「イスラム国」バグダディ容疑者が動画で初登場 最高指導者カリフを名乗る【イラク情勢】

「敵」の首を切り落としたり、死体を十字架に磔(はりつけ)にしたりするイスラム過激派武装組織「イラクとシリア(シャーム)のイスラム国家(ISIS)」(別名ISIL)の指導者、アブ・バクル・アル・バグダディ容疑者(アメリカ国務省は2011年、拘束に繋がる有益な情報に対して1000万ドルの報奨金を支払うと発表している)。が、初めてビデオに登場し、世界中のイスラム教徒に忠誠を呼びかけた。
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「敵」の首を切り落としたり、死体を十字架に磔(はりつけ)にしたりするイスラム過激派武装組織「イラクとシリア(シャーム)のイスラム国家(ISIS)」(別名ISIL)の指導者、アブ・バクル・アル・バグダディ容疑者(アメリカ国務省は2011年、拘束に繋がる有益な情報に対して1000万ドルの報奨金を支払うと発表している)。が、初めてビデオに登場し、世界中のイスラム教徒に忠誠を呼びかけた。

ISISはすでに、イラクとシリアの広範に及ぶ地域を掌握した後、バグダディ容疑者を「カリフ(預言者ムハンマドの後継者で、イスラム国家の最高指導者)」とする「イスラム国」の樹立を宣言していた(日本語版記事)。

今回のビデオは、イラク侵攻を進めるISISが6月に制圧した(日本語版記事)イラク第2の都市モースルにあるモスクで、現地時間7月4日に行われた金曜礼拝での説教を撮影したものとみられる。

バグダディ容疑者は謎の多い人物と考えられており、ビデオに登場するより書面での声明を好んできた。今回のビデオが本物なら、バグダディ容疑者が攻撃で殺害されたか、または負傷したと伝えていた複数の報道と矛盾する。

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バグダディ容疑者は、黒のターバンを巻いてローブを身にまとい、背後に扇風機を置いた壇上で、翻訳によれば次のように語った。「長年にわたるジハード(聖戦)と忍耐を経て、神は、ムジャーヒディーンの兄弟たちに勝利をもたらした。そこで彼らはカリフの統治を宣言し、指導者たるカリフを置いた」「これは、何世紀にもわたって失われていた、イスラム教徒に課せられた義務だ」

「私は、あなたがたを取りまとめるワリ(指導者)だが、この中で最も優れた人物というわけではない」「私が正しいときには、私を支えてほしい。私が間違っていたら、助言をして、正しい道に導いてほしい。そして、私があなたがたの中の神に従う限りにおいて、私に従ってほしい」

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今回のビデオに先立ち、バグダディ容疑者は、ISISは中東からヨーロッパにわたる広い範囲にイスラム国家を樹立することを目指しており、将来はローマに侵攻すると主張していた。

「このイスラム国家に移住できる者は移住するべきだ。イスラムの地(House of Islam)への移住は義務なのだから」と、バグダディ容疑者は書面で述べている

「イスラム教徒よ、自らの国家へ急げ。これはあなたがたの国家だ。シリアはシリア人のものではなく、イラクはイラク人のものではない。この地はイスラム教徒、すべてのイスラム教徒のものだ」

「これは私からあなたがたへの助言だ。屈することなく貫き通せば、ローマを征服し、世界を手に入れることができるだろう。インシャラー(アッラーの御心のままに)」

なお、ISISは「年次活動報告書」を発表(日本語版記事)している(文末スライドショーで紹介)。

[(English) 日本語版:湯本牧子/ガリレオ]

ISIS annual report
ISIS年間報告は、攻撃の種類別に分類されている(01 of07)
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攻撃の種類は次の通り。暗殺、武力攻撃、爆撃(迫撃砲、グレネードランチャーならびにロケット弾)、簡易手製爆弾物(IED)による住宅の爆撃ならびに焼き討ち、刑務所襲撃による受刑者解放、車載爆弾による自爆攻撃(VBIED)、バイクによる自爆攻撃(MCBIED)、IED攻撃、ナイフによる襲撃、標的攻撃、狙撃、イスラーム背教者の改心、都市占拠、車による背教者殺害、検問所設置、離反者ならびに脱走者の処刑。
2013年の活動は2012年から倍増(02 of07)
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同組織は2013年に、イラク国内で1万件近くの活動を行なったと発表した。暗殺は1000件、IED攻撃は4000件、また過激派受刑者の解放は数百名におよんだという。さらに、離反者数百名が悔い改めたと主張する。これらの数字は、2012年報告のほぼ2倍となっている。\n
年間報告は活動地域によって分類されている(03 of07)
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報告書で活動地域とされているのは、バグダッド、ニヌア、サウス、ディヤーラー、アンバール、サラハディンおよびバグダッド北部、キルクークの7地区だ。 (credit:Getty)
2013年に最も多用されたのは、IED攻撃(04 of07)
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昨年は、7つの活動地域全体で4465件のIED(簡易手製爆弾物)攻撃が行なわれた。 (credit:Getty )
IED攻撃の件数が最も少なかったのはバグダッド(05 of07)
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IED攻撃の件数が最も少なかったのはバグダッドだ。ISWはこの理由を、バグダッドにおけるISISの支配力が2013年後半の段階では不十分だったからだとしている。 IEDは安価かつ容易な製造が可能で、多用されるはずでありながら、設置となると必ずしも簡単ではない点が、理由として指摘されている。また、バグダッドが、(爆発物を隠す場所が少ない)大都市であることも、IEDによる攻撃が少ない要因かもしれないという。 (credit:Getty)
車でひき殺された背教者は2012年に2人いたが、2013年は1人もいなかった(06 of07)
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背教とは、この場合、イスラーム教の信念や教義の放棄ならびに拒否のことだ。
都市や町の占拠数は、2013年は過去最高の8件に(07 of07)
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ISISがこれまでに制圧した都市と、戦闘中の都市をまとめたマップはこちら (credit:Getty)
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