就寝中の深夜にノック⇒「あなたノーベル賞とりました」。近所に住む共同受賞者から知らされる

ノーベル委員会からの「電話に出てもらえる?」⇒「もちろん」

静まり返った深夜2時すぎ。

アメリカ・スタンフォード大学のポール・ミルグロム氏が自宅で寝ていると、ドアベルが鳴り、何度もドアをノックする音が聞こえた。

何事かと思って応じると、相手は同じスタンフォード大で研究するロバート・ウィルソン氏。

第一声は「あなたはノーベル賞を取った」という思いがけない知らせだった。

ノーベル委員会がミルグロム氏と連絡が取れず、代わりに、近所に住んでいた共同受賞者のウィルソン氏が直接知らせに行くことになったのだ。

スタンフォード大学が10月12日、Twitterにミルグロム氏宅のドアカメラ映像を投稿し、やりとりの様子が写っている。

到着したウィルソン氏と妻は、何度もドアベルを鳴らす。鍵は閉まっているようで、ノックしても反応がない。

「ポール」と呼びかけ、ドアベルを鳴らし続けると、ミルグロム氏が応答した。

ウィルソン氏:「ロバート・ウィルソンだ」

 

ミルグロム氏:「はい」

 

ウィルソン氏:「あなたはノーベル賞を受賞したよ。彼ら(ノーベル委員会)は連絡を取ろうとしたのだけど、あなたの番号を知らないようだった」

 

ウィルソン氏の妻:「私たちがあなたの携帯電話を伝えたよ」

 

ミルグロム氏:「(電話が)きてるよ。わぉ。OK」

 

ウィルソン氏の妻:「電話に出てもらえる?」

 

ミルグロム氏:「もちろん」

ストックホルムに住んでいるミルグロム氏の妻の携帯に、ミルグロム氏宅の防犯カメラの通知が届いた。このやりとりをライブ視聴することになったという。

Irish Timesは、スタンフォード大の話として、この出来事の数時間前、ミルグロム氏は、家の電話が鳴ったが電話線を抜いたと伝えている。そこで委員会は、ウィルソン氏夫妻に連絡を取ったという経緯のようだ。

ミルグロム氏とウィルソン氏はノーベル経済学賞を共同受賞。

電波の周波数の割り当てなどに使われるオークション理論を確立し、実用化に大きく貢献したことが評価された。

受賞発表はアメリカの現地時間で13日未明。ウィルソン氏も就寝中だったという。

ミルグロム氏はその後、ノーベル委員会の電話インタビューに応じた。受賞を知った経緯を尋ねられ、こう振り返っている。

「家のドアベルが鳴って、共同受賞者のロバート・ウィルソンがドアをノックしていました。誰も私に連絡が取れなかったものですから。ドアモニターが付いているのですが、出ると彼でした」