野菜高騰――ビタミンC補給にジャガイモ!? 決め手は調理法

改めて見直したのが、今年は価格の安定しているジャガイモです。

野菜がまだまだ本当に高いです。平年価格に比べ、白菜が約2.3倍、大根やキャベツが約2.2倍(1月15~17日の小売価格、農水省食品価格動向調査)とのことですが、実感ではそれ以上のものも。それらに含まれるビタミンCをどうにか他の食材から摂れないか......

そこで改めて見直したのが、今年は価格の安定しているジャガイモです。

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員

困ったのは、好き嫌いの多い我が子らでもかろうじて食べてくれるのが、キャベツ、白菜、大根、ブロッコリーだということ。それらが軒並み高価格......!

昨日も泣く泣く、キャベツを"大特価"の2分の1個198円で買ったものの、元々が小玉でびっくりするほど使い出がありませんでした。鍋物に欠かせない白菜も、4分の1個で198円(例年は78円くらいなのに。1個だと800円もするなんて!)。鍋物は準備が簡単で栄養がバランスよく摂れるので、毎年この時期はスープの味を塩系、醤油系、トマト鍋、カレー鍋と次々に変えて鍋ばかり作るところ、今年はそういう訳にもいきません。大根もよく煮れば嫌がらずに食べてくれる我が家の"助かり野菜"ですが、2分の1本で198円とは・・・。加えてブロッコリーも1個298円~398円。いつもなら198円くらいです。

何と言っても、これらの野菜は貴重なビタミンC源。ビタミンCなら、ミカンやイチゴからも摂れるのですが、そう思ってミカンを毎日子供に食べさせていたら、食べ過ぎてミカン嫌いになってしまいました。イチゴはもともと種の食感があまり好きではないらしく、かろうじて大粒の「あまおう」なら食べてくれますが、そんな贅沢はごくたまにしかできません。ビタミンC入りの野菜ジュースも飲ませますが、果汁分が多めのものしか受け付けてくれないので糖分で満腹感だけ出てしまいますし、小さい頃からサプリ漬けにするのもはばかられ...。

じゃあ、どうする? というわけで、ビタミンCを多く含む食材を文科省の食品成分データベースで調べると、なんとジャガイモにはミカンと同じくらいビタミンCが豊富に含まれる(100gあたり35㎎)、と分かりました。ジャガイモなら、ポテトサラダ以外はよく食べてくれます。

ただ、非常に重要なのが調理法です。

結論から言えば、一番ビタミンCが温存できるのは、電子レンジ加熱。とある研究https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1987/39/10/39_10_1051/_pdf/-char/jaによれば、その次に蒸す、オーブン加熱、茹でる、の順だそうです。

茹でたり煮たりすると、最初の10分以内に急激にビタミンCが急激に減少する一方、蒸し加熱や、オーブンや電子レンジでの加熱では、ビタミンCが流れ出しにくい、ということのよう

です。

ただしいずれの場合も、必要以上に長時間加熱するのは止めましょう。オーブン加熱>蒸す>電子レンジの順でビタミンCが失われにくいのは、最適加熱時間の違いによるものと見られます。別の研究では、電子レンジ等に比べてオーブンの方が中心に火が通るまでに時間がかかり、その間にビタミンCが酸化分解されてしまう、と説明されています。

では、油で揚げる、炒める、のは良くないのでしょうか? 実は、揚げる・炒めるといった油調理については、上記の2つの研究では検証されていません。再び文科省食品成分データベースで確認すると、驚くべことにフライドポテトには、100gあたりビタミンCが40gも含まれています。生のジャガイモの100gあたり35㎎よりも多いのです。これは、加熱で水分が逃げた分、100gあたりの割合が増えたもの(ジャガイモ1個当たりのビタミンCが増えるわけではない)と考えられます。ところが、ポテトチップスになると、100gあたりわずか15mgとなってしまいます。

フライドポテトと似たような調理法なのにどうして違いが生じたのか、詳細は不明ですが、スライスの薄さやスライスしてからの処理などにも原因がありそうです。最初に挙げた研究では、ジャガイモのスライス断面が増えるほど、またスライス後、加熱調理するまでに長時間経過するほど、ビタミンCが減少することも確認されています。要するに空気に接する面積や時間が長いことで、酸化分解が進んでしまうのでしょう。 ポテトチップスはごくごく薄切りにしてしまいますから、酸化が激しいと考えられます。

ただ、ジャガイモを揚げる調理には、ビタミンCの問題以外に、懸念すべき材料がいくつもあります。揚げ油自体が新鮮でなければ体にとって毒ですし、アブラの過剰摂取になりがちでカロリー過多になるだけでなく、特にオメガ6脂肪酸の摂取過剰は問題が多いことが知られています。また、糖とタンパク質を一緒に高温加熱することで生じる老化物質AGEや、発がん物質も大量に出来てしまいます。

というわけで、今晩は電子レンジで作るじゃがバターをメニューに加えようかな、と思ったのでした。だって、何と言っても、とっても簡単なんですよね。丸ごとチンして、包丁で切れ込みを入れたところにバターと塩コショウ、これだけ。それなのに、子供たちは大喜びで食べてくれます。ありがたいありがたい。

(2017年1月29日「ロバスト・ヘルス」より転載)