8月19日は「世界人道デー」 国連が新たなSNSキャンペーンを展開

8月19日は国連決議によって定められた「世界人道デー(World Humanitarian Day)」である。
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8月19日は国連決議によって定められた「世界人道デー(World Humanitarian Day)」である。

国連は、「#ShareHumanity」と呼ばれるオンラインキャンペーンを立ち上げた。この日に向けて、世界中のSNSユーザーの投稿ページに驚くような変化をもたらそうというもの。シリア、南スーダン、アフガニスタンといった国々から届くヒューマンストーリーを、影響力のある著名人や一般の人々が次々とシェアしていくことで、世界が直面する深刻な人道状況とともに、そこに生きる人々のたくましさと希望を広く伝えていくことがその目的だ。既に、オーストラリアの若手歌手コーディー・シンプソンや、中国出身の俳優ジェット・リー、さらには英国の実業家リチャード・ブランソンや、ブラジル出身のサッカー選手カカなどがこのキャンペーンへのサポートを表明している。

スティーブン・オブライアン緊急援助調整官のビデオメッセージ

国連のスティーブン・オブライアン緊急援助調整官は、この度世界人道デーのビデオメッセージを発表し、「私たちは、お互いを大切にする責任をもっと培い、地球市民という共通の思いを実現していかなくてはなりません。」と述べている。オブライアン氏は、国連事務次長として国際的な人道支援活動を統括し、国連人道問題調整事務所(OCHA:オチャ)を率いている。「声無き人々の代弁者となって欲しい。」特にソーシャルメディアに日々触れている若いデジタル世代が、世界をヒューマニティ(思いやり)で溢れさせ、差し迫った課題を解決していくための行動に繋げていけるよう訴えている。

世界人道デー2015 #ShareHumanity

このキャンペーンでは、特設サイトにアクセスし、フェイスブックやツイッターといったSNS上で、ユーザー個人それぞれの投稿スペースを「寄付」してもらうことで、コンテンツ拡散を呼びかけている。アフガニスタンでスケートボードに熱中する少女たちの思いや、シリア内戦で瓦礫の中から奇跡的に救われた赤ちゃんの動画映像、さらにはネパール大地震で登山ガイドから救援活動を支えることとなったシェルパの物語などに触れることができる。他にも人道メッセンジャー(Messenger of Humanity)として登録したり、ハッシュタグ#ShareHumanityを添えて投稿することで、キャンペーンをサポートする世界中の仲間たちと繋がることもできる。同キャンペーンへの参加方法については、OCHAのホームページでも日本語で紹介されている。

8月19日の世界人道デーを中心に、ニューヨークの国連本部を初め世界中で関連イベントが開催される予定。日本では、8月19日の日没から、神戸ポートタワーやモザイク大観覧車といったランドマークが国連旗と同じブルーにライトアップされる。OCHAの駐日事務所が神戸市にあることにちなみ、世界人道デーキャンペーンへの日本からのサポートを発信していくものだ。また翌8月20日には「ヒューマニティ:あなたを動かすチカラ」と題して、ネパール大地震やアフガニスタンに焦点をあてた記念イベントも神戸市で開催される(一般公開・参加無料)。今こそヒューマニティをシェア。国連はそう呼びかけている。

世界人道デーキャンペーンの紹介(OCHA神戸事務所ウェブサイト):http://goo.gl/Ync4h6

神戸での記念イベント詳細はこちら(同上):http://goo.gl/T93YLl

世界人道デーとは

2003年8月19日、イラクで人道支援等を担っていた国連事務所が攻撃され、当時の国連事務総長イラク特別代表セルジオ・ビエイラ・デメロ氏をはじめ22名のスタッフが亡くなり、100名以上が負傷するという事件が起こった。そして、この事件とその犠牲者のことを記憶に留めるため、それから5年後の2008年、8月19日を「世界人道デー」とすることが国連総会で定められた。「世界人道デー」はまた、世界中で頻発する紛争や災害などにより避難や困難な生活を強いられている人々と、危険と隣り合わせになりながらも、少しでもこうした人々の手助けができればと願い行動する人道支援関係者の双方に思いを寄せる日でもある。