男性育休、義務化は「個人ではなく企業へ」。反発受け、推進派が7つの提言

厚労省の審議会で義務化への反対意見が相次いだことを受け、「我々は近年それぞれの立場で『男性本人の意識への働きかけ』に協力してきたが、個人への意識啓発では取得率向上に限界がある」と訴えている。
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赤ちゃんとパパ・ママのイメージ写真
Indeed via Getty Images

男性育休の取得推進策を検討する厚生労働省の審議会で、「義務化」をめぐって反対や疑問の声が相次いだことを受け、推進派の企業や団体が「義務化は個人ではなく企業に対する義務付け」だとして7つの提言を発表した。

声明を発表したのは、2019年1月に発足した「男性育休義務化プロジェクトチーム」。

男性育休取得率の有価証券報告書への記載義務付けや、企業が従業員に対して制度を周知するよう義務付けるよう求める内容となっている。

 

「 個人への意識啓発では限界」

「男性育休義務化プロジェクトチーム」には、企業の「男性育休100%宣言」プロジェクトを提唱するワーク・ライフバランス社や、厚労省のイクメンプロジェクト座長の駒崎弘樹氏が代表理事を務める認定NPO法人フローレンスも加わっている。

9月に行われた厚労省の審議会では、政府が5月に閣議決定した少子化大綱に掲げられた目標数値『2025年までに30%』をめぐり、「義務化」に反発が相次いだ。

「取得の申し出があったら使用者は認めなくてはいけない。制度上はすでに義務化されている」

「労働者や職場の実態を踏まえて議論するべき」

「取得しづらい環境が多く存在するなら、個別の労使関係のコミュニケーションで解決するのがあるべき形」

中には、「取得は労働者の権利であって義務ではない」など、個人への取得の義務付けだと捉えて反対する声もあった。

 

提言では、産後女性の死因で最も多い産後うつの予防や回復に男性育休が「強力な選択肢になる」と指摘。

「我々は近年それぞれの立場で、国の掲げた男性育休取得の促進施策『男性本人の意識への働きかけ』に協力してきましたが、個人への意識啓発では取得率向上に限界がある」と訴えている。

育休の取得を希望する男性の割合と実際の取得率には大きな隔たりがあるとして、「今、変わらなければならないのは政府および企業ではないか」と7つの具体策を提案した。

 

7つの提言は以下の通り。

① 企業の周知行動の報告義務化

従業員に対し、男性育休制度を正しく周知させることを、企業側の義務とする。

 

② 取得率に応じたペナルティやインセンティブの整備

一定の取得率を達成した場合、企業が負担する社会保険料のうち、子育て拠出金の負担率を軽減させる。

 

③ 有価証券報告書に「男性育休取得率」を記載

男性の育児休業取得率を有価証券報告書に毎年記載するよう、企業側の義務とする。

 

④ 育休1カ月前申請を柔軟に

現状の1カ月前申請を、期間が8週間未満の場合、かつ男性の場合には、育児休業開始は出産予定日を開始日とし出産後に変更を可能とする。

 

⑤ 男性の産休を新設し、産休期間の給付金を実質100%へ

産後8週間の男性育休はパパ産休とし、現行の給付金67%では不足してしまう分を補填し、手取り額が減らない100%給付とする。また給付金の上限額を34万円程度(現状は30万円程度)まで引き上げる。

 

⑥ 半育休制度の柔軟な運用

現状の「一時的かつ臨時的」の場合のみ利用可能な、休業期間中の就労(月10日以下、10日を超える場合は80時間以内)を、労使の合意のもとであれば、定例会議などの定期的な会議への参加が可能となる運用へ変更する。

 

⑦ 育児休業を有効に活用するための「父親学級」支援

従業員の子育てスキル補填のための「企業主導型父親学級」を整備する。実施企業への助成金制度や、えるぼし/くるみん認定の評価基準へ加点ポイントとする。