娘の背が伸びてきたころ、突然、私はパニックになりました。

自分は背の高さにかなりのコンプレックスがありました。
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自分は背の高さにかなりのコンプレックスがありました。

昔、背が低い人を好きになったんですが、その人よりも、背が高かったので、最初から相手にされない感じでした。

モデルさんみたいに細いわけではないので、サイズが合わなくて着れる可愛い服もないし。

何よりも、思春期の頃、いろんな人から、醜い、でかい、蜘蛛女、巨大、とからかわれたりした事から根強いコンプレックスはきてるのかなぁ、と思います。

ティーンエイジャーの時に、好きな人に相手にされない程度ならしかたがないとも思うのですけど、いろんな人達から「巨大」「でかいな~」って言われるのはたぶん相当きつかったんですよね。

でものちに、アメリカに行ったことで、サイズがあう服があるようになって、「別に私、そんなに巨大でもないのかもしれない」って事で、そのトラウマは徐々に消えていたと思っていました。

でも、小学生の娘がどんどん背が伸びてきたころ、突然、私はパニックになりました。

「ぎ、牛乳飲まないほうがいいんじゃない?」

「睡眠時間長すぎなんじゃない?」

背が高い=醜い

忘れていた自分のトラウマが思いきり降りてきたような感じでした。

娘は、生まれたときからアメリカの病院でアメリカ人の平均枠を超える「長身」と言われたことも心配を増した理由の一つにあったのかもしれません。

そして「どうしよう」って不安な感じが、ちょっとした(ため息)だったり、意識していない、(ひとこと)だったり、いちいち態度に出ていたらしいいのです。

そんな時に、普段、何にも言わない夫が、

「ね、お願いだから、背のことについて娘が卑屈になるようなことを言わないで欲しいんだけど」

といつもになく厳しい顔で言ったんです。

「僕は彼女が180cm以上になってもいいと心の底から思っている。そのことで、本人にコンプレックスをもってもらいたくないんだよ。背が高くて何が悪いの?」

私は慌てました。

「だって.....。しかたないのわかってる。わかってるけど1cmでも低いところで止まってくれたらって。あの子が誰からも愛されないかもと思うと心配になる」

そう言う私に夫がやさしく言いました。

「あのね、そういうの根本的に、問題はあなた自身だと思うよ」

泣きそうになりました。「だって、いやなんだもん」

「それ、英語ができない親が子どもに英語できるようにって無理に押しつけて、子どもが英語が嫌いになるのと同じ構造じゃない?まず、自分ができるようにして、親が英語で話す楽しみを経験して、キラキラしてたら自然に子どもも英語したくなるようになるでしょ。

自分が嫌だって事、自分で克服せずに、そのコンプレックスをそのまま子どもに移植してどうするよ」

それは、目から鱗が落ちたようでした。

自分の嫌なところを子ども移植する、それだけは、しちゃいけないと思いました。

それから、娘の背の高さが心配になってくると、とりあえずは、自分に向き合って、自分のカラダを好きになれるよう努力を心がけてました。運動が大嫌いな私が筋トレしたりヨガしたりコンスタントにしてるのは、そういう理由があったのでした。

それでも一度身につけたコンプレックスはなかなか、なおりません。

鏡見て、あ~醜いって子供の頃に言われた言葉をつい自分に繰り返してしまう。

なんなんでしょうね、これは。いい大人なのに。 自分の事を受け入れればそれでいいだけなのに。単純に(そのままでいい)そう飲み込む事が、本当にむつかしい。

でも、せめて娘の心に変な穴を開けないこと。それは絶対にしちゃいけない、と自分に言い続けてました。

実は、最近娘が、鏡見て、ふと

「早くママより背が高くなりたいなぁ」

とつぶやいたのを聞いて。

ちょっと「うっ」ときました。

私のコンプレックスを受け継いでない。

それから穏やかな気持ちになりました。

引っかかっていた何かが流れて落ちてくようでした。

途中で気がついて努力してよかった。少しづつ、ですね。

(2017年6月21日「犬も歩けば どこかにあたる」より転載)

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