完璧主義者は爪を噛む(研究結果)

この記事を読みながら、無意識に髪の毛をねじったり、爪をかんでいないだろうか?
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Head shot of worried woman
Cathy Yeulet via Getty Images

この記事を読みながら、無意識に髪の毛をねじったり、爪をかんでいないだろうか? モントリオール大学の新たな研究で、このような強迫観念にとらわれた行為は、あなたが考えているよりも自分の性格を物語っている可能性があることがわかった。

普段、短気で飽きっぽくイライラしやすい人間は、スキンピッキング(肌を爪で引っ掻いてしまう行為)、爪を噛む、まつげを抜くといった、身体をいじる行為を繰り返してやりがちになることを研究グループが発見した

この研究は、「行動療法・実験精神医学ジャーナル」3月号に発表された。研究によると、こうした行動をとってしまう根本原因は完璧主義にあるという。完璧主義は、思った以上に有害となりかねない習性ということだ。

モントリオール大学精神科教授でこの研究の主執筆者であるキーロン・オコナー博士は3月10日、研究結果を発表し、「完璧主義者がこういった反復的行為を行うのではないかと考えています。彼らはリラックスしたり、仕事を『正常なペース』で行うことができないのではないか」と述べている。「したがって、彼らが自分の目標に到達できない場合、イライラし、気が短く、不満を抱くようになります。また、彼らが感じる倦怠感の程度も高くなります」

この研究では48人が被験者として参加した。その半数は日頃から癖を抱えていた。それ以外の被験者は対照群となった。被験者は、倦怠感や怒り、罪悪感、興奮、不安といった感情を感じる度合いについて質問を受けた。その後、各被験者は特定の感情(リラックス、ストレス、フラストレーション、倦怠感など)を引き起こすように設定された状況にさらされた。例えば倦怠感を引き起こすような状況をつくるため、被験者は6分間部屋に1人放置された。

そわそわして落ち着かないときに自分の身体をいじる経歴を持つ被験者には、ストレスやフラストレーションを感じたときにこうした行為がより多く見られた。しかし、リラックスしている時にはそうしたい衝動にかられなかったという。

時々、爪をかんでいるだけなら、心配する必要はない。おそらく大して害にはならない。実際に、そのような振る舞いは、自分のエネルギーをより生産性を高める方向に向けることができない時にする一時的な代償行為であると、この研究グループは述べている。

「こういう癖にはプラス効果があります。刺激を与える、あるいは感情を制御する、精神医学的に言えば『不適応』の状態になる方法なのです」と、オコナー博士はハフポストUS版あてのメールで述べた。「主にフラストレーションや短気が原因でこうした行為に走りますが、これは建設的な行動の代償行為なのです」

しかし、こうした癖を止められず、日常生活に支障をきたすくらいになると、ただの癖が精神疾患となりかねない。例えば、女優のオリビア・マンは、勘博観念にとらわれてまつ毛を抜くようになるなど、「抜毛症」という不安障害と闘ってきたと述べている。

マンは2012年、「ニューヨーク・デイリーニューズ」に「爪はかみませんが、まつ毛を抜いてしまうのです」と告白した。「痛みはありませんが、本当に悩んでいます」

では、このような癖はどうすれば治療できるのか? オコナー博士によれば、現在、可能な手段が2つある。問題となる癖を、競合する行為で置き換える行動療法と、完璧主義やマイナス思考といった精神的緊張を作る根本的な要因に焦点を当てる個別アプローチがある。

「私たちは、このような癖を引き起こすリスクが高い状況で起きるあらゆる思考や行動を注視し、認知療法を通じてリスクの低い状況で考えたり行動できるように研究を続けています」とオコナー博士はハフポストUS版に語っている。「私たちは、こうした癖に直接は対処しません。だから、みなさんが置き換わるような競合する行為を身に付ける必要はありません」

ほとんど知られていない、身体を傷つける不安障害
自傷性皮膚症(01 of05)
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自傷性皮膚症は、不安や抑うつ、強迫性障害、パニックに関連するもう1つの衝動調節障害であり、コントロールできないスキンピッキングにより特徴付けられる。患者は自分の皮膚を傷つけることで感情的な安らぎを求める。顔や腕、肩、恥部に対するものがよく見られる。\n\n自傷性皮膚症は、強迫的スキンピッキングや神経症性擦創、慢性スキンピッキングとしても知られている。ロサンゼルス強迫性障害センターによれば、この疾患が治療される場合、強迫性障害を持つ者の約23%、身体醜形障害を持つ者の27%が、二次的疾患として自傷性皮膚症も有している。\n\n治療には、マインドフルネスを基本とする認知行動療法がもっともよく用いられる。 (credit: WIKIMEDIA: KAIRYU7)
咬爪癖(こうそうへき)(02 of05)
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爪をかむ人間は多い。しかし、咬爪癖という病気もあり、その場合、爪をかむ人間の行為は強迫的となる。ただ嫌な癖というだけでなく、衝動調節障害の一種、強迫性障害の一症状となりえる。 (credit: WIKIMEDIA: JORDAN10LA)
咬頬癖(こうちょうへき)(03 of05)
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咬頬癖も強迫的性質を帯びる場合があり、抜毛癖や自傷性皮膚症、咬爪癖をも含む、身体を傷つける反復性障害の一つとされている。 (credit:FLICKR: LOLLYKNIT)
自己臭恐怖症(04 of05)
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この身体を対象とする不安障害は反復的行為を基礎とするものではないが、強迫性障害や不安、抑うつ、パニックの兆候である。否定するどのような証拠があっても、自分がひどい体臭を発しているという不合理で精神を消耗させる不安を感じる。\n\n自臭症・ブロモシスとしても知られている。自己臭恐怖症の人間は、たいてい体臭防止剤や香水、洗口剤を執拗に使い、過度にシャワーを浴びたり、身づくろいを行う。ありもしないひどい体臭に対し治療を求める場合もある。\n\nロサンゼルス強迫性障害センターによれば、現在、自己臭恐怖症は独立した診断とはならず、より一般的な強迫性障害の一部と考えられている。 (credit:Alamy)
モルジェロンズ病(05 of05)
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この謎が多い皮膚疾患は、原因不明の発疹、痛み、蟻走感(皮膚や体内をアリがはっているように感じる異常知覚)、そして時に皮膚の下に固形物ができる。病気の由来は不明である。激しいかゆみと痛みで、日常生活にも支障をきたす。\n\n疾病管理予防センター(CDC)は、あるケーススタディーでこの疾患の起源として感染症や寄生生物を排除した。その代わり、CDCの研究グループは、モルジェロン病の患者が心気症やその他の妄想性健康障害患者の精神医学的特性に非常に近接していることから、モルジェロン病が1つの精神状態である可能性があると考えている。\n\nメイヨー・クリニックは、医療検査により医学的原因が判明しない場合は精神医学的援助を求めることを推奨している。 (credit:FLICKR: KAZZ.0)

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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