ダイヤモンド・プリンセス号の乗客に初の死者。これまでの経緯は?【新型コロナウイルス】

日本の水際対策の要となったクルーズ船のこれまでの経緯をまとめた
|
Open Image Modal
ダイヤモンド・プリンセス号(2月19日撮影)
CHARLY TRIBALLEAU via Getty Images

 新型コロナウイルスの集団感染が発生している大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の感染対策に世界中から注目が集まっている。日本の水際対策の要となったクルーズ船のこれまでの経緯をまとめた。

 

どんな船

ダイヤモンド・プリンセス号は、2004年に三菱重工業長崎造船所で建造された。アメリカのクルーズ会社「プリンセス・クルーズ」が運航しており、日本発着クルーズは2014年から開始された。

 

1月20日、横浜から出航

今回は1月20日に横浜を出港し、香港やベトナム、台湾、沖縄をまわって2月4日午前に横浜に帰港するスケジュールだった。

 

2月1日、香港で下船した乗客の感染が確認

衝撃が走ったのは、2月1日。香港政府は25日にダイヤモンド・プリンセス号に乗って香港に帰国した男性(80)から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が確認されたと発表

 

2月3日、検疫開始

クルーズ船は2月3日夜に横浜港に到着。着岸せずに停泊し、日本政府の検疫下に置かれた。発熱などの症状がある人を確認。

 

2月5日、隔離開始

2月5日、乗員乗客のうち10人に新型コロナウイルスの感染が確認された。この日の朝以降、感染拡大を防ぐために乗客全員を自室待機として事実上の隔離措置を開始。

発熱などの症状がある人を中心に、新型コロナウイルスの検査も順次行い、検査結果が発表されるたびに感染者の数は増加。2月15日までに計218人の感染者が確認された。

 

海外の批判

船内での感染者が日々拡大していくことに、海外からは懸念の声も上がった

特に日本人に次いで乗客が多かったアメリカでは、「感染拡大の第二の震源地を作った」(ABCニュース)「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」(ニューヨークタイムズ)などの批判も。

 

海外からは続々とチャーター機派遣へ

アメリカ政府は2月16日から17日にかけて、ダイヤモンド・プリンセス号に乗っているアメリカ国民を退避させるためのチャーター機を派遣して帰国させた

これに続き、イギリスやイタリア、カナダ、オーストラリアなどの国も検査で陰性だった自国民を退避させるためのチャーター機を派遣する意向を明らかにした

 

2月19日、下船開始

ウイルス検査で陰性が出た乗客の下船が2月19日から始まった。19日は、乗客443人が下船。バスで横浜駅などのターミナル駅に移動し、帰宅の途についた。

 

厚生労働省によると、これまでに検査された3011人のうち陽性が確認されたのは19日時点で621人。うち322人は無症状という。

また、この日、神戸大学感染症内科教授の岩田健太郎さんが船内の感染対策の不備を訴える動画を公開(翌日に自ら削除)。

これに対し、加藤勝信厚労相は同日夜に記者会見を開き、「明らかに検疫期間に発症者が減少しており、隔離が有効に行われた」として検疫が有効に作用したとの認識を示した。

乗客に初の死者

新型コロナウイルスに感染し、入院して治療を受けていた乗客の80歳代の日本人の男女2人が死亡したとNHKニュースが2月20日、報じた。