国政政党の選挙費用は、最低3億円?!「理想と現実」の狭間で闘った政治家・渡辺喜美

選挙プランを策定する側の立場にいましたけども、ミニマムで見積もってもざっと3億円のお金は必要になる計算でした。何にそんなお金がかかるのでしょうか?

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今日は動物好きな娘をマザー牧場(千葉)に早朝から連れていったのですが、往復の渋滞がヤバすぎて先ほど帰宅となりました...連休中の行動は計画的に。。

さて、先の木曜日の話になりますが、元みんなの党代表・渡辺喜美氏の誕生日会が行われました。

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ご案内の通り、残念ながら現在は議員バッジをつけておりませんが、今年で御年64歳。民間企業ですとそろそろ...という年齢でありますが、政治の世界ではむしろまだまだこれからと言ったところです。

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渡辺喜美公式ブログ

誕生日会場にはみんなの党時代の懐かしい仲間たちが大勢集まり、昔話に花を咲かせ、現状の政局を憂い、未来を真剣に語り合いました。

でもみんなの党が失くなったのって、まだほんの2年前なんですね...。

原型を留めないほど激変している政局に、ただただ唖然とするばかりです。

そして渡辺喜美氏と言えば、

「なんかDHCから8億円もらって、熊手を買って私腹肥やしてた人でしょ?(笑)」

みたいなイメージがあると思いますので、改めて少しだけ「政治とカネ」の話をば。

私もみんなの党消滅後、国会議員5名のミニ政党に立ち上げから関わりましたが、

政党の運営には本当にお金がかかります。いや、運営というのは正しくありません。

ぶっちゃけて言えば、選挙準備・選挙対策に死ぬほどお金が必要になるのです。

その政党では選挙プランを策定する側の立場にいましたけども、ミニマムで見積もってもざっと3億円のお金は必要になる計算でした。

何にそんなお金がかかるのでしょうか?

結論から言えば、もっとも大きいのは供託金と広告費です。

参院選の供託金は小選挙区300万円、比例代表600万円です。

んで選挙というのは当然のことながら、

「当選させたい人数だけ出馬させる」

というわけには行きません。

沢山の候補者たちが死屍累々となる中で、彼らが積み上げた知名度や票によって一握りの人間たちだけが勝ち残るのが選挙の世界なのです。

例えば2013年参院選でみんなの党は34人の候補者を立てて8人当選。

維新の党は44人を擁立してやはり8人の当選です。

知名度がない新興政党が参院選で勝とうとすれば、

1人につき3人以上の「捨て駒」が必要になるというわけです。

(ちなみにもっとも確度の高い自民党は78人中65人当選)

新興政党以上に小さいミニ政党が選挙区で1名、比例区で1名の当選を出そうとするなら、

選挙区で5名(300万×5)

全国比例で10名(600万×10)

くらいの候補者を擁立したいところです。

となると、上記の供託金を用意するだけで9,000万円となり、それぞれ個別に選挙費用の援助をすればあっという間に1億円超えです。

ここに選挙事務所(割高!)や政党選挙カーの長期レンタル代、候補者分のチラシやポスターなどの制作費・印刷費などを足していくと、1億5千万円代をゆうに突破。

ここにテレビCMを認知されるレベルで一発かまして、

他党と遜色のないくらいのネット選挙対策費を投じるとあら不思議!

あっさりと3億円という巨費が投じられる計算になってしまいます...。

上記はだいぶアバウトにしている部分もありますが、なんとなく「政党選挙」というものの規模感がおわかりいただけるのではないでしょうか。

私はみんなの党時代の選挙会計にはノータッチではあるものの、参院選2013だけで小選挙区19名、比例区15名で供託金1億3,800万円を要したことから考えて、数回の国政選挙で政党助成金の他に巨額の費用調達が必要になったことが間違いありません。

「熊手」のイメージが先行したために誤解を生みましたが、渡辺喜美氏個人が政治資金で私腹を肥やした事実は一切ありませんし、実際に検察からの処分は不起訴となり、法的な正当性は証明されています。

もちろん借用書がなかったことや、政治資金に記載がないというミスは存在し、「政治とカネ」にクリーンなイメージがあった彼にとって、それが致命傷となりました。

ミスはミスとして償わなければなりませんが、政局が絡んでその批判が過剰とも言えるレベルになったことは、いま思い返すと残念でなりません。

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もちろん政治によって失った信頼は、その政治家みずから取り返すしかないのは事実。

