川崎市の認可外“幼稚園“問題、一転して「運営継続」も保護者らは不信感 A.L.C.貝塚学院

運営資金援助を申し出たというのは川崎市の株式会社サン。太陽光発電などを行う会社だというが…。
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A.L.C.貝塚学院が開いた保護者向け説明会(3月29日撮影)
Yuriko Izutani/ Huffpost Japan

川崎市の認可外”幼稚園”「A.L.C.貝塚学院」が破産と事業停止を保護者らに通告していた問題で、同社は3月29日、一転して、資金援助を受けて園を継続すると発表した。しかし今後の事業についての明確な説明はなく、保護者らは不安を口々に話した。

運営する有限会社アメリカンラングエイジセンター(ALC)が同日、保護者向けの説明会で発表。職員らの多くも園に残ると説明した。

一方で、運営資金援助を申し出たというのは川崎市の株式会社サン(代表取締役・織戸四郎)だが、説明会にも同席はしなかった。ALCの鈴江奈穂子部長の説明によると、太陽光発電などの事業を行う会社で、26日の報道を受けて資金援助の打診をしたという。

説明によると、ALCの負債額は合計8億6300万円。7億円以上は不動産の取得費用の残金だという。

ALCの社内では21日に破産すると決め、職員の解雇と保護者への通告を行った。しかし、援助の申し出を受けて事業継続を決め、ALCは破産の申し立てを回避できたという。負債はすべて含めて8億6300万円。

一方で、説明に対して保護者からは「これまで通りの教育が行えるのか」「不信感で子どもを安心して預けられない」といった意見が相次いだ。継続通園の意向を確認する紙が配布されたが、「現段階では書けない」とする意見を述べる保護者に拍手が集まった。

また、保護者から入園時に集めていた預り金「債券」の返還はあるのかという質問も相次いだ。ALCが保護者に返還しなければいけない債券の合計額は1億3000万円になるという。

しかし返還についてALCは「今後のことには決定権がないので答えられない」などとする回答に終始した。

卒園した児童の分も含めて120万円を預けているという保護者はハフポストの取材に対して「お金が戻ってくるのか不安」と話している。

また、来年度の入会金や月謝などの返還についても精査できておらず「追って説明する」とした。

ALCの鈴木代表によると、今回の問題は新入園児の激減が主な原因。2010年ごろまでは150人いたが、2016~18年には100~120人、2019年度には71人まで減ったという。

加えて、園が対象外となる幼児教育無償化が2019年秋から実施されることが決まり、転園者が出ることや2020年度からさらに新入園児が減少することが予測され、破産の検討をするに至ったという。認可幼稚園にすることも財務状況上できなかったという。

「A.L.C.貝塚学院」を運営しているのは有限会社アメリカンラングエイジセンター。同園の通知によると、園の創業は1976年という老舗の施設だ。英語や幼児教育に力を入れている大規模な園で、300人近くが通っている。

この認可外”幼稚園”以外にも川崎市内でスポーツ教室や英語教室、学童クラブ2施設を関連会社が運営していた。同社からはこれらに通う子どもの保護者らに対しても、3月26日付けの文書で「事業継続を断念した」との通知が郵送されている。

同社は保護者らに対する通知で、少子化に加えて「認可幼稚園無償化の影響があった」と報告しているが、帝国データバンクの調査によると近年は債務超過状態が続いていた。