VWの排ガス不正、問題解決には2種類の排出ガス制御システムに合わせた異なる対処法が必要

規制逃れによって、莫大な量の光化学スモッグや酸性雨の原因物質が大気中に放出されている。
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フォルクスワーゲン(VW)は、排ガス検査をクリアするための不正ソフトウェアを使用している、世界中で計1,100万台のディーゼル車を修理する予定であることが明らかになった。ところが、この排ガス不正の問題は、1つの解決策で全てが修正されるほど単純なものではないようだ。ロイターの報道を引用した自動車メディア『Automotive News』によると、窒素酸化物(NOx)を減少させるシステムは2種類あり、修理の際にはそれぞれに合った対処法が必要になるとのことで、さらにどちらの修理も性能に影響を及ぼす可能性があるという。

まず、不正なソフトウェアの搭載を始めたといわれている2009年から2014年型のモデルに搭載されていた「EA 189」エンジンでは、テールパイプから排出される有害物質を減らすことができる「リーンNOx トラップ」触媒を使用していた。同メディアが話を聞いた専門家によると、規制に適合するにはソフトウェアのアップデートで対応できるとのことだが、これは燃費と動力性能に大きな影響を及ぼす可能性が高いという。VWは、この不正が明るみに出る前の2014年12月に、50万台を対象としてこのアップデートを行っているものの、カリフォルニア州大気資源局(ARB)による調査では、依然として数値は高いままだった。

そして、2012年以降には、当時デビューした大型セダン「パサート」(日本や欧州で販売されている同名のモデルとは仕様が異なる)の2.0リッターTDIエンジンに、尿素の水溶液を排気中に噴射することによりNOxを減少させる「尿素SCRシステム」を採用している。同メディアによると、この装置のソフトウェアをアップデートすると、尿素の消費量が増える可能性があるという。これは溶液の補充をより頻繁に行わなければならないだけでなく、燃費性能を低下させることにつながる恐れもあるようだ。問題となったディーゼル車に搭載されている2.0リッター4気筒エンジンについては、当初、米国で販売されているモデルではこの尿素SCRシステムを用いた車両は該当しないと言及されていたのだが、VWはこれらのクルマにもアップデートが必要になると見ている。

VWは、まだ排ガス不正問題について公式に解決策を示していないが、恐らく遠からず発表されるだろう。同社の長期にわたるディーゼル車の規制逃れによって、大気中には莫大な量のNOxが放出されている。これは光化学スモッグや酸性雨の原因とされている物質だ。米司法省では、既に同社に対して刑事事件として捜査を始めており、政治家たちも厳正な処罰を行う姿勢を見せている。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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