「消臭力」や「JOY」をリサイクル容器で。米テラサイクルの事業、来秋から東京で試運転

他にもキッコーマンの醤油や味の素の顆粒だしなど、身近な商品ががリサイクル容器で買えるようになるかもしれない。
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化粧品や飲料などの容器を回収して再利用するプロジェクトの試験運用が来年秋から始まる。東京都がプラスチック再利用のビジネスモデルについて今夏に支援を決めた米テラサイクルの容器回収・再利用事業Loop (ループ)に対し、P&Gジャパンやイオン、味の素、キヤノンなど13社が参画してスタートする。Loopは欧米の一部で始まっているが、来秋から東京で行う試験運用では、容器の回収から高度な洗浄、化粧品や飲料などの詰め替え、発送という一連のシステムが適切に稼働するかどうか、コストをどう算定するかなど事業化の詳細を見極めることが不可欠となりそうだ。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=小松遥香)

Loopは今年1月のダボス会議で発表された。テラサイクルのトム・ザッキーCEOは12月5-7日、東京で開催された展示会「エコプロ2019」に登場し、Loopが誕生した背景をこう説明した。

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「テラサイクルのミッションは、ごみという考えを世界からなくすこと。これまで廃棄物や使用済みの製品をリサイクルしてきたが、海洋プラスチックなどの問題が表面化する中、それだけで本当に十分なのだろうかという問いが生まれた。適正価格と利便性を維持しながら『使い捨て文化』からどう抜け出すかーー。この問いに答えるためにLoopは生まれた」

Loopはすでにニューヨークとパリで試験運用が行われ、P&Gをはじめユニリーバ、ネスレ、ボディショップなどが参画。日本でLoopに参画する企業は、味の素、I-ne(アイエヌイー)、イオン、エステー、大塚製薬、キッコーマン、キヤノン、キリンビール、サントリー、資生堂、P&Gジャパン、ユニ・チャーム、ロッテの13社。テラサイクルジャパンはさらに参画企業を増やしていきたい考え。各社の製品は、テラサイクルジャパンが独自で構えるオンラインプラットフォームと小売店で販売される。

小売業として唯一名を連ねるイオンは来秋から、参画するメーカーのLoop商品を都内の「イオン」「イオンスタイル」で販売。使用後の容器も店舗で回収する。2021年からは、本州・四国の約400店舗で事業を展開する計画だ。来秋の販売開始からの約1年間、小売業でLoop商品を販売できるのはイオンのみという。

環境に配慮するだけでなくデザイン性も追求
エコプロ2019で、各社はステンレスなどを使った試作容器を展示。ザッキーCEOは、容器について「Loopのために開発される容器は、環境に配慮しただけでなくデザイン性も高く機能的な耐久性のあるデザイン。日本は包装へのこだわりが強い国。そんな日本でこの事業を始められることが楽しみにしている。容器を所有するのは各メーカーだ。消費者が追加料金を払うことはない」と話す。テラサイクルジャパンでは、商品の配送と回収、容器の洗浄までを行う。

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瓶入りの芳香剤「消臭力」の参考商品を紹介したエステーの担当者は、「米国でLoopが評価されているのは、ごみが出ないということとデザイン性。デザイン性にもこだわっている。来秋の試験運用に向けて試行錯誤し、商売として成立させられるか検討していく。まずは、この取り組みに入ってみないことにはノウハウも分からない」と話した。

キッコーマンは瓶入りの醤油とトマトジュースを販売する予定だ。担当者は「醤油瓶などがリユースして何回使えるか。汚れがちゃんと落ちるのかということはやってみないと分からない。これから検証していく必要がある」と語った。

味の素は、顆粒の和風だしやコンソメをステンレス製などの容器にいれて販売する計画。担当者は「どのデザイン、材質にするかはこれから決める。調味料は湿気やすく、湿気対策も必要になる。将来的には機能性でも新しい価値を提供し、イノベーションにつなげたい。Loopはオープンプラットフォーム。色々な方のデータや知見をいただけると、Loopの特別商品、コラボ商品なども考えられるので、新たな連携も考えていきたい」と説明した。
東京都は、2030年までに家庭や大規模オフィスから出される廃棄プラスチックの焼却量を4割削減する計画で、プラスチックの持続可能な利用を促進する。その一環で、都は今年5-6月に「プラスチックの持続可能な利用に向けた新たなビジネスモデル」を行う事業者を助成するために公募した。Loopはこれに選ばれている。

Loopの試験運用は来年、日本以外では、3月に英国、5月にカナダ、11月にドイツで始まる。2021年にはオーストラリアでも始まる。ザッキーCEOは、「Loopはあらゆるステークホルダーとのコラボレーションによって初めて成立する。メーカーや小売店とのコレボレーションはもちろん大事だが、循環経済を実現するのに何より大事なのは、消費者一人ひとりがこの取り組みに参加をしてくれることだ」と力を込めた。

この日、同CEOや小池百合子都知事などと同じセッションに登壇した東京大学名誉教授の安井至氏は、「SDGsの取り組みが企業で進んでいる。その次に来るのは『拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)』という考えだろう。企業が製品の廃棄まで責任・コストを負うことが大事だ。EPRは日本で歴史的に普及しなかった考えだが、欧州など世界の流れを考えると、2030年までに日本企業もEPRを考えるようにならなければ厳しい時代になる」と語った。

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