ラップに乗って「秘密保護法反対」〝イマドキの若者〟らがデモ

自由と民主主義、そして言葉を守るために何ができるかを考え行動することは、これからが正念場と言えるだろう。
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〝特定秘密保護法反対 Get up. Stand up. Stand up for your right.

Get up. Stand up. Don't give up the fight"

ラップのリズムに合わせて、先導のサウンドカーからコールが繰り出されていく。10月25日、土曜の午後、東京・渋谷の路上で特定秘密保護法の12月10日施行反対を訴えるデモが開催された。

参加者の多くは、クラブやサークルのイベントに集まったかのような「イマドキの若者」。おしゃれさとクールさを前面に打ち出し、秘密保護法反対の意思を表明した。

特定秘密保護法は、安倍晋三政権が、安全保障などの情報を政府が管理し、機密の漏洩(ろうえい)を防ぐため、としてつくったものだが、秘密の範囲があいまいであることや、秘密を扱う公務員に限らず、ブロガーなどの言論も統制されるのではないか、と施行を前に数々の問題点が指摘されている。

主催したのは「特定秘密保護法に反対する学生有志の会(SASPL)」。都内の大学生を中心に集まった彼らは、昨年12月6日の法案可決以降、ツイッターやフェイスブックなどを駆使して、問題点を訴え続けてきた。さらにファッション広告を、ほうふつとさせるデモ告知の画像や、5分で法律がわかる映像を作成し、同年代の関心をひくことも心がけてきた。今年2月と5月にもデモをおこなったが、主催者の発表によると今回は約2000名と、前回の5倍もの人が集まったそうだ。

デモ開始前、マイクを握った大学生たちは、「この法は自由と民主主義に反するものだ」「特定秘密を扱う個人は適性評価の対象となり、精神疾患や家族の構成などを国家に取り調べられてしまうのではないか」などとスピーチ。集まった人たちは皆、熱心に耳を傾けていた。

そのなかには若者の「生きづらさ」をテーマに執筆する、作家の雨宮処凛(あまみや・かりん)さんの姿もあった。運営メンバーからデモについて聞き、駆けつけた雨宮さんは「若い人が集まって、声をあげていることがうれしい」と、目を細めながら参加者たちを見つめていた。

■ 言葉を守るために

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デモをする若者たち、東京・渋谷(筆者撮影)

「自分は、若いのに偉いねって、ほめられるのは、ちょっと苦手です。それにこの法律に反対するのは、社会の構成員なら当たり前のことだと思う。大学生が集まっているから楽しそうに見えるかもしれないけれど、施行が近づいているので本当はとても焦っています」。

そう言うのは、都内の大学に通う正木純さん(19)だ。正木さんは秘密保護法について、日に日に周囲の関心が薄れてしまっていることにも焦りを感じている。

「法律そのものを無効化したい!」(19歳大学生)

「施行はもう仕方がない。でも秘密保護法は危険だという世論を盛り上げることで、次の政権以降の情報開示への動きに結びつけられるのではないか」(33歳大学院生)と、参加者はそれぞれの思いを口にした。誰もが法案を危険だと感じ、自分のこととして受けとめているのが印象的だった。

12月10日に施行されることもあり、SASPL主催のデモは今回で最後となった。だが、若者たちは、12月9日、10日の夜には官邸前に集まり抗議の声を上げるという。正木さんが「SASPLと同じやり方じゃなくてもいい。たとえ 社会がすぐに変わらなくても、これからも、ひとりひとりが反対を言い続ける必要がある」と語ったように、これで終わりでは決してない。

自由と民主主義、そして言葉を守るために何ができるかを考え行動することは、これからが正念場と言えるだろう。

(2014年11月17日AJWフォーラムより転載)