被災地はストーリーの素材じゃない。東日本大震災の報道に、蒲鉾本舗高政が苦言を呈す理由

宮城県女川町の老舗かまぼこ店。「作られたストーリーを演じる人を探している」と指摘
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東日本大震災の津波で、根元からなぎ倒された状態のまま、震災遺構として保存されている宮城県警の旧女川交番=2017年9月1日、宮城県女川町
時事通信社

宮城県女川町にある老舗かまぼこ店「蒲鉾本舗 高政」が3月9日、公式Twitterで震災報道の過剰な演出に苦言を呈した。マスコミの取材手法について「勝手な構成にしないでね」として、「たくさん取材依頼が来るが、今年は8割以上お断りした」と綴った。

この投稿は11日午後3時現在で1万3000回以上もリツイートされている。

どんな思いで、このツイートを発信したのか。

株式会社 高政の代表取締役社長・高橋正樹さんにインタビューした。

━━今年から取材を8割以上お断りしたとありました。その理由を教えてください。

Twitterにも書いたんですが、「3.11」に向けて毎年多くの取材を受けてきました。数にすると、8年で500回以上受けてきた。

その中で、取材の趣旨が年々『本質とズレてきている』と感じるようになったんです。

━━高橋さんが思う本質って、どういうことですか?

なんだか最近の報道って、「とりあえず忘れない」「とりあえず風化させない」になっていませんか?と思うんです。

忘れないことが『目的』になってしまっている。

「忘れない」というのはあくまで前提であって、その上でなにをしていけるかが重要なはずです。なのに、報道する側は忘れないためにストーリーを作ってしまう。

あの震災で多くの人の命が失われたということを忘れない事だけが、伝え続けることの本質だと思うんです。

━━報道する側の演出面に言及していました。具体的に何を感じていますか?

 『被災地の素材化』が著しいなと感じます。

震災直後は、伝えるべき内容が沢山あったのでしょう。

しかし震災から2年を過ぎた頃から、テレビ局さんの取材を受ける度に「悲しい話を探している」「ネタ探しが大変なのかな」と思うことが増えていきました。

宮城県の女川町は、他の被災地と比べると比較的復興は進んでいる町なんです。

それでも、震災から何年というタイミングの直前にこの町に来て、無理やりネガティブな物語を探そうとするメディアもある。「作られたストーリーを演じる人を探している」といった感じで。

一部の発言だけを切り取って演出されたり、正直、失礼な取材がたくさんありました。

地元の放送局などはまだ伝えきれていない側面を継続的に取材しているメディアもあって感謝しています。全てのメディアが当てはまるわけではないんです。

ただ、「被災地で生きる僕らは(ストーリーを演じる)素材じゃないんだよ」って言いたいですね。

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メディアが取材する際の過剰な演出や、取材を受ける側を単なる「素材」として見ている現状に疑問を呈したこのツイート。

震災から8年を迎えた今、報道をする側の姿勢が改めて問われているのかもしれない。