通電火災は時間差で来る。阪神淡路大震災の大規模火災から学ぶ「ブレーカーを落とす」重要性

1995年に発生した阪神淡路大震災では、家屋の倒壊後、火災が発生し広範囲に被害が及びました。
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地震で倒壊した山形県鶴岡市立大泉小の相撲場=6月19日午前、同市
時事通信社

山形県沖を震源とする最大震度6強の地震は、消防庁によると6月19日午前の時点ですべての避難指示が解除された。ただ、午前9時45分時点で山形と新潟の両県で計44人が避難所におり自宅に帰れていない。

宮城、山形、新潟、石川の各県でけが人が26人出ている。このうち、新潟県燕市で1人が重傷を負っている。

余震の可能性も。震災の際に気をつけてほしい火災被害

大きな地震の際に、家屋の倒壊や土砂災害、そして津波などの災害が引き起こされるが、地震後の被害として建物火災も注意が必要だ。

消防庁によると、今回の山形県沖を震源とする地震では、6月19日正午の時点で火災の情報は入っていないという。東北電力によると、山形と新潟両県では最大で延べ9232戸が停電したが、6月19日の朝までに全て復旧した。

ただ、消防庁の担当者は「今後まだ余震の可能性もあるため、非難の際はろうそく火災や通電火災に気をつけてほしい」と話している。

神戸市によると、1995年に発生した阪神淡路大震災では、神戸市内で157件の建物火災が発生。原因が特定できた55件のうち35件が電気火災と最も多く、そのうち33件が通電火災だった。

最も怖いのは時間差で出火すること

通電火災の一番の怖さは、地震の揺れがあってから時間差で被害がでることだ。

この火災は地震発生とともに出火するのではなく、避難して人のいなくなった室内から出火してしまうのだ。

停電の際に、暑い時期で電気ストーブを使っていなくても、観賞魚用ヒーター、オーブントースターなどの電熱器具を使用中に停電した場合は、揺れの影響で可燃物がヒーター部分に接触した状況になることがある。

すると、停電から復旧した際に、そうした器具に通電することによって、可燃物が過熱されて火が出てしまうのだ。

家や周囲に人がいないため、発見や初期消火も遅れる。

そして自身のために散乱した家財道具に燃え移っていき、瞬時に火災が拡大してしまう。 

ただ、建物火災は防ぐ手立てもある。

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電気火災には感震ブレーカー
内閣府・経産省・消防庁が制作したパンフレット

 地震⇒ブレーカーを落として避難

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ブレーカー
Huffpost japan/Shino Tanaka

通電火災を防ぐ一番の方法は、「ブレーカーを落とす」こと。

地震に伴う停電で、電気が消えた際に、着の身着のまま避難する被災者が多いが、家を出るときにブレーカーを落とすだけで停電が復旧しても通電火災につながらなくなる。

しかし、突然の大きな揺れに慌て、夜間などに停電による暗闇のなか、冷静にブレーカーを落としてから避難するのは非常に難しい。

この時に役立つのが、阪神淡路大震災で注目された「感震ブレーカー」という取り付け式の機器。震度5強以上の地震を感知すると、分電盤の主幹ブレーカーを強制遮断して電源をストップするものだ。

設置も簡単で、簡易タイプであれば数千円で入手できる。