64歳を迎えてますます意気盛んな渡辺喜美氏。

我々の中での呼称は今でも「代表」です。

「一番損をしているのは、可哀想なのは若者ですよっ!!」

そんな風にあらゆる場所で叫び、小さな政府と大胆な社会保障改革を公言していた大物政治家は、少なくとも2011年当時は渡辺喜美さんしかいませんでした。

その街頭演説で、頭を撃ち抜かれたような衝撃を受けたのを覚えています。

政治の世界でなかなか先のことはわかりませんが、またいつか轡を並べて闘う日が来るのかもしれません。

自分の政治の原点を思い出した1日。

当時の志を曲げず、私も私の信じる道を突き進んで行きたいと思います。

それでは、また明日。

(2016年3月20日「おときた駿公式ブログ」より転載)

▼写真をクリックするとスライドショーが開きます▼

「みんなの党」とは何だったのか
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渡辺氏と江田氏が固い握手

2009年1月16日、新しい政治団体を作ることで合意して握手を交わす衆院議員の渡辺喜美氏(右)と江田憲司氏
(credit:TORU YAMANAKA via Getty Images)
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結党直後の衆院選で存在感

民主党政権が生まれた2009年8月の衆院選で、みんなの党は7議席を獲得して第三極としての存在感を発揮した。
(credit:時事通信社)
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初の参院選で10議席を獲得

2010年7月11日の参院選で、みんなの党は10議席を獲得。改選第3党となった。喜ぶ渡辺代表。後ろは参院議員の川田龍平氏。\n
(credit:時事通信社)
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「維新」との蜜月時代

2012年10月15日、みんなの党の渡辺喜美代表(左)をあいさつに訪れ、握手する日本維新の会の橋下徹代表。この時点では参院選での選挙協力を進める予定だった。
(credit:時事通信社)
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2度目の衆院選で議席倍増

2012年12月16日に投開票された衆院選で、みんなの党は合計18人が当選し、選挙前の8議席から議席を倍増させた。
(credit:時事通信社)
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「維新」と決裂

2013年5月21日、蜜月関係だった「日本維新の会」との決裂が発表された。
(credit:時事通信社)
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江田氏が幹事長を辞任

2013年8月7日、みんなの党幹事長を退き、記者会見する江田憲司氏=東京・永田町の衆院第2議員会館。
(credit:時事通信社)
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すきま風が吹く渡辺代表と、江田前幹事長

2013年10月9日、みんなの党の政党ブロック勉強会で発言する渡辺代表。右手前は江田前幹事長。与党に接近する渡辺代表と、江田氏の間に亀裂が入っていた。
(credit:時事通信社)
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みんなの党、分裂

2013年12月9日、記者会見する江田憲司氏(右端)らみんなの党を離党した14人の議員=午後、東京・永田町の衆議院第2議員会館。

15人で「結いの党」を結成後、「日本維新の会」と合併して「維新の党」が結成される。
(credit:時事通信社)
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渡辺氏に借入金問題

2014年3月27日、借入金問題を釈明する渡辺代表。化粧品会社DHCの吉田嘉明会長から計8億円を借り入れたとされる問題が浮上していた。
(credit:時事通信社)
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渡辺氏が代表辞任

2014年4月7日、借入金問題を受けて、みんなの党代表を辞任する意向を表明した渡辺喜美氏(右端)=東京・国会内
(credit:時事通信社)
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浅尾氏が新代表に

2014年4月15日、握手するみんなの党の浅尾慶一郎代表(中央)、水野賢一幹事長(左)、中西健治政策調査会長=東京・国会内
(credit:時事通信社)
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浅尾代表らを追及する渡辺前代表

2014年9月17日、みんなの党の両院議員懇談会に出席した渡辺喜美前代表=午後、国会内
(credit:時事通信社)
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すれ違う浅尾代表と渡辺氏

2014年11月18日、衆院本会議場ですれ違うみんなの党の浅尾慶一郎代表(左)と渡辺喜美前代表=東京・国会内
(credit:時事通信社)
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解党を決定

2014年11月19日、みんなの党の両院議員総会で、浅尾慶一郎代表(右)のあいさつをさえぎって発言する三谷英弘衆院議員(左)。三谷議員の右隣は渡辺喜美前代表=東京・永田町の衆院第1議員会館
(credit:時事通信社)