特定秘密のまま廃棄される場合、一度廃棄されてしまえば元に戻すことができません。担当部署の慎重な判断が求められます。

国家公安委員長、行革担当大臣や防災、消費者問題、規制改革担当の内閣府特命担当大臣と並んで、私は特定秘密の担当の大臣も拝命しておりました。

今回、防衛省の6件、経産省の87件の特定秘密の廃棄が妥当と独立公文書管理監が判断したということで、様々なご意見をいただいています。

本来、特定秘密を含む特定行政文書ファイルは、特定秘密が解除されて後、国立公文書館に移管されるべきものです。

そのため、こうした文書に関しては、独立公文書管理監と内閣総理大臣の二重のチェックを受けることになります。

内閣総理大臣というのは、現実には公文書を担当する内閣府の特命担当大臣(これも私でした)の下の公文書管理課が実務に当たります。

その上で、衆議院、参議院にそれぞれ設置されている情報監視審査会が特定秘密をチェックして、政府の決定が妥当かどうか審査することになります。

今回、独立公文書管理監が廃棄が妥当とした対象ファイルは防衛省6件で文書は6件(つまり一ファイル一文書でした)と、経産省3件のファイルで87件の文書です。

今回、廃棄が妥当とされた防衛省の文書は、特定秘密ができる前に防衛秘密として管理されていた文書の管理簿です。

特定秘密ができたときに、防衛秘密は特定秘密に指定されました。

本来、文書の管理簿が秘密になることはないのですが、その防衛秘密を管理していた管理簿に特定秘密が含まれるようなものがあり(イメージとしては、管理簿に記載された文書のタイトルが特定秘密そのものだったり)、その管理簿が特定秘密に指定されました。

今回、その管理簿は廃棄が妥当とされましたが、その管理簿に載っている特定秘密そのものは引き続き特定秘密として管理されるか(特定秘密は新たに作成された特定秘密用の管理簿で管理されています)、特定秘密に指定されるときにはもう既に存在しなかった(つまり防衛秘密の時代に防衛秘密に指定され、防衛秘密として廃棄されている)ものです。

この管理簿が廃棄されても、政策決定あるいは歴史的価値をいずれも損なうことがないというのが独立公文書管理監の判断です。

また、経産省のファイルは、内閣情報調査室の下にある衛星センターからの衛星写真の画像です。

これら87件は、元の画像が内調に残されており、また、内調が特定秘密としての期限が切れたときには国立公文書館に引き渡すと決めているものです。

つまり、コピーなので廃棄されても政策決定及び歴史的価値に関して失われるものはありません。

また、これらの衛星画像が経産省の政策決定に利用されたことがありませんでした。

経産、防衛両省から特定秘密としての保存期間が終了し、期間を延長する予定がないとして独立公文書管理監に示され、独立公文書管理監が検証・監察を行った結果、廃棄は妥当とされ、次に、両省から内閣府公文書管理課に公文書管理法第8条第2項に基づいた廃棄協議が現在、行われているところです。

また、同時に、衆参両院のそれぞれ与野党からなる情報監視審査会が、この特定秘密をチェックして、政府が廃棄と決めたときにその決定が妥当かどうかを判断します。

特定秘密は、今回のように特定秘密のまま、廃棄される場合の他、特定秘密を解除されて国立公文書館に移管される場合、特定秘密を解除されて、歴史的価値がないと判断されて廃棄される場合があります。

特定秘密が解除されて廃棄された例はこれまでありませんが、特定秘密が解除されていますので、情報公開請求をして、そのファイルを見ることは可能です。

おそらく、一定期間、そのための期間が設けられることになるだろうと思います。

特定秘密のまま廃棄される場合は、一度廃棄されてしまえば元に戻すことができないわけですから、独立公文書管理監、内閣府公文書管理課の慎重な判断が求められますし、両院の情報監視審査会がしっかりと国民の代表としての役割を果たすことが何よりも大切です。

(2017年5月25日「衆議院議員 河野太郎公式サイト」より転載)