結核 : 手遅れになる前に行動を

このままいけば200年たっても結核はなくなりません。今、だからこそ、これまで以上、いやこれまで以上に賢いやり方で、結核闘争に立ち上がるべきなのです。
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An Indian tuberculosis patient sits with his brother at the Rajan Babu Tuberculosis Hospital in New Delhi on March 24, 2014. India must stop its doctors prescribing 'irrational' treatments to cure tuberculosis, medical humanitarian group Medecins Sans Frontieres said March 22, warning the practice is increasing drug-resistant strains of the disease. AFP PHOTO/Chandan KHANNA (Photo credit should read Chandan Khanna/AFP/Getty Images)
AFP via Getty Images

毎年150万人の命を奪い、息をするだけで罹ってしまうかもしれない病気のこと、考えたことがありますか。結核は私たちが無視できない脅威で、しかも薬への耐性という新しい様相を帯びてますます恐ろしい病気になっています。イギリス議員連盟による最新の調査結果によると、2050年までには新型結核だけで年間260万人の命がうばわれ、財政支出総額は16兆7000億ドルに上るだろうと指摘されています。

今回発表された数字では災厄の重大さがはっきり示されています。薬剤耐性結核を野放しにすれば、私たちの目の前で拡散していくかもしれないのです。

世界保健機関が結核を世界的「非常事態」と宣言してから22年もたっているにもかかわらず、この現状は承服できるものではありません。この間に3000万人近くが、避けることのできる、直すことのできる病気で命を落としていることは悲劇です。

このままいけば200年たっても結核はなくなりません。今、だからこそ、これまで以上、いやこれまで以上に賢いやり方で、結核闘争に立ち上がるべきなのです。私たちの未来は革新の未来です : 革新的ツールで結核対策資金を集め、革新的解決法に投入し、結核を最優先課題として取り組むリーダーシップを築く未来です。

2035年までに世界的伝染病・結核の根絶は可能です。しかし手遅れにならないうちに革新を起こさなければなりません。

革新的資金調達を武器に

結核についての調査と支援に世界全体で必要な額は32億ユーロと見積られています。これを捻出しようとすれば、当然のことながらより多くの国が財政努力を加速しなければなりません。

この病にもっとも侵されているいくつかの国は、対結核プログラムにこれまで通りの国際的財政支援を受けるには、豊かになりすぎという状況に移行しつつあります。しかし同時に、それらの国が保健衛生に充当できる予算は必要を満たすには程遠いものです。後発途上国対策に的を絞ることが予算の制約になっているわけですが、その他にもいくつかのドナー国が国際財政支援の額を減らしているなども挙げられます。

新しい資金をみつけるため現存する解決法がいくつかあります。革新的資金調達は追加財源を生み出す効果があることが証明されています。たとえば金融取引に税をかければ、世界中の保健衛生改善を目的に大きな金額を集めて貧しい国を減らすことができます。これは、永続性がありかつ予測可能なものです。

さらにこの種の資金調達は市民にとっては痛みのないものです。実はすでに相当な資金を集めています。航空券税がその例で、エコノミークラスのチケットではわずか1.13ユーロという額の上乗せでもたらされた財源は、ユニットエイド(UNITAID-発展途上国で医薬品の価格を下げるための市場形成をする機関)に拠出されています。

ユニットエイドではこの資金を活用して、結核迅速診断のデバイスGeneXpertを21か国に配置するという壮大な計画を発進することができました。この装置は薬剤耐性結核を2時間で検出するものです。つまりより多くの患者に診断を下すことができ、死に至るかもしれない病の治療を速やかに開始することができるのです。ユニットエイドはまたこの検査でひとりひとりの患者に使われる使い捨てカートリッジの値段を下げました。これによりユニットエイドから直接支援を受けていない国、例えば南アフリカなどでGeneXpertをより広く活用できるという波及効果も生んでいます。

革新的支出 : 効果ある対策を

しかし、必要としている人々が安価に入手しやすい新診断技術、新ワクチン、最も効果的治療の開発など、支出の優先事項を取捨選択し、もっとも緊急性のある方向にむけることも肝要です。

薬剤耐性結核の治療には2年かかります。しかも治療をうけた患者の50%そこそこしか完治していません。こうした状況にもかかわらず、過去40年でこの病気治療に認可された新薬はたった2種です。あらゆる努力を払う余地があります。

この間にも、結核医薬品関連の研究投資は下降の一途をたどっています。私たちはしたがって薬の生産者には、現存する有望な革新モデルなど、結核研究調査に投資するよう求めます。

医薬品特許プールは国連の支援を得ているイニシアティブで、ジェネリック生産者がHIV医薬のライセンス生産をしやすくするものです。ライセンスを集約することで、途上国でHIVと共に生きる人々が低価格の薬と技術の恩恵をうけることができ、さらに4000万ドルの節約ができました。このモデルを結核に適用することは大いにあり得ます。

政治的意志 : パズルに欠けているピース

高いレベルの革新は、なんであれ政治的意志なくしては達成できません。結核は空気感染し、国境は関係ありません。だからこそ全ての国が結核との闘いに資金を投入し、実施された政策が効果をもたらすよう取り組むべきです。

BRICS(ブリックス=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の一部の国、特に南アフリカは結核治療に効果を上げている点では抜きんでています。この国は結核高まん延国に数えられていますが、大々的な検診治療キャンペーンを実施しています。

2014年11月、ブラジル、カナダ、フランス、インド、ケニア、南アフリカ、タンザニア、イギリス、アメリカの国会議員により、結核に関する国際議員連盟が創設され、バルセロナ宣言が調印されました。これにより結核との闘いに強力な協調体制が整い、同時に政治的動員が可能であることが示されました。この議員連盟はNGOや世界保健機関などの関係団体と共に、ストップ結核パートナーシップと協力体制のもと、それぞれ自国での支持を取りまとめてこの病と闘う役割を果たします。

こうした政治的指導者は、目先の国益よりまず地球上の最も古く最も重篤な病のひとつと闘ってより健全な世の中を目指すべきとし、その実現性を確信しています。

薬剤耐性結核について本日公表された数字では、結核がどれほど世界の保健と経済にダメージを与えるものであるかが示されています。今こそ結核に代表される地球規模の保健の脅威に終止符をうつための革新と政治的関わりを最優先に、共に行動するときです。

Dr. アーロン・モツォアレディ

フィリップ・ドスト=ブラジ

ユニットエイド理事長

元フランス外務大臣及び厚生大臣