「ジンバブエで最も有名なライオン」を射殺、頭を切り落とす ハンターに非難殺到

「ジンバブエでもっとも有名なライオン」として親しまれていたライオンの「セシル」が射殺され頭を切り落とされた状態で見つかった事件で、地元当局はアメリカ人の歯科医師が事件に密接に関わっていたとの声明を発表した。
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YouTube/Bryan Orford

7月に「ジンバブエでもっとも有名なライオン」として親しまれていたライオンの「セシル」が射殺され頭を切り落とされた状態で見つかった事件で、地元当局はアメリカ人の歯科医師が事件に関与していたとの声明を発表した

ウォルター・パルマー氏はミネソタ州のブルーミントンの歯科医師で、13歳のライオン「セシル」を狩猟するのに約680万円を支払っていた。テレグラフが報じた。「セシル」は、狩猟が禁止されているワンゲ国立公園から、近隣の狩猟区域に肉を使って誘い出され、矢を撃たれて弱らされたとみられる。その後、ライオンは40時間にわたって追跡され、最後はライフルで射殺された。

ジンバブエの観光局は28日、ツイッター上で「セシル」を射殺したのがパルマー氏であることを発表した。投稿には「違法な狩猟」を意味するハッシュタグ「#illegalhunt」が添えられた。

パルマー氏が働く歯科病院の電話は、彼の名が公にされてから不通状態が続いている。また、アメリカのレビューサイト「Yelp」上の彼の歯科病院のページには、批判のコメントが殺到している

パルマー氏のスポークスマンはガーディアン紙に対して「(パルマー氏は)一連の出来事に困惑している」と述べた

「私が知る限り、ウォルターは自分が射殺したライオンが『セシル』だったのかもしれないという事実を認めています。しかし、彼は許可を得て、プロのガイドを雇い狩猟しました。彼はセシルを射殺したことについては否定していません。彼は猛獣狩りの愛好家で、世界中で狩猟を行っています」

ジンバブエ・プロフェッショナル・ハンター・ガイド協会はFacebook上で、セシルの狩猟に関わった猟師が同協会の会員であり、当該の猟師からは永久に会員資格が剥奪されたことを発表したテオ・ブロンクホルストと呼ばれるこの猟師と狩猟が行われた土地の所有者は地元当局により逮捕され、8月6日に裁判が予定されている

ブロンクホルスト容疑者は「成熟した立派なライオンだった。(ライオンが)名の知れたライオンであるとは知らなかった。狩猟が行われた地域での弓矢の使用許可証は持っていた。」と述べた。

アフリカライオンはIUCNが定めるレッドリストに「絶滅の恐れのある種」として指定されており、国際的な野生動物の保護条約であるCITESによって保護されることが規定されているが、いくつかの国では狩猟が許可されていた。

パルマー氏が狩猟で非難を浴びたのは今回が初めてではなかった。2008年にも、パルマー氏はウィスコンシン州でアメリカグマの狩猟に際して虚偽の申告を行ったとして、1年間の保護観察処分と約36万円の罰金を言い渡されている

パルマー氏が今までに行って来た狩猟のいくつかは、ネット上で写真が公開されている

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パルマー氏は28日の午後、セシルの死に対して「深く後悔している」と発表した。また、彼は事件に関してジンバブエ、アメリカのいずれの当局からも接触を受けていないが、捜査に関する質問などには協力する意向だという。

声明は以下の通りだ。「一連の旅行は全て合法で、適切な処置に則って行われたと認識している。私が狩猟したライオンが、地元で良く知られた、人気のあるライオンだったことは全く知らなかった。合法的に狩猟を行うため、地元のプロのガイドの指示に従った。私が自分の趣味を追求し行ったことがこのライオンの命を奪ったことを深く後悔している」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

