【東京モーターショー、キーワードは今回も「エコ」】~各社で戦略にばらつき~

エコ技術は多額の開発費がかかることから、今後は、各国の排ガス規制強化の動きも後押しして、メーカー間で技術供与や提携、M&Aなどが進むだろう。
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写真:日産 CONCEPT 2020 ©安倍宏行

今回のモーターショーで筆者の関心事は、ディーゼルとエコカーだった。VWショックの後、ディーゼル車の販売は影響を受けていないのか、ということと、EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)などのエコカーの次世代モデルはどうなっているのか、を重点的に見て回った。

まず、ディーゼル車だが、結論から言うと、VWショックの影響は予想したほど出ていない、ということだ。まず国内でディーゼルに力を入れているマツダ。新型ディーゼルエンジンのお披露目こそなかったが、SUVのCX-3やCX-5、セダンのAXELAなどのディーゼルエンジン搭載モデルの販売は引き続き好調だという。海外メーカーではBMWもディーゼル車に力を入れているが、こちらも販売好調だとのこと、これは少々意外だった。日本のユーザーにとって、ディーゼルエンジン全体の信頼性は損なわれていないということか。VWはディーゼル車の展示はしていなかった。

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写真:BMWのプラグインハイブリッドモデル©安倍宏行

エコカー分野では、トヨタのプリウスのフルモデルチェンジモデルが展示されていた。12月に発売となる新型は、従来モデルのデザインを踏襲しつつ、大胆にイメージを変えることに成功していた。よりスタイリッシュに生まれ変わったことで、ユーザー層が拡大しそうだ。当座はHVモデルのみだが、PHVモデルも追加されよう。トヨタのHV戦略は盤石のようだ。

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写真:トヨタ 新型プリウス©安倍宏行

PHVといえば、前述のBMWが新型PHVを3車種追加するという。既存モデルに加え、来年中に合計5車種のPHVが揃う。海外メーカーながら、力の入れようは想像以上だ。BMWが持つ高級車ブランドイメージに「エコ」が加わることで、新規ユーザーも開拓できそうだ。

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写真:日産GRIPZ©安倍宏行

一方、国内メーカーでは唯一、EV戦略を積極的に推し進める日産だが、リチウムイオンの改良で、1充電走行距離を280キロメートルに伸ばしたリーフを展示していたが、他のEVモデルの展示はなく、EV戦略の本気度が見えないのが残念。HVモデルの投入で後れを取っており、HVの車種も3モデルと寂しい。その代り、GRIPZという、リーフのモーターと発電用エンジンを搭載したスポーツクロスオーバーコンセプトカーを展示していたが、これは新しいチャレンジと言えよう。

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写真:日産リーフ©安倍宏行

そうした中、巷で注目されているFCV(燃料電池車)だが、一部展示はあるものの、やはり実用化はまだ先と言う印象を受けた。当面、すなわち向日年くらいは、HV,PHV,EVがエコカーの主役となろう。意外とメーカー間でその開発のスピードや力の入れ方に差が出ている印象を受けた。エコ技術は多額の開発費がかかることから、今後は、各国の排ガス規制強化の動きも後押しして、メーカー間で技術供与や提携、M&Aなどが進むだろう。

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写真:日産リーフの改良型リチイムイオン電池©安倍宏行