「曜変天目茶碗」の真贋論争は今、こうなっている テレビ東京はどう対応する?【なんでも鑑定団】

テレビ東京は報道機関でもあり、説明責任を求める声が上がっている。
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tv-tokyo.co.jp

テレビ東京が、世界に3点しか現存しないとされる「曜変天目茶碗」が新たに見つかったと放送したことについて、視聴者や専門家から「ニセモノの可能性がある」という指摘が出ている。テレビ東京は放送の前に「番組始まって以来 最大の発見」と公式ウェブサイトで告知。国内の主要メディアが「ニュース記事」として報じた。茶碗が本物である可能性もあるが、真相は分からない。テレビ東京は報道機関でもあり、説明責任を求める声が上がっている。

議論の的になっている天目茶碗は、2016年12月20日放送のテレビ東京系「開運!なんでも鑑定団」に登場。古美術鑑定士の中島誠之助氏は、これを「曜変天目茶碗」と断定した。茶碗には2500万円の評価額をつけられ、中島氏は「国宝になっていたかもしれない大名品」と絶賛した。

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「開運!なんでも鑑定団」の番組内で「曜変天目」と鑑定された茶碗

大阪の藤田美術館が所蔵する、国宝「曜変天目茶碗」

テレビ東京は番組放送に先立ち、公式サイトで告知。その中で番組プロデューサーの岡田英吉氏は、以下のようにコメントしている。

当番組では今まで様々な貴重なお宝を発掘してきました。

坂本龍馬の手紙2通(4000万円)、巨匠レオナール・フジタが描いた「日本のモナ・リザ」と称賛された絵(3000万円)、日本最古の郵便物(3000万円)、マリリン・モンローが身に着けたイエローダイヤモンド(1億5千万円)などなど…。

しかし今回はさらにすごい!これまで世界で3点しか発見されておらず、しかもそのいずれもが国宝に指定されている幻の焼き物「曜変天目茶碗」の4点目がスタジオに出現、鑑定士中島誠之助が番組22年の歴史の中でも「最大の発見」と大絶賛する様には思わず体が震えました。

日本にはまだまだ本当にすごいお宝が眠っていて、それを紹介できることは当番組の最大の喜びでもあります。

ぜひその喜びと興奮をお茶の間の皆様にも一緒に味わっていただきたいと思います!

(テレビ東京制作局 岡田英吉)

「番組始まって以来 最大の発見!」鑑定士・中島誠之助も驚愕のお宝がスタジオに出現!!【開運!なんでも鑑定団】 | テレ東からのお知らせ : テレビ東京より 2016/12/20)

テレビ東京の発表を受けて、国内の主要紙、通信社、スポーツ紙、複数のネットメディアが「国宝級の曜変天目茶碗か」「『曜変天目茶碗』幻の4点目見つかる」などと報じた。

一方で番組終了後、視聴者や専門家などからは鑑定内容に疑問を持つ声が出ていた。これについては、1月10日にハフィントンポストが報じた

この時ハフィントンポストでは、テレビ東京に質問状を送付し、鑑定の根拠など詳細を問い合わせたが、テレビ東京広報部は「鑑定結果は番組独自の見解に基づくものです。また、番組の制作過程については従前よりお答えしておりません」と回答した

そこで読者に情報提供を呼びかけたところ、20件ほどのEメールやメッセージが寄せられた。

寄せられた情報をもとに、ハフィントンポストでは曜変天目の再現を試みる陶芸家の九代目長江惣吉氏に話を聞いたところ、長江氏は「お土産品レベルの曜変の紛い物」と見解を示した

■「曜変天目」真贋論争、各メディアも報道

ハフィントンポストが「開運!なんでも鑑定団」の鑑定内容に対する疑問の声を報じた後、各メディアでもこの問題に関する報道が続いた。

1、「NEWSポストセブン」(1月23日)

