日本は5つ星ホテルが少ないので富裕層を呼び込めない

日本が外国人も集う多様性に満ちた国になるのは素晴らしいが、目下のところ色んな国から集まっているという訳ではない。

安倍政権の観光政策により我が国への外国人観光客は2007年には800万人前後だったのが、2016年には2400万人を突破しました。

目標とする2020年に4000万人、2030年に6000万人という数字をクリアするのはまだ遠そうですが、かなりいいペースです。

確かに都会を中心に外国人を見る機会が多くなりましたし、地方に視察に行っても表札に外国語が併記されたり、外国語でアナウンスされることがあります。

先進国のひとつである、我が国が日本人で固まるのではなく色んな国の外国人も集う多様性に満ちた国になるのは素晴らしいことです。

ただし、目下のところでは残念ながら色んな国から集まっているという訳ではありません。大半が中国や韓国といったアジア圏からの訪日が多いのです。

「世界一訪れたい日本の作り方」(デービッド・アトキンソン)では、アジアから日本への訪日客数が85%であり、欧州からの訪日客数が僅か5.9%にしか過ぎないことを問題視しています。

特に、本書で指摘されているのは「日本に五つ星ホテルが少ないので富裕層が呼び込めていない」現実です。

たとえば、米国は世界の観光収入の16.5%を稼ぎ出す世界トップの観光大国です。その米国の5つ星ホテル数は755軒で世界最高の数で、「5つ星ホテル1軒あたり外国人観光客数(万人)」を見ても10.3万人と充実しています。

しかし、日本は5つ星ホテルの数はわずか28軒で、「5つ星ホテル1軒あたり外国人観光客数(万人)」は88.9万人で観光客数に対して全く5つ星ホテルを提供できていないのです。

この観光客に対する5つ星ホテルの提供数は重要で、たとえばフランスは観光客数は米国を抜いてトップなのですが、「5つ星ホテル1軒あたり外国人観光客数(万人)」が67.6万人で、日本と同様に観光客に5つ星ホテルを提供できていないので、観光客の割には観光収入が低いという現実があります。

私は富裕層でも何でもないですが、ある程度以上のホテルの存在は大切ですね。たとえば米国やフランスといったような先進国でない国、たとえばアフリカ大陸の国に渡航した場合はさすがに誰でも知っているようなホテルじゃないと安全上、不安があります。

部屋を荒らされたりするといいますしね。おそらく、富裕層はその安全面も含めて5つ星ホテルに宿泊する習慣があるのでしょう。つまり、5つ星ホテルを増やすということは安全を増やすということでもあると思いますので、それが少ない日本に富裕層が集まらない理由も何となく理解できました。