人材不足や多忙によるミスは、仕組みで補える!児童相談所の情報化・IT化を進めよう

「担当する児童福祉司(≒児童相談所のスタッフ)によって、子どもの待遇や、ときに運命までも変わる」と言いますが...

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

昨日午前中は子どもの人権的観点から家庭養護・里親委託促進を提言しているヒューマン・ライツ・ウォッチ代表の土井さんと、実際に里親をやられている2名の方が都議会議事堂に訪れ、社会的養護・児童養護についての意見交換を行いました。

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今年は春の国会で児童福祉法が改正されたり、

子どもを「保護の対象」から「権利の主体」へ。「児童の権利」、児童福祉法にはじめて明記!【追記あり】

東京都に関しては、予算の「重点項目」に社会的養護の文字が入り、さらに予算も増額されるなど、この分野において大きな進展がありました。

痛ましい事件も多いけれど、今年は「社会的養護(児童養護)元年」になるかもしれない

私のライフワークとも言える政策分野であり、海外視察にも出かけて政策提言を繰り返し、この分野の進展については少なからず貢献できたかなと思っています。

しかしながら勿論、里親委託がわずか1割程度であり、児童相談所がキャパオーバーで子ども人権が十分に守られていない実態は、まだまだ改善されたわけではありません。

そうした中で今回の意見交換の中で出てきたのが、児童相談所の人材難と情報共有における課題です。

「担当する児童福祉司(≒児童相談所のスタッフ)によって、子どもの待遇や、ときに運命までも変わる」

ということはもはや、児童養護の業界では共通認識ともなっているところです。

これまでは適切なケアを受けられていた要保護児童が、担当者が変わった途端に誤った方向に養育方法を方針転換されてしまったり、十分な情報共有が行われないまま措置先で放置されてしまうなど、数多くの事例が私の元にも報告されています。

児童相談所のスタッフは文字通りピンキリというのが実態で、専門的な知識や資格をもった方もいれば、人事ローテーションでまったく畑違いの部署から配属される人もいるような状況といえます。

これに対する解決アプローチは2つあると思います。

1. 人材育成・レベルアップで要保護児童に対する適切なケアを目指す

2. システム(仕組み)の改善で、担当者に限らず組織全体でフォローできる体制をつくる

前者は有識者や議員・政治家から繰り返し指摘されているところですが、現実的にはこれには限界があります。

人が持っている能力はそれぞれ異なりますし、何より我が国の児童相談所スタッフは少ない人で数十件、多ければ百件以上の案件を一人で抱えています(福祉先進国は十件程度...)。

こうした状態で、ミスなくすべての要保護児童に適切に対応しろというのは、なかなか厳しいのではないでしょうか。

そこで私が提案したいのは、後者の仕組みの改善、具体的にはIT化による情報共有・フォローアップ体制の確立です。

例えば要保護児童たちの記録を「電子カルテ」のような形にして、対応した際に担当者が記録(ログ)をつけて更新していく。

この「電子カルテ」の更新やログイン記録が一定期間なければ、つまり担当者がチェックしていない状態が続いていれば、自動的に上司やチームメンバーに警告が届くような仕組みにしておくわけです。

もちろん警告がなくても定期的に上司やメンバーは電子カルテを確認し、スタッフが直面している課題解決に知恵を出し合っていくこともできるでしょう。

単純な仕組みですが、これなら

「しばらく訪問していなかった」

「他の事案に追われて後回しになっていた」

などということが、何かあってから発覚するという事態をかなりの程度防ぐことができるはずです。

「要保護児童の記録や情報を正確に共有して欲しい」

という要望は、児童相談所から措置委託を受けた多くの里親さんたちから訴えを聞くところです。

情報をリアルタイムで、時系列に沿って正確に知るためにも、電子化した情報共有システムの確立はいずれ必ず必要になってくると思います。

もちろん個人情報保護やセキュリティが大前提とはなりますが、こうしたインフラ面の改革についても東京都に提言していく次第です。

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本日夕方には、地元北区にある児童養護施設「星美ホーム」のバザーにもお邪魔してきました(中の写真は撮り忘れた...)。

都内に4000人いる要保護児童たちに健やかな環境と適切なケアがなされるよう、引き続き全力で努力をして参ります。

それでは、また明日。

(2016年11月3日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)