北京マラソンを走るランナー3万人を待ち受けたのは、深刻な大気汚染だった(画像)

第34回北京国際マラソンが10月19日(日曜日)、およそ3万人のランナーが集結して開催された。コースを走るアスリートたちを待ち受けていたのは、沿道の大きな声援と、深刻な大気汚染だった。
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第34回北京国際マラソンが10月19日(日曜日)、およそ3万人のランナーが集結して開催された。

天安門広場から国家スタジアム(別名「鳥の巣」。北京オリンピックのメイン会場)までの約42キロメートルのコースを走るアスリートたちを待ち受けていたのは、沿道の大きな声援と、深刻な大気汚染だった。

「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」紙の記事によると、19日の朝、3万人近いランナーたちがスタート地点の天安門広場に並んだ頃、中国政府は、大気汚染の「青色警報」を発令した。つまり、外出を控えるべき汚染度という意味だ。

北京当局によると、当日朝の段階の大気は、微小粒子状物質「PM2.5」の値が1立方メートル当たり400マイクログラムを越えていた。この粒子状物質は、人間の髪の毛の平均幅の約30分の1の大きさで、健康に有害な物質だと考えられている。吸い込むと、呼吸器系に蓄積する恐れがあるからだ。

世界保健機関(WHO)の指針では、1立方メートルあたり25マイクログラムが1日の最大許容値だ(日本の環境省は、自治体が住民に注意を呼びかける目安の暫定指針値を1日平均で70マイクログラムと定めている)。

CNNの報道によると、多くのランナーが、マスクやガスマスクをつけてスタート地点に現れた。レースへの参加を取りやめたランナーもいたという。

写真共有サイト「Instagram」ユーザーのRunningManMrjさんは、その日の天候状況を撮影した動画を投稿(以下に掲載)し、「大気汚染があまりにもひどいので、レースを棄権せざるを得なかった」とコメントを加えている。

約1週間前に大気汚染レベルの高さを示す警報が出されていたにもかかわらず大会を中止しなかった主催者側には、多くの批判が向けられた。主催者側は、大会を中止にすることができなかった理由として、北京マラソンは大規模なイベントであり、国内ならびに海外から北京にやってくる参加者が多かったと主張している。

男子の部で優勝を飾ったのは、エチオピアのギルマイ・ビルハヌ選手で、タイムは2時間10分42秒だった。

なお、中国では大気汚染の警報が、程度と継続日数によって青、黄色、オレンジ、赤の4段階で出される。対策が実施されるのはオレンジ警報以降で、オレンジの場合は一部企業の生産停止や減産、幼稚園・小中高校における屋外での運動中止。赤色の場合は更に乗用車の使用禁止、幼稚園・小中高校の臨時休校などの措置がとられる。青色警報は、深刻な大気汚染が1日間予想される場合だ。

以下、Instagramに投稿された写真から、スモッグの中で行われたマラソンの様子をご紹介しよう。

[Eline Gordts(English) 日本語版:遠藤康子/ガリレオ]

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