎丸とは高校日本代表、U19日本代表、早大と長くともにプレーした戦友は、世界とフランスのラグビーをどう見ているのだろう。

―畠山選手は、2011年のワールドカップでフランス代表と対戦していますし、その後のエディー・ジャパンではフレンチ・バーバリアンズとも何度も対戦しました。フランスラグビーについてはどんな印象をお持ちですか。

「やはりセットピースには強いこだわりを持っているなという印象があります。ヨーロッパはどこもそうだと思うけれど、フランスは特にこだわりが強いんじゃないでしょうか。実際にスクラムを組んだ感想としては、フォワード一人一人の筋力が強いし、8人一体でスクラムを組むという意識が高いと感じました。

チームのスタイルとしては、キックが得意で、どこからでも得点を狙ってくる力がある一方で、少し波があるのかなという印象があります。2011年のワールドカップでは、プール戦でトンガに負けて、2勝2敗で決勝トーナメントに進んだけれど、そこから準々決勝、準決勝を突破して、決勝ではニュージーランドと1点差というギリギリの試合を演じましたよね。

それくらいのポテンシャルがあるんですが、うまくいかないときとの波がある。おそらく、スクラムでドミネート(制圧)できるときはいいけれど、それができないときは不安定な戦いになってしまうんだと思います」

―畠山選手は、日本代表のスポットコーチに来ていたマルク・ダルマゾさんと接する時間が長かったと思います。彼を通じて、何かフランスラグビーの特徴を感じたことはありましたか。

「ダルマゾは、フランス代表で33キャップ持っていて、1999年のワールドカップでも活躍した名選手ですが、人間としてはとても変わっているというか、ユニークな人ですね。ワールドカップのときも、フランスのメディアの人たちに、『選手としては本当に素晴らしい人だった』と聞きました。

そのとき、僕から逆に『フランス人って皆あんな感じなんですか?』と聞いたら、『そんなことはない。あんなキャラクターはフランスでも珍しい。彼くらいだよ』と苦笑いされました(笑)。だから、僕の中でフランス人のイメージはダルマゾなんですが、それは多くのフランス人の姿を反映していないのでしょうね。ただ、こだわりの強さ、スクラムに対する思い入れの強さは、フランス人の一面を反映しているのかもしれない」

―ダルマゾさんの素顔というか、どんなふうにユニークなキャラクターなのか、ちょっとだけ教えてもらえますか。

「そうですね......たとえば、何か質問しても、聞いたことと全然違うことを話し出したりするし、コミュニケーションがなかなか取れないんです。本当に、5分も一緒にいれば『この人変わってるな...』と感じると思いますよ。

具体的にあげるのは難しいけど... 彼は、プロップには心の強さが必要だと考えているからなんでしょうけど、ジャリの上でトレーニングさせたり、コンクリートの上でスクラムを組ませたりするんですよ。昔の日本の体育会みたいなことを、科学的なトレーニング理論の進んだ時代にやらされるとは思いもしなかった(笑)。フランスにもこんな人がいるんだなあ、とカルチャーショックを受けました。ある意味、貴重な、面白い経験でしたね」

―畠山選手はイングランド・プレミアシップでプレーした初めての日本人選手になりました。イングランドのラグビー、ヨーロッパのラグビーを経験した感想を聞かせてください。

「フランスもそうですが、イングランドのプレミアシップも、イングランド以外の国の選手がたくさん在籍しています。それは、ラグビーがビジネスとして成立しているからなんですね。もちろん、サッカーの方が規模はずっと大きいんですが、ラグビーもビジネスとして成り立っているんです。日本のトップリーグでもプロ選手は増えているけれど、まだそこまで成熟していない。

向こうではもちろん試合は激しいし、レベルも高いけれど、日本との違いを感じたのはピッチ外の部分です。スタジアムも華やかで活気があるし、クラブの運営やホームスタジアムの管理、グッズ販売、併設する飲食店など、いろいろな形でクラブに携わる仕事があって、その全員が、僕の行ったニューカッスル・ファルコンズならファルコンズのロゴ入りのウェアを着て、チームの一員として誇りを持って働いているんですね。そんな中で、選手はエンターテインメントとして激しい、レベルの高いプレーをして、観客に喜んでもらう。そうして、みんなでクラブの価値を高めているんですね。

ヨーロッパやニュージーランドなどラグビーの盛んな国では『ラグビーが文化として定着している』とよく言われますが、ピッチのなかだけでなく、ラグビーがビジネスとして成立して、プレーヤー以外にとっても職業選択肢のひとつになっていることが、僕にとっては新鮮な驚きでした。たぶんフランスは、僕が行ったイングランドよりもっともっと華やかで、洗練された部分があるんだろうと思います」

―そのラグビーフランスリーグTOP14のRCトゥーロンに、畠山さんが高校日本代表から早大、日本代表までずっと同期で一緒にプレーした五郎丸選手が挑戦しています。

「そうですね。国内でやっているときでもこれだけ人気で差をつけられていたのに(笑)、世界に、それもRCトゥーロンというスーパースター軍団に行かれてしまった。同級生だったとも思えないくらい遠くへ行かれてしまいましたが、もう、一人のファンとして活躍を楽しみにしています。早くケガを治して、良い状態でチームに合流して、TOP14の舞台で活躍する姿を見せてほしいですね」

●畠山健介(はたけやま・けんすけ)

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1985年8月2日、宮城県気仙沼市生まれ。松岩小2年のとき、鹿折ラグビースクールでラグビーを始める。仙台育英高時代に高校日本代表、U19日本代表に選ばれ、早大に進学後は同学年の五郎丸とともに早大の黄金時代に貢献。サントリー入りした2008年のアメリカ戦で初めて日本代表入りし、6月のスコットランド戦までで75キャップ。スクラムを最前列で支えるプロップという負荷の高いポジションながら巧みなハンドリングと運動量でトライに絡み、ワールドカップには2011年、2015年と2大会連続で全試合に出場した。トップリーグの15-16シーズン終了後、イングランド・プレミアシップのニューカッスル・ファルコンズに期限付き移籍し、日本人FW初のプレミアシップ出場を果たした。178センチ、113キロ。

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★「ラグビー フランスリーグ TOP14」

ラグビー世界最高峰のプロリーグ「TOP14」。五郎丸歩選手が所属するRCトゥーロンの試合を中心に年間57試合放送予定!

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