PRESENTED BY Rethink PROJECT

田村淳さん「遺書のイメージが『自分、大切、未来』に変わった」Rethink アワード2022受賞者を発表

田村淳さん、株式会社ヘラルボニー、岩手県陸前高田市がRethinkアワード2022を受賞。
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 2022年2月1日、「Rethink アワード2022」の表彰式がおこなわれた。「Rethinkアワード」は昨年発足、Rethinkアワード実行委員会が主催、協賛Rethink PROJECTにて今回第一回目の開催を迎えた。

目まぐるしく変化し、多様化する現代社会において、今まで当たり前だと思っていたことをRethink(再考する、考え直す、見直すといった意味)し、視点を変えて物事を考える文化の浸透を目指した本アワード。今までの視点や考え方を変えた取り組みによって 社会に影響を与えた企業・自治体・人が表彰される。

普通じゃないこと、それは同時に可能性だと思う

企業部門を受賞したのは「株式会社ヘラルボニー」。

「異彩を、放て。」をミッションに、知的障害のある作家とライセンス契約を結び、様々なプロダクトにアートを落とし込むビジネスを中心に事業を展開している。

閉ざされていた可能性を解き放つことで、アートという可能性を生み出し、多様性のある未来に向けて一歩を進めた企業であること、さらに無銭業務ではなく事業として成立する永続可能なビジネスを構築したことが評価された。

表彰式では代表取締役社長の松田崇弥さんが登壇し、プレゼンをおこなった。

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株式会社ヘラルボニー 代表取締役社長 松田崇弥さん

「私の4歳上の兄貴は、重度の知的障害を伴う自閉症です。親戚のおじさんにも『お前は兄貴の分まで一生懸命生きろ』と言われたりして、『可哀想バイアス』が社会的にあることに気持ち悪さを感じていました。知的障害のイメージを変えたいと思って、3年前に会社を起業。支援とか貢献っていうことじゃなくて、パッと見て、純粋に素敵だよね、欲しいよねと消費行動に落ちるように色々つくってきました」と創業ストーリーを話した。

さらに松田さんは、現在の知的障害のある人を取り巻く環境について、「頑張って一人で電車に乗れるようになるとか、それも大切だと思う反面、できないことをできるようにする構造には限界もあると思っています」と話した。その上で、「知的障害のある方が既にできることの中で、すごくいいものに経済的価値を与えていく構造を作ることで、兄貴みたいな存在の人たちが社会に当たり前に出ていって、経済的対価を得て、尊敬もされる状態をどんどん作っていけたら」とヘラルボニーが目指す未来を語った。

復興の先へ。ノーマライゼーションという言葉すらいらない街づくり

自治体部門は、岩手県陸前高田市が受賞した。震災から11年、陸前高田市は、復興を目指すだけでなく、岩手県で初めてSDGs未来都市として選定され、官学連携業務に取り組むなど数多くの挑戦をしてきた。SDGs推進に関する連携協定を締結している法政大学とのワークショップなどを通じて、自治体の枠に囚われず柔軟に様々な団体との連携の取り組みをしてきたことが表彰の理由となった。

表彰式では、陸前高田市役所政策推進室の菅野大樹さんのビデオメッセージが公開された。 

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岩手県陸前高田市役所政策推進室の菅野大樹さん

陸前高田市は、東日本大震災で市街地が完全に水没。当時24,000人の人口のうち約1800人が犠牲となり、家屋は8000世帯のうち4000世帯以上が津波による被害を受けた。 

その被害を受け「被災した町を0から作り直すのであれば、震災前より住みやすい街にしようと街づくりを進めていきました。その取り組みの一つが『ノーマライゼーションという言葉のいらない街づくり』です」と前向きに街づくりに取り組んできた経緯を菅野さんは説明した。

「ノーマライゼーションは障害のある人が障害のない人と同等に生活し共に生き生きと活動できる社会を目指すという理念ですが、本市では、この言葉すらいらない町づくりを進めよう、障害のある人も、子どもから高齢者まで。みんなが住みやすい暮らしやすい街をつくろうというと取り組みを進めてまいりました」(菅野さん)

母の他界をきっかけに、遺書をRethink

人部門はお笑い芸人の田村淳さんが表彰された。自らのキャリアに満足することなく、年齢を重ねるごとに活動の場を広げ、2021年3月には47歳にして慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を修了した。ボーダーレスにさまざまな視点で物事を考える先駆者であることが選定理由となった。

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田村淳さん

去年の8月、田村さんの母が他界。田村さんの母は「私に何かあった時、延命治療しないでね」と家族に伝え続けており、それによって実際に延命治療をしないジャッジができたという。その出来事が、田村さんが大学院を目指すきっかけとなった。

「生きている間にどう生きたいかというメッセージを伝えるのはすごく大切なことだと、かあちゃんから学んだんですね。そこで、『遺書』というものを深く勉強してみたいなと思ったのが、研究をしたきっかけでした」

そこで、田村さん自身も遺書を娘に宛てて書いてみたところ、「娘のために書いたのに、自分がどう生きたいとか、自分がこうありたいとか、自分に向き合う時間になった。遺書ってみんなタブー視するけど、実は手に取ってみると何か気づきがあるんじゃないかと思ったんです」とRethinkに繋がった経験を語った。

研究では、約200人に遺書を書いてもらったという。すると、「遺書を書く前は、遺書について5つのキーワードを出してくださいと言うと『自殺』、『死ぬ前』、『怖い』っていう言葉が出てくるんですけど、遺書を書き終わった後は『自分』、『大切』、『未来』とか、もうあからさまに遺書についてのイメージが変わる」のだそうだ。 

田村さんは、その研究から遺書動画サービス「ITAKOTO(イタコト)」をリリース。大学院修了後も遺書の研究を続けると話した。

ちょっとRethinkしてみよう

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左から、Rethinkアワード実行委員会代表の井上朋彦さん、田村淳さん、株式会社ヘラルボニー松田崇弥さん

表彰式の最後は、Rethinkアワード実行委員会代表の井上朋彦さんが「今日のイベントを通して、より多くの方々にRethinkという言葉があると知っていただき、何かあった時にちょっとRethinkしてみようかなと思っていただければ」と締め括った。