香港議会選で反中勢力が3分の1確保 雨傘運動のリーダーも最年少当選

若者の間に広がる「反中国」意識の根深さを印象づけた。
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史上最年少で当選したネイサン・ロー(羅冠聡)氏(写真中央)

香港の議会にあたる「立法会」の選挙(9月4日投票)が5日に開票された。中国寄りの「親中派」は過半数を維持したものの、改選前より3議席減らし40議席にとどまった。一方で、香港の「高度な自治」の維持を求める「民主派」と、独立を視野に入れる「本土派」が合わせて30議席を獲得。反中国勢力が3分の1以上の議席を確保し、政府が提出する重要法案を否決できる体制を維持した。時事ドットコムなどが報じた。

■反政府デモの元リーダーが当選 23歳の最年少議員に

立法会の選挙は4年ごとに実施される。今回の選挙は、2014年の大規模な反政府デモ「雨傘運動」の後に初めて実施され、定数70に対し289人が立候補した。現地紙「サウスチャイナモーニングポスト」によると、投票率は58.28%で、過去最高となった。

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「雨傘運動」の中心となったネイサン・ロー氏(写真左)とジョシュア・ウォン(黄之鋒)氏

今回の選挙では、「雨傘運動」後に台頭した若者らが台風の目となった。雨傘運動の元リーダーの一人だったネイサン・ロー(羅冠聡)氏(23)も5万票以上の票を獲得。史上最年少での当選を果たし、若者の間に広がる「反中国」意識の根深さを印象づけた。

ロー氏は今年4月に新党「香港衆志(デモシスト)」を結成しており、「民主自決派」と呼ばれる。一方、同じく雨傘運動から派生した若者を中心とした急進的勢力「本土派」からも3人が当選した

これに対し従来の民主派は、本土派ら新興勢力との票の奪い合いもあって苦戦。長年にわたり民主化運動の中心となった有力議員らが落選し、24議席にとどまった。英ガーディアンは、「香港の民主化運動の世代交代が本格的に始まった」と分析している。

羅氏とともに雨傘運動のリーダーだったジョシュア・ウォン(黄之鋒)氏(19)は、立候補資格を満21歳以上とする規定により立候補できなかった

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ジョシュア・ウォン(黄之鋒)氏

■中国政府「いかなる独立活動でも断固反対。香港政府は処罰を」

選挙結果を受けて、中国政府で香港問題を担当する国務院・港澳(香港マカオ)事務弁公室の報道官が談話を発表した。国営新華社通信が伝えた。

談話では「当選した立法会議員は法律に基づいて職責を果たし、『一国二制度』の実施と貫徹に力を入れ、香港の繁栄と安定を守っていくよう期待する」とした。

その上で、「選挙期間中に一部の団体や候補者が『香港独立』を公然と吹聴していたことに留意している。『香港独立』は憲法や関連法に反しており、国家の主権と安全に危害をもたらし、香港の繁栄と安定に損害を与え、幅広い香港市民の根本利益にも合致しない」と非難。「我々は議会の内外を問わず、いかなる独立活動でも断固反対し、香港政府が法に則って処罰することを断固支持する」と、激しい言葉で急進的な勢力をけん制した。

香港の立法会は、「直接選挙枠」と「職能代表枠」の各35議席で構成される。職能代表枠のうち30議席は、金融・建築業・教育などの各産業界から間接選挙で議員が選出。残る5議席は区議会議員の候補者から直接投票で選ばれる。産業界には親中派の企業が多いとされ、香港の選挙制度は「民主的ではない」との批判もある