「なんでも鑑定団・国宝級茶碗に陶芸家『どう見てもまがい物』」との見出しで、長江氏の見解を紹介。中国陶磁考古学の専門家で沖縄県立芸術大学の森達也教授の「実物を見ていないのでその点は不正確ですが、映像を見た限りでは本物である可能性は低い」というコメントを紹介した

2、「週刊文春」(1月26日号)

「本物なら百億円!? 〈なんでも鑑定団〉“国宝”に疑問の声」という見出しで、鑑定結果に疑義が出ていることを伝えた。長江氏に取材し、「(今回の茶碗は)真贋を鑑定する以前の話」との見解を紹介。所有者の「私はただのラーメン屋のオヤジだからね、曜変なのかどうかとかは、わからないですよ。でも、中国、台湾、あと国内の財閥などから売ってくれと電話がかかってくる。本気かどうかわからないけどね。いったいどうしたものか」というコメントを伝えた。

3、TBS系「白熱ライブ ビビット」(1月24日放送)

「なんでも鑑定団」という番組名や鑑定士の中島誠之助氏の名前は伏せたが、「あの人気番組から大騒動へ!? 国宝級茶碗2500万円の鑑定に“待った!"」と伝えた。

4、フジテレビ系「とくダネ!」(1月25日放送)

「なんでも鑑定団 大発見に異論」と報道。所有者の「本日をもって天目茶碗及び付随資料の外部への提供を取りやめること」「今後の天目茶碗等の所在、行方等一切ノーコメントとする」とするコメントを伝えた。

また「とくダネ!」は、沖縄県立芸術大の森教授が指摘した以下の点を紹介した。

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・「明確な丸い斑紋と光彩がない」

・「外側に斑紋がある」

・「覆輪に金や銀が使われていない」

・「茶碗の裏に"供御"と記されているが、日本に伝わっている重要文化財・国宝には書いていない」

※「開運!なんでも鑑定団」では、茶碗に「供御」と記されている点を「三好長慶が、足利家から取得した東山御物の一碗であることは間違いない」とする根拠としている。

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5、テレビ朝日系「モーニングショー」(1月25日放送)

「お宝鑑定番組に専門家が異議」とした上で、「なんでも鑑定団」と中島誠之助氏を名指しで報道。茶碗の所有者の「鑑定番組、鑑定士の方には今でも感謝しています。ただこのような事態になってしまったので、本物か偽物かということより、ただそっとしておいてほしいです」というコメントを伝えた。「開運!なんでも鑑定団」の放送後、「心ない人たちからの嫌がらせがあった」という。

番組コメンテーターで元AERA編集長の浜田敬子氏は、1月25日の放送で「4番目の国宝発見ということでプレスリリースまで出してニュースになった。指摘があったからには再鑑定を。間違えることはあるので、それに対してどうフォローすべきか。説明責任を果たすべき」と、テレビ東京の姿勢を批判した。

■テレビ東京、今後の対応は?

「曜変天目」とされた茶碗の持ち主が住む徳島県庁も、文化財登録のための調査を予定していたが、1月23日までに中止を決めた

鑑定を間違えた例は国内外で数多くある。人間が鑑定する以上、それは避けられないことだ。疑問の声をあげた専門家も、「実物を見ていないですが…」と前置きをした上で見解を示している。

鑑定結果に疑義を呈した専門家の声や報道を受けて、テレビ東京は今後どのような対応をするのだろうか。ハフィントンポストでは1月25日、テレビ東京広報部にメールで問い合わせている。質問内容は以下のとおり。

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1、専門家の指摘や各メディアの報道を受けて、今後どのような対応を取られますか。

2、検証番組や再鑑定、記者会見など、事情を説明する何らかの機会を設ける予定はありますか。

3、芸術品や工芸品の鑑定には、多様な見方があり、金額の算定は難しい面があります。今後、鑑定のあり方や、番組の構成を変える予定はありますか。

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【UPDATE】2017/01/26 23:47

1月26日、テレビ東京広報部からは以下の回答が寄せられた。

この件につきましては、以前もお伝えしました通り、特にこちらからお答えすることはありません。