絶滅の危機が迫る、野生ネコ17種
サビイロネコ(01 of17)
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【危急種】インド南部とスリランカに棲息する極小型の猫。体長は35-48cm程度しかない。 (credit:nicknack68/Flickr)
ハイイロネコ(02 of17)
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【危急種】中国西部の森林や乾燥地帯に生息。絶滅が危惧されている。砂漠で保護色となる明るい毛皮を持ち、縞模様の尾が特徴。詳しい生態は未だに分かっていない。 (credit:Wikimedia)
アンデスネコ(03 of17)
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【危急種】南アメリカのアンデス山脈に生息する。標高3000〜5000mにある岩が多く藪の点在するステップで動物を補食している。 (credit:Wikimedia)
クロアシネコ(04 of17)
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【危急種】アフリカ南部に生息する小型の野生の猫である。平均的な体重は1.6kgで、現存する猫の中で最も小さいものの一つだ。 (credit:Wikimedia)
コドコド(05 of17)
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【危急種】南アメリカのアルゼンチン南西部、チリ南部に生息。 (credit:Wikimedia)
ジャガーネコ(06 of17)
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【危急種】中南米に生息。オセロットやマーゲイと分類学的に非常に近く、身体の模様などが類似するが、華奢でより小型である。毛皮が美しいため乱獲され、現在絶滅の危機に瀕している。 (credit:Wikimedia)
ウンピョウ (07 of17)
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【危急種】ネコ科の中でもトップクラスの木登り上手。東アジアの標高2000〜3000mにある森林に生息する。 (credit:MANDY CHENG via Getty Images)
ボルネオウンピョウ(08 of17)
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【危急種】東南アジアのボルネオ島とスマトラ島に生息するウンピョウが、他のウンピョウとは別種であることが、2007年に生物学者らによって確認された。 (credit:Wikimedia)
ボルネオヤマネコ(09 of17)
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【危急種】東南アジアのボルネオ島の固有種。1992年までの間に9頭しか捕獲例がない。開発による生息地の破壊などにより生息数は減少している。 (credit:WIkimedia)
マーブルキャット(10 of17)
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【危急種】ネパールやスマトラ島など、東南アジアに広く生息。外観はウンピョウによく似ているが、はるかに小型でイエネコ大の大きさだ。 (credit:siwild/Flickr)
ライオン(11 of17)
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【危急種】動物園でおなじみだが野生種は減少している。 (credit:Wolfgang Kaehler via Getty Images)
チーター(12 of17)
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【危急種】地上最速の動物とされ、走行してから2秒で時速72キロメートルに達し、最高時速は100キロメートルを超えると言われる。 (credit:Wikimedia)
トラ(13 of17)
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【絶滅危惧】ユーラシア大陸に広く生息。開発による生息地の破壊、薬用や毛皮用の乱獲、人間や家畜を襲って殺して食べる害獣としての駆除などにより生息数は激減している (credit:Wikimedia)
ユキヒョウ(14 of17)
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【絶滅危惧】標高600〜6000mの高地に生息する。大型のネコ科動物として、また、食肉目としては最も高い場所を行動範囲としている。 (credit:Wikimedia)
マレーヤマネコ(15 of17)
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【絶滅寸前】インドネシアのボルネオ島やスマトラ島などの森林や沼地に生息する。生態は謎に包まれている。 (credit:Wikimedia)
スナドリネコ(16 of17)
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【絶滅寸前】英語名は「Fishing Cat」。その名の通り、主に魚を捕獲して食べる珍しい習性を持っている。インドネシアの島々からインドシナ半島、中国南部・インド地域にかけての沼地に生息する。 (credit:Wikimedia)
スペインオオヤマネコ(17 of17)
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【絶滅寸前】イベリア半島の標高400〜900mにある硬葉樹からなる低木林に生息する。開発による生息地の破壊や、食料にしているアナウサギの駆除が進んだことで個体数が減少。現在は250匹ほどと推定されている。 (credit:Wikimedia)
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