17日から英国・北アイルランドで開催されているG8サミットで、シリア内戦をめぐり、反体制派を支援するオバマ米大統領と、アサド政権を支持するプーチン露大統領の違いが鮮明となった。
2年以上にわたるシリア内戦の死亡者は9万3000人以上にのぼるという。昨今は、ヒズボラなどの支援を受けた政府軍が攻勢を強めている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米・ロ両大統領は、両派を招いた平和交渉の必要性については意見が一致したものの、交渉の具体的な参加者や時期、目標には言及しなかった。総じて、米露両国の溝が浮き彫りになった形だ。
【英首相の目論見はずれる プーチン大統領の主張とは】
フィナンシャル・タイムズ紙によると、議長国イギリスのキャメロン首相は、米仏などと共同で、アサド政権退陣後の計画を進め、Ｇ8諸国の同意を望んでいたようだ。
しかしながらプーチン大統領は、西側諸国が、どんな政府にするか明確な考えがないのにアサド政権を「見捨てる」のは無謀であると主張。
さらに、アサド大統領は公正な選挙によって当選しており、同政権向けの武器供与は国際法上問題ないと主張した。武器供与はあくまで平和に資するという立場だ。
またプーチン大統領は、反体制派メンバーが敵兵の内臓を口にする映像にふれ、「危険な」反体制派への米欧の軍事支援を批判した。
なお、ある実業家は、2014年に予定されている選挙までには対立に変化がみられるだろうとフィナンシャル・タイムズ紙の取材に語っている。
米政府は先週、アサド政権の化学兵器使用を認め、「一線を越えた」と結論づけた。これを受け、反体制派への軍事支援を行うと表明した。
対してロシア政府は、アサド政権が化学兵器を使用しているという米国の主張に疑問を示している。
またオランド大統領は、G8首脳が共同でアサド政権の化学兵器使用について非難すべきだとメディアに語り、プーチン大統領に圧力をかけている。
一方メンケル独首相は、アサド政権の化学兵器使用について、非常に真剣に受け止め、国連安保理が一致した立場をとることを望むと述べたものの、反体制派に対し武器を供与する計画はないという。
なお日本政府は、これまで8000万ドル（約76億円）の人道支援をしてきたが、今回初めて、反体制派に対し医療分野などの直接支援を明らかにした。
シリア・アレッポでの戦闘
反体制派のスナイパー(01 of10)
Open Image Modal(FILES) This photo taken on October 18, 2012 shows two Syrian rebels taking sniper positions at the heavily contested neighborhood of Karmal Jabl in central Aleppo. Manzano, an AFP stringer, was awarded the 2013 Pulitzer Prize for feature photography in New York on April 15, 2013. AFP PHOTO/FILES/JAVIER MANZANO (credit:AFP)
アレッポ中心部で市街戦をする反体制派(02 of10)
Open Image ModalFree Syrian Army fighters take cover as they exchange fire with regime forces in the Salaheddin neighbourhood of Syria\'s northern city of Aleppo on August 22, 2012. At least 12 people were killed in a raid on a district of Damascus, while fighter jets and artillery pummelled the city of Aleppo and rebels claimed seizing parts of a town on the Iraqi border, a watchdog said. AFP PHOTO / JAMES LAWLER DUGGAN (credit:AFP時事)
アレッポで取材中に亡くなった山本美香さん(03 of10)
Open Image Modalイギリス・ロンドンの教会に置かれたシリア北部アレッポで死亡したジャーナリスト山本美香さんの遺影＝２４日。 (credit:時事通信)
日本に帰った山本美香さんの遺体(04 of10)
Open Image Modal到着したシリア北部アレッポで死亡したジャーナリスト山本美香さんのひつぎ。航空会社の関係者らが黙とうをささげた＝２５日午前、千葉・成田空港 (credit:時事通信)
反体制武装組織メンバーたち(05 of10)
Open Image Modal銃を手にするシリアの反体制武装組織メンバー＝１５日、シリア北部アレッポ郊外 (credit:時事通信)
攻撃を受けたアレッポ大学(06 of10)
Open Image Modal大きな爆発があったアレッポ大建築学部前の現場（シリア・アレッポ） (credit:AFP)
被害を受けた世界遺産(07 of10)
Open Image ModalA combo of pictures shows the minaret (top) of Aleppo\'s ancient Umayyad mosque, in the UNESCO-listed northern Syrian city, on April 16, 2013, and the rubble (bottom) after it was blown up on April 24. The iconic mosque in Aleppo\'s labyrinthine Old City has been a key battleground since last July, with rebels seeking the ouster of Bashar al-Assad\'s regime laying siege twice but each time managing only to keep control for less than 48 hours. AFP PHOTO/ DIMITAR DILKOFF / JALAL AL-HALABI (credit:AFP)
戦火の中の母子(08 of10)
Open Image Modalがれきの中を歩いていくシリアの母子（シリア・アレッポ）\n\nSyrians walk past destroyed buildings in the northern city of Aleppo on March 24, 2013. Syria\'s mainstream insurgent Free Syrian Army does not recognise Ghassan Hitto, a rebel prime minister chosen by dissidents after hours of heated talks last week, a rebel official told AFP. AFP PHOTO/BULENT KILIC (credit:AFP)
スナイパーの覗き穴から見たシリア市街地(09 of10)
Open Image ModalA view of the 13th medieval century citadel that dominates the city of Aleppo, in northern Syria, seen through a sniper position at the \'Izaa\' radio frontline, on May 11, 2013. AFP PHOTO/STR (credit:AFP)
会談するアサド大統領(10 of10)
Open Image Modal会談するアサド大統領（左）と国連のラーセン中東特使（シリア・アレッポ） (credit:AFP時事)