2016/7/1 バングラデシュテロ事件について、現地から想うこと

必要なのは「日本にいるから関係ない」と思うのではなく、日本人全員が当事者意識と危機感をもって生活することなのだと思います。
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こんにちは、杉山弥央(みお)です。

今月7月1日夜、バングラデシュ首都ダッカ市内のレストランをイスラム過激派組織のメンバーが襲撃し、日本人7名を含む23名が殺害され、負傷者も多数という、大変痛ましい事件が起きました。世界中でニュースになり、ご存知の方も多いかと思います。

バングラデシュでは去年にも日本人男性1名、イタリア人男性1名が殺害され、どちらもISISが犯行声明を出しています(本当にISISの犯行なのか、真偽は不明です)。

その後も反政府系の暴動などは起きていますが、いずれにしても国内のみの話で、ISISが関与している可能性があるというニュースはしばらくありませんでした。

比較的平穏な日々が続いていたタイミングでのこの事件。私を含め在バングラデシュの日本人にとってかなり衝撃的なニュースでした。

突然日常に入り込んできたテロの恐怖

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今回現場となったレストラン「Holey Artisan Bakery」は、比較的セキュリティがしっかりしている高級住宅街に位置し、ダッカには珍しく閑静でおしゃれでご飯もおいしいレストラン。在住外国人に大変人気があり、私も他の日本人の方々も頻繁に訪れていた場所でした。

事件が起きた当日も、ちょうど海外から友人が来ていたこともあり、みんなでご飯を食べに訪れていてもおかしくなかったくらい......。

レストランを訪れた際は必ずと言っていいほど他にも日本人のお客さんがいたので、当日ニュースで第一報を見た時も、ほぼ間違いなく誰か日本人が巻き込まれている、と思いました。事実、日本人の方々が犠牲になってしまい、中には私の友人の友人も含まれていました。

このように、誰もが安全だと思っていた行きつけの場所で、比較的自分に近い関係の日本人の方々が被害に遭ったということ。実行犯たちはイスラム教ではない外国人のみを狙っていたということ。

今まで遠い国の話だと思っていたテロが、一気に身近に、自分の生活に入り込んできた恐怖を感じました。テロ集団が今までシリアや欧州、トルコと勢力を広げてきて、遂に南アジアのバングラデシュまで到達したという感じがしています。

日本人として今、必要なこと

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ここで必要なのは、「私はバングラデシュに行かないから大丈夫」「日本にいるから関係ない」と思うのではなく、日本人全員が当事者意識と危機感をもって生活することなのだと思います。

ISISは「次はインドを狙う」という声明を出し、今後はマレーシアやインドネシア、フィリピンなどの東南アジアが危ないのではないかという見方もされています。名指しで狙われている日本人は、今や世界中どこにいても安心できる場所はないのではないかとさえ思います。

去年、私がシンガポールに住んでいた時、TVでは、世界中で徐々に過激化しているテロのニュースがとても多く報道されていました。

しかし、日本に帰省した時に見たTVでは、芸能人のゴシップや政治家が起こした粗相の過剰なまでの吊るし上げばかり報道されていて、自分は日本人であるにも関わらずカルチャーショックを受けました。

世界はテロについてのニュースばかり報道されているのに、日本だけガラパゴス化していると思ったと同時に、なんて平和な国なんだと思いました。

でも、これからはそれが通用しないかもしれません。

日本のメディアは誰得なニュースばかり流さずに、本当に必要な報道をして、日本国民の危機感を高めてほしいと切に願います。そうでもしない限り、テロはいつまでも「遠い国の話」として扱われたまま時間だけが過ぎ、いつかいきなり痛い目を見るのではと不安を感じます。

参考として、外務省の海外安全対策に関わる情報をまとめたページを掲載します。テロを含め、海外で起こり得るさまざまなトラブルに対する基本的な対策について書かれています。

最後に......

今回犠牲となった日本人は、JICAのプロジェクトでバングラデシュの発展に貢献する為に来られた方々でした。犠牲者、ご家族、関係者の方々の恐怖や悲しみ、無念さは測り知れません。本当に残念で、憤りを感じます。

バングラデシュは元々、親日国です。

戦後、世界トップレベルまで経済成長を遂げた実績や、JICAなどの団体による支援活動によって、現地での日本への人気や敬意はとても大きく、日本人というだけで特別扱いをしてくれるような国です。

また、バングラデシュ人は穏やかでとてもフレンドリー、家族や友だちとの仲を大事にする優しい人柄です。そしてイスラム教も、異教徒は殺して良いなどというのは全く本質ではなく、本来は恵まれない人たちにも寄り添う慈悲深い宗教だと理解しています。

今回のようなごく少数の過激派のせいで、バングラデシュの国自体やバングラデシュ人、ムスリムの人たちが恐ろしいものだと誤解され敬遠されるのは本当に悲しいことです。

また今回の一件で、帰国を余儀なくされた日本人も出てきています。バングラデシュの可能性を信じ、志をもってここに来た人たちの邪魔を、もうこれ以上しないで欲しい。

私にもバングラデシュ人の夫がおり、ここに大切な家族も親戚も友達も、たくさんできました。私自身は自分のホームになりつつあるこの国で、身の安全の確保にこれまで以上に気をつけつつ、これからも活動していきたいと思っています。

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ライター杉山 弥央/Mio Sugiyama

1988年生まれ、北海道出身。異文化と触れ合い新しい世界をみることが好きで、アイスランドの留学や世界約35ヶ国への旅、また東京で国際交流を目的としたNPO「Japanize」を友人と運営した経験あり。東京、シンガポールでの勤務を経て、2016年1月にバングラデシュに移住。新しい環境で奮闘中。

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