テレビに釘付けになる子供たちの顔がヤバいなんてもんじゃない(画像)

かつて教育学者ローレンス・J・ピーターは「テレビはじっとしていられない子供たちを動かない物体に変えた」と語ったが、オーストラリア生まれの写真家、ドナ・スティーヴンス氏の写真は、その言葉を思い出させる。
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テレビに釘付けになる子供たちの顔がヤバいなんてもんじゃない
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かつて教育学者ローレンス・J・ピーターは「テレビはじっとしていられない子供たちを、動かない物体に変えた」と言ったが、オーストラリア生まれの写真家、ドナ・スティーヴンス氏の写真は、その言葉を思い出させる。

彼女が手がける写真集「Idiot Box(間抜けの箱)」は、テレビの画面に釘付けになる子供たちを写した作品だ。写真の中の子供たちは、目の前の画面に心を奪われまるで生きる屍のようだ。

スティーヴンス氏は、以前広告のアートディレクターとして働いていた。広告のアートディレクターの仕事は、本人の言葉を借りれば「偽物の完璧」をつくることだったという。その「偽物の完璧」への反抗として彼女が作ったのが「醜い現実」を写す「Idiot Box」だ。

「Idiot Box」を作るきっかけになったのは、家族で使っているiPadがいつの間にか息子専用のものになったことだとスティーヴンス氏は説明する。

彼女は息子と同じ保育園に通う子供たちに協力してもらい、彼らがネットフリックスで選んだ好きな番組を見る様子を撮影した。

撮影の様子をスティーヴンス氏はこう説明する。「子どもは活発に動き回るので写真を撮るのは難しいとよく言われますが、この撮影は簡単でした。テレビの威力を実感しました」

「子供たちは画面に見入っていて、その姿はまるで『テレビ昏睡』に陥ったかのようでした。おしゃべりをしたり動いたりする子はおらず、私は何の指示をする必要もありませんでした。私は彼らの目の前でカメラを構えていたにも関わらず、子供たちはほとんど私に気付きませんでした」

生気のない目、顔に残って垂れ下がっていく笑顔、そして口の端にたまっていくよだれ。そこに写っているのは、好奇心旺盛で伸びざかりの人間の姿ではなく、人工的な光に照らし出された無気力なゾンビたちの姿だ。

「テレビは、私たちは毎日生活の中で使ういくつものスクリーンのうちの一つにすぎません。『Idiot Box』で、私たちのテクノロジーへの「愛」がもつ暗い側面を探っていきたいと思っています」スティーヴンス氏はそう話、そして私たちにこう問いかける。

「テクノロジーが子供たちに与える影響を私たちはもっと警戒すべきなのでしょうか?それともテクノロジーを過度に恐れるのは正しいことではないのでしょうか?」

「どんな道具であっても、その道具を使いながらそれが私たちを破滅させると責める場合、それは道具の問題ではなく、私たち自身の問題ではないでしょうか?」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]

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