「レイプ犯の国」女性に対する暴力への抗議がナミビアで加熱。22歳女性とみられる遺体発見がきっかけに

デモ隊は「女性は公共の場所や自分の家でさえ安全ではない」と訴え。ジェンダーに基づく暴力やフェミサイドに抗議している。
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首都ウィンドフックで抗議活動をする人たち。数百人の若者が集まった=2020年10月9日
AFP via Getty Images

レイプの発生割合が最も高い国の一つのナミビア。22歳の女性とみられる遺体が見つかったことをきっかけに、ジェンダーに基づく暴力やフェミサイド(女性や少女が性別を理由に男性に殺されること)に抗議する活動が活発になっている。

怒りが爆発した市民の中には「レイプ犯の国」とプラカードを掲げる人もおり、警察がデモ隊に催涙ガスを使い、ジャーナリストらが逮捕されるなどの事態にも発展した。

 

■きっかけとなった女性の失踪と遺体の発見

地元紙The Namibianなどによると、きっかけとなったのは、4月10日に失踪した22歳の女性、シャノン・ワッサーフォールさんと見られる遺体が、中部沿岸の町・ウォルビスベイで10月6日に見つかったことだ。シャノンさんは2歳の息子を友人宅に降ろして出かけた後、行方不明になっていた。

まだ遺体の身元は特定されていないが、現場で発見された衣服からシャノンさんの遺体と見られるという。

テレビ局nbcなどによると、事件をめぐっては28歳の女性が殺人などの罪で訴追されており、他にも逮捕者が出る可能性があるという。

 

■ 抗議活動はソーシャルメディアから始まった

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ジェンダー平等・貧困削減・社会福祉担当大臣の辞任などを求め抗議する若者たち
AFP via Getty Images

遺体の発見を受け、女性に対する暴力に市民の怒りが爆発。10月8日から3日間、ジェンダーに基づく暴力やフェミサイドに抗議しようとナミビア各地でデモが行われた。

デモはハーゲ・ガインゴブ大統領に対し、ジェンダーに基づく暴力に関する非常事態を宣言するよう求めるソーシャルメディア上のキャンペーンを経て始まった。「#JusticeForShannon(シャノンに正義を)」「#ShutItAllDown(全て終わらせよう)」というハッシュタグがTwitterで多数投稿されている。

The NamibianのTwitterなどによると、「次は私?」「もううんざり」などと書かれたプラカードを持った若い男女が抗議活動をしているという。多い場所では数百人が集まったとみられる。

africanews.などによると、デモの参加者は非常事態宣言を求めるとともに、ドリーン・シオカジェンダー平等・貧困削減・社会福祉担当大臣の姿勢を問題視し、辞任を要求。司法省に対しては、性犯罪者の登録と性犯罪裁判所の設置を優先するよう求めている。

また、警察関係者がデモ隊に対して催涙ガスを使用し、ジャーナリストを含むおよそ25人を逮捕。遺体が見つかったウォルビスベイでは警察署長に請願書を渡そうとしたが、手続き上の問題で受け取られなかったと地元メディア「ERONGO」は伝えている。

請願書では、ジェンダーに基づく暴力はジェンダー不平等に深く根ざしていると指摘。さらに、政府の対応も行き当たりばったりだと批判し、「ジェンダーに基づく暴力、特に女性に対する暴力は、生活のあらゆる側面に浸透している。学校、家庭、コミュニティ、公共部門にも存在する」「女性は公共の場所や自分の家でさえ安全ではない」と強い言葉で訴えた。

BBCによると、首都ウィントフックでは毎月200件以上の家庭内暴力が報告されており、ナミビアはレイプの発生割合が最も高い国の一つだという。

The Namibianは抗議活動の動画や写真などを公式Twitterに多数投稿している。