慰安婦報道、第三者委の検証報告受け朝日新聞社が会見

朝日新聞社は26日、慰安婦報道を検証する第三者委員会による報告書公表を受けて、渡辺雅隆社長の見解と、「経営と編集の関係」「報道のあり方」「慰安婦報道」の三つの柱からなる改革方針を発表した。
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朝日新聞社

慰安婦報道検証受け改革 朝日新聞、報道のあり方など

朝日新聞社は26日、慰安婦報道を検証する第三者委員会による報告書公表を受けて、渡辺雅隆社長の見解と、「経営と編集の関係」「報道のあり方」「慰安婦報道」の三つの柱からなる改革方針を発表した。

社長の見解では、第三者委から、木村伊量(ただかず)・前社長だけでなくほかの取締役会の役員も「責任を深く自覚する必要がある」と指摘されたことを受けて、「過ちを繰り返さないよう、改めるべきはしっかりと改め、経営や報道のあり方についての幅広いご提言を誠実に実行してまいります」とした。

慰安婦報道に関する1997年と今年8月の検証記事については「誤りを率直に認めて謝罪し、わかりやすく説明する姿勢に欠けていました」と総括。「社会の役に立つメディアとして、再び信頼していただけるよう、改革に取り組みます」と決意を示した。

報道に臨む基本姿勢については、「思い込みや先入観を排し、公正で正確な事実に迫る取材を重ねます」と説明した。

改革方針のうち、「経営と編集の関係」では、編集の独立を尊重するため、経営に重大な影響を及ぼす事態と経営陣が判断して編集に関与する場合も、ルールをつくり、議論を透明化することを明らかにした。社外の複数の有識者による常設機関を設け、意見を求めるとした。

「報道のあり方」については、訂正報道のあり方を抜本的に改革し、多様な視点・意見を取り上げるフォーラム面など「言論の広場」として語り合う機能を充実させる。「慰安婦報道」については、報道への様々な批判や議論を招いたことを謙虚に受け止め、この教訓を踏まえて慰安婦問題の実相に向き合い、読者にわかりやすい多角的な報道をする。継続的に担当する取材班もつくる。

朝日新聞社が会見 慰安婦報道、第三者委の検証報告受け

朝日新聞社の渡辺雅隆社長は26日、慰安婦報道を検証する第三者委員会による報告書提出を受けて、東京都内で記者会見した。渡辺社長は冒頭、「改めて皆様に深くおわび申し上げます」と述べたうえ、「社会の役に立つメディアとして、再び信頼していただけるよう、改革に取り組みます」などとする社長見解を示した。

質疑応答で、渡辺社長は第三者委員会の報告書について「基本的に厳しい指摘と受けとめている」と述べた。そのうえで、今後の慰安婦報道のあり方について「慰安婦問題については国内での議論もありますし、国際社会の議論もあります。そのどれもが慰安婦問題の断片であり、全体像にせまるため、(元慰安婦の)強制性を含めて取材をしていきます」と述べた。

1997年の特集記事に関し、第三者委員会は「『狭義の強制性』を大々的に報じてきたことを認めることなく、河野談話に依拠して『広義の強制性』の存在を強調する論調は、議論のすりかえである」と指摘した。この点に関し、渡辺社長は「『すりかえ』だと批判されたことは重く受けとめている。今後、強制性についても、しっかりと取材していくのが私たちの立場です」と話した。

第三者委員会の一部の委員から朝日新聞の「キャンペーン」体質を指摘された点に関して、渡辺社長は「報道がキャンペーンをするのは私は必要だと思いますが、その報道にあたっては公正であること、ファクトに忠実であることが求められます。キャンペーンのあり方は、総じて記者、社員の意識の問題だと思います。自分たちと異なる意見も紙面の中で取り込んでいく。そういう中で、社員ひとりひとりの意識が変わることが大事だと思います」と述べた。

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(朝日新聞社提供)