横浜DeNAベイスターズが乳児3万人に絵本をプレゼント。込めたのは「横浜に生まれてくれたこと」への感謝

”未来のファン”をいかに獲得するかという課題と向き合う球団は、なぜ「絵本」を選択したのか。
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プロ野球・横浜DeNAベイスターズは、絵本を制作し、2019年4月から2020年3月の間に横浜市内で生まれ、4カ月児検診を受診する約3万人の乳児に贈呈すると発表した。横浜DeNAによると、この試みは横浜市との提携の一環で、球団が絵本を制作し贈呈するのはプロ野球界で初めてだ。

制作された絵本の題名は、『スターマン!おきてくださーい』。乳児を対象としており、球団の公式マスコット・DB.スターマンが登場し、親子でコミュニケーションをとりながら楽しめる内容となっている。画は、横浜市在住の絵本作家・ひらぎみつえ氏が担当した。

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横浜DeNAベイスターズが制作した絵本『スターマン!おきてくださーい』
横浜DeNAベイスターズ

球団公式YouTubeチャンネルには、横浜DeNAの選手たちが絵本の読み聞かせを行う動画がアップされており、球団によると、絵本の贈呈の対象になっていないファンからも好評だという。

 

■なぜ「絵本」なのか。販売ではなく、なぜ「贈呈」なのか。

この取り組みを担当したのが、横浜DeNAベイスターズ・ブランド統括本部・広報部の池田紗里さんだ。

ファンとの交流イベントの開催や企業とのコラボレーション商品の展開、野球観戦以外も楽しめる娯楽施設を導入する「球場のボールパーク化」が進むなど、プロ野球球団のブランディング戦略が多角化する中、なぜ「絵本」に着目したのか。その意図について、池田さんはこう話す。

「協定を結ぶ横浜市とは従来も様々な取り組みを行ってきましたが、今後も我々がファンの方々から長く愛される球団になるためには、家族との会話の中でベイスターズの話題が出てきてほしいと考えました。絵本は『読み聞かせ』という形でコミュニケーションが生まれるという魅力があると思い、そこに着目しました」

絵本を販売という形ではなく贈呈し、さらには対象を乳児にした理由については、

「”横浜に生まれてきてくれてありがとう”という感謝と祝福の気持ちを込めたかったからです。ベイスターズは、横浜の街とともにありました。子供たちは街の宝物です。だからこそ、生まれて間もない乳児に絵本をプレゼントするという形を取りたいと考えました」

「絵本を読んだ子供たちが成長し、将来DeNAを愛してくれる存在になったり、広い意味で言えば野球を好きになってくれりしたら、嬉しいですね」と語った池田さん。

目先の経営戦略だけではなく、これから生まれてくる”未来のファン”をいかに獲得するか。その課題に対して、あえてアナログとも言える絵本というチャネルを選択した横浜DeNA。

さらに愛される球団への道のりは、まず子供の心を掴むことから始まるのかもしれない。