「ベンチャースポーツ」と呼ぶべき現代の「マイナースポーツ」

他の国や国際的には知名度がある競技でも、日本であまり知られていない競技は「マイナースポーツ」と長く呼ばれてきました。

初めまして。篠原肇(しのはらはじめ、Twitter@HajimeShinohara)と申します。

今回ご縁があり、ハフィントンポスト日本版へ寄稿させていただくことになりました。投稿内容は主に「ベンチャースポーツ」について書いていくことになります。読者の皆様は、この単語に馴染みない方が多いかと思いますが、適宜説明を加えていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

私はコーフボールとドラフツという2競技で日本代表選手を経験しています。コーフボールはオランダ発祥のスポーツで男女混合で行うオランダ式のバスケットボール派生競技です。ヨーロッパの一部地域では盛んです。ドラフツは、チェッカー柄の盤で行うマインドスポーツ(ボードゲーム)です。記事の趣旨からそれるので、これらの詳細な説明は割愛します。

上記のような他の国や国際的には知名度がある競技でも、日本であまり知られていない競技は「マイナースポーツ」と長く呼ばれてきました。さてここで、「マイナー」とはどういう意味でしょうか。辞書で検索してみると以下のようにあります。

[名・形動]

1 小さいこと。少ないこと。あまり重要でないこと。また、そのさま。「―チェンジ」⇔メジャー。

2 あまり知られていないさま。有名でないさま。「―なスポーツ」⇔メジャー。

3 音楽で、短調。短音階。⇔メジャー。

4 (the minors)マイナーリーグのこと。→メジャー

5 大学の副専攻科目。→メジャーマイナー

マイナー【minor】の意味 - goo国語辞書

私を含め、取り組んでいる当事者達は、マイナースポーツにおける「マイナー」を「競技人口が少ない」以外に特に意味を感じていないようです。

一方で客観的に見れば、大半の場合において、それ以外の意味、特に「重要でない」という相当にネガティブな意味を含んで「マイナースポーツ」と呼んでいるのが現状でしょう、よって「マイナースポーツ」という言葉のイメージは、残念ながら、決して良いイメージとは言えません。

それでも取り組んでいる人々の大半は、どうにか普及させたいという思いを持っています。(普及に関しては別途述べます。)実際に、各競技は、ユニークで面白いものもかなりの数に上ります。

しかしながら、「取るに足りない」という相当にネガティブな意味を持ったものを宣伝しようとしても、宣伝が難しいのは明らかでしょう。

今までにも、本当は興味があっても「マイナースポーツ(というネガティブなイメージを持つ競技)をやるなんて格好が悪い」と心のどこかで思って、取り組んでみるのを躊躇している方もいらっしゃるでしょう。現在、世界でも大体の国と地域でもそうだと推測できますが、少なくとも日本ではこのような、「マイナー」という単語のイメージによる先入観で「食わず嫌い」を受けている競技が多々あります。

ところで、日本では、特に立ち上げたばかりの企業を「ベンチャー企業」と呼ぶ傾向にあります。

こちらは概してポジティブなイメージで使われることが多い一方で、優良企業も多々あると思いますが、「零細企業」には間違っても行ってはいけないような風潮さえあります。実際、ベンチャー企業と零細企業で画像検索をすると、前者は発芽するような成長のイメージ、後者は寂れた今にもつぶれそうな工場の画像がヒットします。

宣伝文句でも、「新進気鋭のベンチャー企業」というような表現はよく聞くものの、「新進気鋭の零細企業」といった表現は、少なくとも私は聞いた覚えがありません。さらに企業によっては、実態はもはや詐欺集団であったとしても、「ベンチャー企業」を名乗っているのが現状です。ただそれでも「ベンチャー企業」という単語の持つイメージは相当に良いようで、まかり通っているのが現状でしょう。

そもそも「ベンチャー企業」の定義はあいまいなようで、どう名乗るかは、自称によるところが強いようです。ただそれでも、言い方を変えるだけで、これだけの差があります。こうなれば、何かを宣伝・普及する際に、あえて悪いイメージの単語を使う必要はないでしょう。

さて、「ベンチャー企業」におけるこの現象を「マイナースポーツ」に「応用」するとどうなるでしょうか。

「マイナースポーツ」というと、「変わり者の取るに足りない風変わりな趣味」というイメージがわくのに対し、「ベンチャースポーツ」といえば、「時代の最先端を行くイノベーターのスポーツ」と感じるのではないでしょうか?

今までマイナースポーツと呼ばれてきた競技の協会や選手の方々に「ベンチャースポーツ」を提案したところ、非常に反応がよく、徐々に利用する人々が増えてきており浸透してきています。本記事を執筆している2016年11月現在では、Google検索で「ベンチャースポーツ」の予測変換が出現しました。

ピグマリオン効果(教師期待効果、ローゼンタール効果)と呼ばれる、教師が期待したほうが、生徒の成績が上がるという有名な心理学の実験結果にあるように、「マイナー」に代表されるネガティブなレッテルを張るよりも、「ベンチャー」のようなポジティブなレッテルを張る方が、さらなる向上が期待できるのではないでしょうか。

本連載を通して、日本ベンチャースポーツの現状や問題、今後の未来を皆様と共有できれば幸いです。

なお、私が「ベンチャースポーツ」と言い出す前までは、「ITベンチャースポーツ大会(IT企業のスポーツ大会)」や「スポーツベンチャー(スポーツのベンチャー企業)」などの単語は検索にヒットしたものの、上記の意味での「ベンチャースポーツ」はヒットしませんでした。これに伴い、ただ書いているだけというのも難なので、「ベンチャースポーツ提唱者」として本記事を記述しています。

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