消費増税、マイホームはいつ購入するべきか、経営者が考えてみた。(玉木潤一郎 経営者)

オリンピック後の景況をどう読むかも、住宅購入時のポイントの1つに。
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Michael H via Getty Images

2019年10月から増税となる消費税。住宅購入を検討している方にとっては金額が大きいだけに買い時が気になるところだろう。

8%から10%へ2%の増税は、たとえば2000万円の住宅を購入する方にとっては単純計算で40万円の負担増となる※。逆に言うと時期を間違えなければ40万円の税を節約できることになり、この判断は家計にとって重要だ。そこで、今後のマイホーム購入の適時について考えてみたい。

※実際には消費税は土地にはかからず建物にのみ発生するため、価格に占める土地・建物の割合で消費税額は異なる。

■いつまで8%、いつから10%? 税率の適用

実際のマイホーム購入における消費税の適用はやや複雑であるため、少し簡略化して以下に説明する。

いわゆる分譲住宅(建売住宅)を購入する場合、現行の8%の消費税率で住宅を購入できる期限は2019年9月30日までの引き渡しが必要となる。

不動産売買契約がすでに締結されている場合でも、契約から引き渡しまでにはある程度の期間がかかる。これを逆算して購入決定することが必要だ。

すでに建っている分譲住宅ではなく、これから注文住宅を建てる場合は工事の状況によって完成時期が多少ずれ込むこともある。そのため税率の適用には引き渡しではなく工事請負契約の締結時期が基準となる。請負契約を2019年3月31日までに締結すれば、たとえ引き渡しが2019年10月以降になっても現行の8%が適用される。

■増税前に駆け込み購入すべきか

住宅購入は価格が高額であるだけに、消費税率2%の増額は大きい。では、なんとしても現行の8%で住宅を購入すべきなのか。実は消費増税の前後でどちらが総合的に有利かは、判断が難しいところだ。

2018年12月現在、建築費はかなり高騰しており、増税時期の来年10月までそれが継続する可能性がある。

この建築費高騰の状況は、いわゆる東京オリンピック景気や度重なる災害復旧などの複合的な理由で生じている。東京だけの現象ではなく地方にも波及しており、一部の建材が入手困難になったり鉄骨の加工待ちが長期化したりと、金額面だけでなく工期の面でも影響を及ぼしている。

さらに都心のテナントビルを中心に不動産への投資が活発であり、それに引っ張られる形で住宅用地の売買価格も強気に推移している。

そういった状況に増税前の駆け込み購入者が数多くいれば、需給バランスから考えても住宅の価格は安くならない。

■オリンピック後の景況をどう読むか

購入時期が増税の後であっても、増税した2%分を挽回しうる材料は実は少なくない。建築費そのものが2%以上下がる場合や、同じ分譲住宅でも2%以上の値引きが期待できればそれで増税分はカバーできる。

住宅ローンの借入金利はすでに低水準なので現状より大きく下がることは考えにくいが、ローンに付帯する疾病保障や金融機関に支払う諸経費などでそれ以上のメリットが生じる可能性もある。増税対策として、住宅ローン減税の期間延長も検討されている。

いずれにしろ増税後に現在の建築費の高騰が収まったり、住宅用地の売買価格がこなれてきたりした場合には、増税前の駆け込み購入が得だとは一概に言えない。

■住宅購入時期の決め方

住宅を購入する時期はいつが得なのかは、専門家であっても読みきれない。しかし長く住むためのマイホームを手に入れる時期は、物件との出会いと家族のライフステージが重要である。それだけに筆者としては経済的な側面からの見通しだけで購入を決めることがないよう、お伝えしたい。

消費税の増税に関わりなく以前から言われている注意点を優先して、生涯のファイナンシャルプランの検討と、結果的に家族が居心地がいいと思えるマイホームを購入することを最重視して頂きたい。

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玉木潤一郎 経営者 株式会社SweetsInvestment 代表取締役

【プロフィール】

建築、小売店、飲食業、介護施設、不動産など異業種で4社の代表取締役を兼任。一般社団法人起業家育成協会を発足し、若手経営者を対象に事業多角化研究会を主宰する。起業から収益化までの実践と、地方の中小企業の再生・事業多角化の実践をテーマに、地方自治体や各種団体からの依頼でセミナー・コンサルティングの実績多数。