渡辺明竜王、将棋不正疑惑で三浦九段への謝罪を報告 「いずれ疑問に答える」とした説明機会は...

「三浦九段からは『お互いに傷を負ったけど前向きに』などと返答をもらった」
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時事通信社

将棋の渡辺明竜王が5月24日、自身のブログを更新し、将棋ソフト不正疑惑をめぐる一連の騒動で、三浦弘行九段に直接謝罪したことを報告した。

この日の午後、東京・千駄ケ谷の将棋会館で三浦九段と将棋連盟の和解合意を発表する記者会見が開かれたが、渡辺竜王は会見前に将棋会館で三浦九段に「お詫び」をしたという。

渡辺竜王は2016年10月20日発売の『週刊文春』の取材に対し、「第29期竜王戦七番勝負」で対局する予定だった三浦九段が、将棋ソフトを用いて不正対局をしていると主張。三浦九段は過去4つの対局で不正疑惑がもたれ、10月12日に同年内の公式戦の出場停止措置を下され、竜王戦にも出場できなかった。

その後、疑惑を調査した第三者調査委員会は12月26日、「不正行為に及んでいたと認めるに足りる証拠はないと判断した」と結論づけた。

「三浦九段からは『お互いに傷を負ったけど前向きに』」

渡辺竜王は24日のブログで三浦九段や将棋連盟の佐藤康光会長とのやり取りを報告。「三浦九段からは『お互いに傷を負ったけど前向きに』などと返答をもらい、同席した佐藤会長からは『今日をもって終結として一緒に頑張っていきましょう』とありました」と明かした。

その上で、「今後は今まで以上に将棋界の発展に努力していきます。将棋ファンの皆様にも改めてお詫び申し上げます」とファンに向けても謝罪した。

一方で、これまでに渡辺竜王は一連の騒動について「隠しているわけではなので、いずれは皆さんの疑問に答えますが、双方向性がある場所でないと説明が難しいものもあると思いますので」などと、公の場で説明の場を設ける姿勢を示唆していたが、5月24日のブログではこれについての言及はなかった。

三浦九段「渡辺竜王からは『すみませんでした』と、2回か3回…」

三浦九段は24日の会見で、「渡辺竜王も私も他の棋士も、将棋界の発展が一番だと思っている。若手でも藤井聡太さんが活躍されている。将棋界が盛り上がっているところ。これから、将棋連盟が発展するように尽力していきたいと思っている」と心境を語った。

謝罪に訪れた渡辺竜王の様子について、三浦九段は「『すみませんでした』と2回か3回、そういった言葉を繰り返し言っていただいた」と明かした。

■将棋界を揺さぶった「不正ソフト疑惑」とは

三浦九段をめぐっては、2016年7月に対局した久保利明九段(現・王将)が「三浦九段が自分の手番で約30分離席をしていた」と違和感を表明。渡辺明竜王も10月20日発売の『週刊文春』の取材に応じ、三浦九段が将棋ソフトを用いて不正な対局をしていた可能性を指摘した。

こうした経緯から、三浦九段は過去4つの対局で不正疑惑がもたれ、連盟側は10月12日に同年内の公式戦の出場停止措置を決定。出場が決まっていた第29局竜王戦七番勝負も出場できなかった。

疑惑を調査した第三者調査委員会は12月26日、「不正行為に及んでいたと認めるに足りる証拠はないと判断した」と結論づけた。日本将棋連盟の谷川浩司会長(当時)は、「(対戦相手の)発言の真偽の確認を怠った」と判断の誤りを認め、出場停止処分に伴って不利益が生じた三浦九段への救済策として「三浦九段のA級の座を保証する」特別措置をとった。

谷川会長は1月18日、対応で混乱を招いた責任を取って会長職を辞任すると表明。2月6日には佐藤康光九段が新会長に就任し、三浦九段との補償交渉などにあたっていた。