憲法改正、必要か、不必要か?・・・その莫大な政治的エネルギーをどこに優先的に投入するか?

今の日本の最大の政策課題とは何でしょうか?それは「世界一の少子高齢社会」への対応です。

憲法も「不磨の大典」ではない以上、時代の要請に応じて変えていけば良いと私は思います。

しかし、その国政における優先順位は低いと言わざるをえません。

今の日本の最大の政策課題とは何でしょうか?それは「世界一の少子高齢社会」への対応です。

「2025年問題」と言われるように、団塊の世代(1947~49年生まれ/約800万人)が75歳(後期高齢者)を迎えるのが2025年なのです。

これへの対応は喫緊の課題であり、時間は待ってはくれないのです。

憲法改正には莫大な政治的エネルギーが必要です。そのことを考えると、そのエネルギーは、まず、この「社会保障制度改革」に優先的に投入していくべきでしょう。

各種世論調査でも、「憲法改正、是か非か?」という問いには賛否が拮抗しているものの、その優先順位では、社会保障(医療・介護、年金、子育て支援・教育)や景気・経済対策等にははるかに及ばないのです。

私も政治家の前に一日本国民ですが、その肌感覚を共にしています。

施行後70年を経ても、憲法改正を巡る状況も未だ熟していないと思います。

「改憲派」と「護憲派」が、教条的に、肩ひじ張って互いを先鋭的に批判しあっている現状では、憲法改正の国民的議論も熟していかないでしょう。

その意味でも、この国で、「平和主義」「国民主権」「基本的人権の尊重」を国是としてきた「戦後の歩み」を総括し、未来に向かって「新しい憲法」を構想していく国民的コンセンサスを形成していくことはできないでしょう。

この「憲法記念日」。安倍首相は「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明しました。

しかし、国民が望む「社会保障制度の抜本改革」もできない政権、政治家に、「憲法改正」を語る資格はないと思います。

(2017年5月6日「今週の直言」より転載)