移民が多すぎる?!

私たちの場合、子どもを育てる場所として多文化に寛容でない都市は考えられませんが、改めて周りを見渡してもいかに外国生まれの人が多いことか、移民なしの生活は考えられません。
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Robert Churchill via Getty Images

ハフィントンポストに少し前のブログ『すでに少子化問題は手遅れだけど - 1』が転載されました。

"安倍政権が「50年後に人口1億人維持」を掲げ、その目玉が少子化対策"

聞こえはいいけど、今の出生率1.4を15年間で2.07に引き上げる、という歴史上誰も成し遂げたことがない目標なんですが・・・

と書いたところ、さっそく移民に関していくつかコメントを頂きました。

私たちの場合、子どもを育てる場所として多文化に寛容でない都市は考えられませんが、改めて周りを見渡してもいかに外国生まれの人が多いことか、移民なしの生活は考えられません。

家の改装を頼んだビルダーはセルビア人、毎週家の掃除してくれるクリーナーはブルガリア人、クリーニング屋はインド人、夫が行く散髪屋はポーランド人、近所の美味しいテイクアウェイは中国人経営の中華とタイ人経営のタイ料理。

ワーキングクラス(ブルーカラーの労働者階級)だけではありません、アッパーミドルクラス(プロフェッショナル職)もそうで、ビジネススクール同級生の友人のほとんどは国際結婚(少なくともどちらかが外国人、参考:『移民X世代』)、息子たちが通うナーサリー(保育園)も半数がバイリンガル家庭(イスラエル・ギリシャ・オーストラリア・南アフリカ・フランス・リトアニア・フィンランド etc.)。

ところが、最近イギリスでも「移民の数があまりにも多すぎる」と声をあげる人が多くなってきました。

ニューズウィーク日本版:移民問題が「タブー」でなくなったわけ

人口約6千3百万人の国で13%(約790万人)が外国生まれ、ロンドン(人口1千万人)では3分の1以上が外国生まれです。 イギリス人の4分の3が「移民の数を減らすべき」と答えた、いうアンケート結果も出ています。

とりわけ高技能移民を多く惹き付けることに成功しているイギリスのような国では、移民がもたらす経済効果は広く知られている、と思いたいところですが、誰もが統計やデータで判断するわけはなく、扇情的に利用されやすいトピック。

最近、BBCで"Too Many Immigrants?"(移民が多すぎる?)と題したとても面白いドキュメンタリーが放送されました(2話完結)。 ロンドンを舞台に移民5組と移民反対派の市民5組を引き合わせて1週間お互いの生活や仕事の様子を見せ合って話し合い、最終的に移民は英国にメリットをもたらすかそれぞれが判断を下す、というもの。

1. 「移民が仕事を奪った」と考える建設業のイギリス人若者と10年前にポーランドからやってきて土方から這い上がり今は大工業を経営するポーランド人

2. 強固に移民反対派の元裁判所書記官イギリス人とフィリピンから介護分野の高技能移民としてやってきたフィリピン人

3. 過去2年間無職の若者イギリス人とカフェ店員フランス人

4. 「移民が自分たちの住むコミュニティーを崩壊させた」と考える年金暮らしの老夫婦イギリス人と外国人向け語学学校を経営するパキスタン人夫婦

5. 「現代の移民は英国社会に溶け込もうと努力していない」と考えるインド系イギリス人(移民2世)と8人の子どもを抱える元難民のソマリア人

自分のスキルと労働市場が求めるものがミスマッチしていることに気づかず怠惰な就職活動を行っているイギリス人(24歳)に、「やる気があればロンドンには仕事なんていくらでもあるわよ」と就職活動の仕方を教える22歳のフランス人(彼女が住むのは19人が住んでいるシェアハウス!)。

「移民が無料の国民医療制度(NHS)にタダ乗りしているのではないか?」という質問に対し、「1人の移民にかかる医療費は平均的なイギリス人より少ない。 移民は働きに来ているので若いし、一般的なイギリス人より健康的な生活をしている。 国の医療予算を圧迫しているのは高齢化」と語る専門家。

「VISAの制限で年に3万ポンド以上稼いで税金納めないと国に追い返されるんだから必死で働いて税金を納めている」と語るパキスタン人夫婦。

とーっても面白かったです。 YouTubeに両エピソード載っているので、ぜひ誰か訳してください〜(英国在住者はBBC iPlayerでも見られます)。

日本における移民論って移民の多い社会を経験したことない人が想像で感情論を語っている気がするのですが、「移民が多い街(3分の1以上)で暮らすイギリス人がどんな現実問題を心配していて、実際に移民の生活を知るとどういう反応を示すのか?」という近未来を見るような視点で見るととても面白いと思います。

エピソード1

エピソード2