炎上商法は雑誌のためになるのか?「新潮45」をベテラン編集者が批判する理由

杉田水脈氏を擁護する特集記事を批判しました。
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杉田水脈・衆院議員(自民)が同性カップルを念頭に「生産性がない」などと主張して批判を受けた問題で、杉田氏の寄稿を掲載した月刊誌「新潮45」が、9月18日発売の10月号で「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題した反論特集を掲載した。

出版関係者からは「杉田氏の寄稿が掲載された号は売れたから反論特集を組んだ」という声があがる。批判を利用して注目を集める「炎上商法」でいいのか?

ベテラン編集者に聞いた。

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Jiji

編集部は批判を引き受ける覚悟があったのか?

元木昌彦さん。講談社時代に「週刊現代」の売り上げを大きく伸ばした、名物編集長として知られている。すでに「新潮45」を読んだという元木さんは開口一番、こう言った。

「炎上商法というか、雑誌にはあえて異論や暴論を投げかけて、議論を巻き起こすという手法はあります。この手法で大事なのは、編集部側に批判を引き受ける覚悟があるかどうかです」

「そのときも特定の人たちを無駄に傷つけるようなことはやってはいけない。杉田氏の寄稿は性的少数者だけでなく、子供をもてない人たちに対する配慮も明らかに欠いていた」

「批判に応えるのか、反論するのか。反論するとして編集部、編集長名義でやるのか。反論特集を組むのであれば、誰に書いてもらうのか。論者の人選がポイントになる。『いろはのい』です」

「この反論は雑誌のためにならない」

では、今回の新潮45の反論特集はどうか。

「新潮45の特集は、論者の選定が弱い。他の右派雑誌で書いている人たちが名を連ねており、同じようなことを書いている。これでは編集部が彼らと同じ意見であると言ってるのと同じです」

「既存の右派雑誌のラインナップに新潮45は寄っている。雑誌の独自性を失ってはいないだろうか。この反論特集では雑誌のためにならない」

どのようなやり方ならよかったのだろうか。

「論者をみて、杉田氏本人にまた書かせればいいんじゃないかと思いました。なぜ本人が書かないのかという疑問が残る」

いずれにしても、と元木さんは続ける。

「徹底的に反論するなら人選が弱い。雑誌の立ち位置を示すために、編集長が自ら書いてもよかったのではなないか」

特定のメディアを叩く雑誌が3つも4つも......

嘆き節は止まらない。

「いまの日本の月刊誌は『まだ比較的売れるから』という理由だけで執筆陣も論調も同じような右派雑誌が3つも4つもあるという状況です。それは明らかにおかしいでしょう」