液体ミルク1050個、北海道地震の被災地で使われず。北海道新聞「道庁が自粛要請」⇒ 道庁は否定「断水への備えだった」(UPDATE)

2016年の熊本地震の際には約5000個が無償で提供された。
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海外の乳児用液体ミルク(イメージ画像)
時事通信社

北海道地震の被災地に東京都が提供した1050個の乳児用液体ミルクが、ほぼ使われずに保管されていると、9月23日に北海道新聞が報じた。

北海道庁から「国内で使用例がない」などとする連絡を受けた各町が使用を止めたという。

「液体ミルクは国内で使用例がない」と道庁が連絡

時事通信社によると、東京都は10~11日に、フィンランド製の乳児用液体ミルク1050個を北海道庁に提供した。北海道庁は避難所やミルクが行き届いていない家庭に届けてもらうため、被災した厚真、安平、むかわ、日高、平取の5町に約200本ずつを配布したという。

しかし、北海道新聞によると、道庁の災害対策本部などの職員が11日ごろ、胆振、日高両総合振興局や道立保健所に対し、「液体ミルクは国内で使用例がない」「取り扱いが難しい」として使用を控えるよう各町の担当者や保健師に知らせることを求めた。このため、ほぼ全量が使われなかったという。

実際には熊本地震などで使用

乳児用液体ミルクは、牛乳にビタミンなどの栄養分を加えたもので、成分は粉ミルクと同じ。粉ミルクと違ってお湯で溶かす必要がなく、封を切ればそのまま飲めるため、災害時の備えとして注目されている。

西日本新聞によると、2016年の熊本地震の際には、フィンランドの乳製品メーカー「ヴァリオ」が、日本フィンランド友好議員連盟の呼び掛けに応じ、200ミリリットル入り紙パック約5000個が無償で提供された。

県庁を通じて、西原村や益城町、熊本市など被害の大きかった自治体の保育所に配られ、実際に使用されたという。

熊本地震で液体ミルクは海外では普及しているものの、日本では長らく法令上、製造販売が認められていなかった。熊本地震のときは厚労省が「特例で救援物資としての配布を認めた」というのが実態だった。

熊本地震以後、液体ミルク解禁を求める声が母親たちから高まったことなどを受けて、8月8日に国内販売が解禁された。ただし、国内メーカーが市販するまでには1年以上かかる見通しだという。

液体ミルクの推進団体「大変残念」

液体ミルクの普及を訴える一般社団法人「乳児用液体ミルク研究会」の公式Facebookは、今回の北海道庁の対応について、以下のようにコメントしている。

「情報も人手も不足する中で、液体ミルクについては責任を持って安全性を確認する余裕が無かったということかと思います。結果的にニーズが高いかたへの配布に繫がらず大変残念です」

(UPDATE)北海道庁は報道を一部否定「断水に備えて欲しかった」

今回の北海道新聞の報道に対して、北海道庁は「事実と一部異なる」という見解を示した。地域医療課の担当者は、ハフポスト日本版の取材に対して、以下のようにコメントした。

「北海道新聞の報道では、『道庁が液体ミルクの使用を控えるように伝えた』とされていますが、事実と一部異なります。11日に液体ミルクが被災地に届いた時点では、水道のほか自衛隊の救援などで、きれいな水が確保できる状態になっていました。そのため同日、道庁の災害対策本部から『液体ミルクは、今後の断水に備えて対応してください』という趣旨を、保健所などに伝えました。当時は、震度6強クラスの余震が発生する可能性がありました。そうした際の断水時に使って欲しかったので、使用自粛を求めたわけではありません。また『国内で使用例がない』とした件については、液体ミルクは厚労省が規格基準を定めましたが、現段階では国内流通していないことを意味しています」

(2018/09/25 10:00更新)